おもいでの夏

恋と性に好奇心旺盛な思春期の少年が、年上の美しい女性に憧れるお話。
この手のフォーマットの大半は、プラトニックな想いを描く文学的な作品か、ちょっとエッチなシーン満載の『青い体験』系かに二分されますが、本作はそのちょうど中間あたりの雰囲気。
女の子のことで頭がいっぱいの少年たちが主人公ではあるけど、ノスタルジーの視点で語られるのでイヤらしさがありません。

正直言うと、それほど優れた作品ではないと思います。少年たちのおバカな描写は、なかなか雰囲気は出ているものの、どうもハジけきらない。みんな演技が大仰なのも、鼻に付いてしまいました。
憧れの女性ドロシーについても、間違いなく美人ではあるのですが、永遠のマドンナになるには陰影が不足しているように感じます。

なんか全体に惜しいんですよね。どのシーンも生真面目というか茫漠としているというか、早い話、エモーションが足りない。
もう少しメリハリの利いた演出で、音楽の使い方が上手だったら（オスカーを受賞したＭ・ルグランのテーマ曲そのものは美しいだけに余計もったいない）、長く語られる青春映画になっていた気がします。

ジェニファー・オニールはライアン・オニールのお姉さんではない。

この映画は原作があって、ほとんど実話だそうだ。普遍的な物語ではあると思う。で、映画が公開されるとドロシー本人から作者に手紙が来て、精神的なショックを与えなかったか、ということと、自分は再婚して今は孫がいる、ということを伝えてきたそうだ。そして、それが最後の手紙だったと。【出所：Imdb.com】

この映画のようなものは、思い出としてとっておけば良いのであって、追いかけちゃ行けないものだと思う。だから、この原作者がしたことは半分正しい。ドロシーを追いかけなかった事。それを作品にした事は、間違ってるとは思わないが、誰の為、何の為に？と思ってしまう。やっぱりそこまで人生に影響を与える出来事だったんだな、とは思うし、だから書きたかった気持ちは分かるけれど。

ジェニファー・オニールはほとんど作品が無く、本来モデルとしてデビューしてその後もずっとモデルをしていた人なので、とても奇麗な人妻役だけど演技はシロウトだった…。

あと、音楽はアカデミー賞獲ってますが、この曲がなかったらこの映画は今頃DVDにはなっていなかっただろうと思う。

夏の終わりに男がひとりで観る映画だ。音楽を知らない方は観てもしょうがない。

思春期のナイーブ（辞書で調べてください、日本人は誤解してます）なところと大人の世界を垣間見る少年の揺れる心が、本当によく描かれています。ハーミーと間違えを犯してしまうドロシーの惑いも優しいさ故に許されます。ミシュエル・ルグランの音楽が最高にマッチしています。

これは、彼女とではなく、男一人で見る映画だ。

男なら誰しもが経験する、思春期の大人の女性への憧れ。夏の寂れた海岸と戦争の影。音楽も最高で、グラス片手に男一人、淡い思い出につい浸ってしまった。

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　これ中学生のときに、テレビでやっていて、それいらい、ここ１０年くらい、みたいけれど、みないで置いておいた映画なんです。同じような映画にジェレミーがあります。

　これはテレビでやるような映画ではないと思います。家族揃ってみる映画でもない。だって、少年達の思春期の話が中心なので、少年が親といっしょにみるには、気恥ずかしい場面だらけです。テレビでみたときの一番記憶にのこったのは、薬局にいって、買い物をするところ。これは恥ずかしい。

　Ｊオニールって、綺麗。１０代なら、こんな綺麗な年上の女性がいたら、絶対あこがれますね。綺麗な大人のお姉さんですよ。ロードショウの付録に、スチル写真集がついていることがあって、浜で日光浴をする彼女の近くに立っているハーミーの場面のものがあります。写真としては、面白くないと思っていましたが、映画の場面を覚えていると、それもいい写真と思えるようになります。

　ずっと思いこんでいたのは、一番最初のシーンが、小高い砂浜の丘にたっている大人の男が、今は住む人のいない、浜のはずれにある家を見ながら、少年時代を思い出して「１９４２年の夏を、僕は忘れない」というようなことを言う場面。でも、実際は少し記憶と違っていた。自分の頭の中で、映像が作り変えられていたようです。

　この映画は、子供が見ても、たぶん胸に響かないでしょうし、女の子もだめでしょうが、大人の男にとっては、ジーンとくる映画ですね。一人で真夜中にじっくり見るべきものだと思います。

　テーマ曲、映画では歌はついていませんが、歌がついたものもありますね。いい曲ですね。
　夫の死を知った夜に、ハーミーを抱いた彼女は、それからに二度と彼にあうことはありませんが、彼女の悲しみを癒すことになったのなら、それもありかなと思います。彼女も彼も、こういうことを経験して、人になっていくんだなあと思います。特に、最後のナレーションにあるように、この夏を境に、幼い自分と決別する、そういう経験って大切だと思いますね。まさに、サヨナラだけが人生だ、です。