東京物語 / 笠智衆
全体の平均評価点: (5点満点)
(80)
東京物語
/小津安二郎
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「東京物語」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
日本映画を代表する傑作の1本。巨匠・小津安二郎監督が、戦後変わりつつある家族の関係をテーマに人間の生と死までをも見つめた深淵なドラマ。故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦。成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示すのだった……。家でひとり侘しくたたずむ笠智衆を捉えたショットは映画史上に残る名ラスト・シーンのひとつ。
「東京物語」 の作品情報
「東京物語」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
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東京物語の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
135分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
DA9286 |
2003年12月25日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
9枚
|
9人
|
6人
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東京物語の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
135分 |
日本語 |
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
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DA9286 |
2003年12月25日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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ユーザーレビュー:80件
座敷猫とファンタジア。
投稿日:2009/02/03
レビュアー:ぴよさん
軽く区切りのレビューなので、私にとって大事な大事な映画を取り上げたい。本当は評する言葉も無いくらいだし、既に膨大に語られもしている映画なので、書けることは少ないだろうが、私的な思いを交えて拙文を綴りたい。
…これは今となっては、一種のファンタジー映画と言ってもいいかもしれない。もちろん作られた時点で、そんな狙いは無かったはずで、ある日本の家族を少しの郷愁を込めて、ただ写し取った映像だったのだと思う。
しかし写し撮られたモノをその場に残して、日本の社会の方が猛スピードで走り去ってしまった。後に残された映像を観た時、そこには既に失われた景色や日本人の心情、有形無形の「愛しかったもの」が映っていたことに気づく。それはまるでパラレルワールドを観るようでもあり、理想化された定型を見るようでもある。
小津監督が好んで使い、「犬の目」とも呼ばれたローアングル(ケチケチさんのレビューに詳しい)私の印象ではむしろ、「座敷猫の目線」に見える。それもだいぶ長く家に住みつき、もはや座敷童のような存在になっている老猫の目線だ。おだやかに、「なにやってんだニャ」と、あくびを一つしながら愛する人間達を見ている、そんな視線を感じてしまう。
若かりし頃、初めてこの映画を観た時、正直それほどピンとはこなかった。だが年を取り、ずっと在り続けると思っていた家族が失われていった頃に、心境が変化してゆくのを感じた。それまで祖父や祖母、父を核として集まる機会のあった親類も、そんなには集まらなくなり、家族はどこか「こじんまり」とかたまった。それはそれで暖かく居心地の良い状態ではあったが。 そんな頃この映画を観返すと、それまでは気づかなかった愛しいものが映っていたことに、ふいに気づかされるのだ。
港のマリーさんが仰るように、このフィルムの家族達は「都合よく理想化された家族」だ、とも言える。嫁である原節子にいたっては、「そんな嫁が居るなら連れて来い」と言いたいくらい、出来過ぎた(都合の良い)女性像であるのかもしれない。いくら都合のよい観客の私でも、そこにうっすらひっかからないわけでは無い。
が、そこはファンタジーだから、という観方で「堂々と」切り抜けられる。一方で杉村春子は実にリアルな存在であり、ここではリアルとファンタジーが混在しているように見える。というよりは、リアル目に作ったスポンジベースに、何か儚く消えそうなファンタジーをふわっとトッピングした、上質なケーキの様な構造に思えるのだ。
乱暴を承知で言わせていただくなら、日本人というのはファンタジーが好きな国民だと思う。四季の移ろいが、ついひと月前には確かに在った空気を、夢の様に消し去ってしまう風土。島国ということ、自然との付き合い方、八百万の神、死生観…また戦後の天皇制というのも、どこか現実感に乏しく曖昧を許されている。大人が漫画やゲーム、アイドルやディズニーなんかに親しむことが、それほど不自然でなかったりする。どこか子供っぽさを愛する、ファンタジーな国民だとは言えないだろうか。
そしてある意味、ある世代の日本人の最大公約数的な家族の理想像が、失われたファンタジーとして、この映画に完璧に近い形で映し取られている。そんなふうに感じてしまうのだ。
ワタシ的には、ただ不出来な自分に成り代わって父母を気遣ってくれた原節子に感謝したい(だいぶヤバくなってきてるな、俺) お母ちゃんが哀しい思いのまま東京を離れることになっていたら、私はどんなにか後悔していただろう。(原節子に、過ぎた孝行をさせることで、多くの私の様な親不孝者が贖罪し、許された様な気になったのではないか。なんと身勝手な!)
小津さんは、現実をグリグリとえぐり出すような表現はしなかった。しかし静かに理想化された景色の中、普遍的なリアル&ファンタジーを、確かに描き出した。 そしてそういうものが、今の私には愛しくてたまらないのだ。
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32人の会員が気に入ったと投稿しています
劇的な事件が無くても、感じるものはあるんですよねえ
投稿日:2008/02/24
レビュアー:こんちゃん
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
小津安二郎の代表作で、名作との評判が高い作品です。
英BBCが選出した「21世紀に残したい映画100選」に選ばれた邦画5本の内の1本だそうです。
小津作品の特徴とも言えるローアングルからのショットは、日本の生活様式が産んだ撮影法なんでしょうね。畳で座って生活する人々を撮っているから力強く迫ってきますけど、椅子で生活する人々をこのアングルで撮ったら、ちょっと淫靡な感じになっちゃいますね。
ただ、このローアングルからのフィックスよりも、会話する人物を捉えた切り返しの短いショットの方が印象に残ります。
熱海の海岸で、周吉ととみが会話しているシーンは、なんとも言えない無常感を表していて、胸に迫る物があります。ラストの周吉と紀子を捉えたショットと共に名場面と言えるのではないでしょうか。
「麦秋」もそうでしたが、小津作品では家族という物を中心軸に綴られますが、劇的な事件という物は起こりません。年老いた夫婦が子供たちを訪ねて東京に来たり、そしてそれを子供たちは、心の底では歓迎していなかったり、尾道に戻った年老いたとみが他界したり、と世間で普通にある情景を映像として提示します。しかし、その中に厳然とした物語が展開されているのです。
戦死した次男の妻であった紀子が、再婚もせず周吉ととみを歓迎する様子が、変わっていると言えば変わっているのですが、これとて特別劇的なことではないのです。そして、その紀子が聖人君子でもなく、内心の不安や不満をぶつけるという場面が生身の人間というか女を感じさせてくれて、秀逸です。セリフだけに頼らずとも、映像で物語を感じさせてくれる、これぞ映画なんだなと感じます。
小津作品では、セリフがあまり自然ではありません。棒読みとも思えるほどですが、これはたとえば笠智衆の演技が下手とか言うことではなく、意識的にそう演じさせているのではないかと思うのです。事実、後年の笠智衆は名優と言えると思いますし、「麦秋」では働き盛りの間宮康一を演じているのに、わずか2年後の本作では、老年の悲哀を全身で表す周吉を演じきっているのですから。
ところで原節子を見るにつけ、
「巨乳だなあ・・」
と思ってしまいますよね。当時はハリウッドブラやトリンプなんかは普及していないはずですから、あれは正真正銘の本物と言うことですよね。
なんてことを小津作品を観ながら考えている大馬鹿者は私です(でも、ラヴァ様や勝王さんもきっとそう思っているに違いないのです。いや、パロさんだって・・・)
私としては、その根底に同じように流れている無常感という物を考えると「麦秋」の方が好きなのですが、この「東京物語」も、日本が世界に誇れる名作に間違いないと思います。
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17人の会員が気に入ったと投稿しています
永遠のテーマ
最近山田洋次監督の「東京家族」も上映されましたが、こちらは淡々とした表現の裏で人間の生死の問題まで描ききった奥深い作品だと思います。
今観ても全く遜色無い作品です。むしろ核家族化し親戚付き合いの減った現代の方がしっくり来る話かもしれません。
この作品は若いうちに観てもピンと来ませんでした。親が年取って、子供が手を離れてきた年になった方が感慨深いと思います。
尾道から老いた夫婦が上京し、成人した子供たちの家を訪ねます。子供たちははじめは歓迎するものの、やがて両親がじゃまになって熱海に行かせたりして厄介ばらい。戦死した息子の嫁だけが親身になって面倒をみてくれるという皮肉。
以前見たよりもどうにもたまらない映画なのでした。背中を丸めた年老いた親、その親を邪険にする子供たち。別に邪険にしている訳ではないけれども、子供たちにも、それぞれの仕事があり、それぞれの生活をしている訳で、親はいわば空気のような当たり前の存在だからこそ自然と我が儘な事を言ってしまうのかもしれません。血の繋がらない義娘(原節子)の方がとても親切な描かれ方をすることで、子供たちのよそよそしさが目立ってしまいます。しかし、親としては、子供たちが順調に育ってくれて、家庭を持ち自分たちの世界を持ってくれれば、それで良いと。孫より子供の方が可愛いと劇中で言っているのも、親の無限の愛情なのかもしれません。
ラストで義娘は義父(笠智衆)に対して告白します。東京へ出てきた義父母を親身になって世話した事や葬式での心遣いは単に夫を亡くした寂しさからその埋め合わせとして言ったに過ぎないと。結局のところ老夫婦を邪険に扱った息子娘と変わらない存在であって偽善を振りまいている分、自分は「ずるい」のだと。
これはある意味残酷な宣告だと思います。にも関わらず義父はそんな義娘に笑顔で言います。「あんたはやっぱり、ええ人じゃよ」と。そしてたとえ偽善であったとしてもそんな気持ちを恥じていて申し訳ないと素直に告白してくれた義娘に対して、最大限の感謝を表したのだと思います。
親子の関係は誰にとっても基本的なもので、永遠のテーマですね。心にじんわりと沁みて来ます。 老夫婦の姿は哀愁があって切なかったです。
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犬の目
投稿日:2007/01/07
レビュアー:ケチケチ
縦のラインの折り重なり、構図、という面では「麦秋」の方が優れていると思いますが、情感を伝えるショットという面では、この「東京物語」がピカイチなのではないかな。
小津自身もメロドラマと認めているようにストーリー自体が非常に感傷的であり、小津には珍しく生活苦のある庶民が描かれ、照明トーンも暗部が多いという設定条件もあるのでしょうが、映し出されるシーンの大部分が日本家屋ということで、"犬の目"と言われる小津独特のローアングルショットが最も生きた作品ではないかと思うのです。
サイレント出身の監督に共通して感じることですが、一つのカットが表現する内容(目的)が実にハッキリしています。昨今、やたら意味もなくカメラを振り回す監督が多いですが、小津や成瀬などの作品を見直していると却って新鮮さを感じてしまいます。
小津の場合も然り、いやさらに潔癖で、その潔癖がもたらしたものが、不必要な物を一切避けた正面からの切り返しであり、徹底したフィックスショットなのではないかと思います。舐めのショットは四角い画面を四角くなく見せるメリットこそあれ、イマジナリーという物に縛られて作る絵ではない。また移動撮影もカメラが動くことで様々な妥協が生まれてくる訳ですから、フィックスの絵の方がより完成度の高い絵である。そんな感覚が小津自身の中にあるのではないかと想像するのです。小津が撮る引き絵も、人物の抜けで情緒(情感)を表現するものですから、90度の切り返しは必要なく、180度切り返して裏表の情景を見せる方がより広い空間を表現できて効果的である。そんな考えがあるのではないかな。"犬の目"もこの延長線上で、日本家屋の中を捉える時、人物の抜けが最も美しいのは、床面を多く見せるよりも、低いアングルから鴨居や、棚あるいは箪笥の上の生活臭漂う品々を見せる方がより効果的である。そんな考えから来るものではないかと想像するのです。
この作品の後の小津作品には、西洋化する日本の文化に則して、会社の廊下やアパートの廊下、あるいは無機質な会社の応接室などがしばしば登場するわけですが、非常に殺風景な抜けに私は"犬の目"の必要性を疑問視してしまったりもするのです。
話題を「東京物語」に戻して、この作品は、年老いた夫婦がもたらす空気感、それに相反するように"変化"や"活動"という活気を含んだ子供たち。子供たちの独立や変化を象徴するがごとくに、またその事柄を日本の工業化になぞらえたようなそびえ立つ煙突などのインサートも印象的な作品です。尾道の石灯籠も、、、(って、あんまり触れるとネタバレ的で身も蓋もなくなるかな(^^;))
「早春」で笠智衆が原節子に切々と語った"時の流れ"が序章だとすれば、「麦秋」は結婚以前にスポットを当てた具現化、「東京物語」は結婚後にスポットを当てた作品とでも言うものでしょうか。この作品の主題は時代の背景こそ違えども普遍的な物ですから、今現在から見直しても、色褪せることなく伝わってきます。
5段階評価は5。
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16人の会員が気に入ったと投稿しています
ケチケチさんのレビューを読んで、小津作品を観よう!
レビューの「気に入った」得票を見ていたら、その得票数とランキングの順位とはおおよそ比例的な関係にあることに気が付きました。要するに、ランキングの上位にある人の投稿ほど多くの得票を得やすい、と。もちろん個々のレビューの内容が得票の多寡を決めている最も重要な要素だとは思うのですが、なぜこれほどまでに多くの得票を得ているのかがわからないものがある一方で、文字数にも書かれている内容にも殆ど差はないのに得票が0のものがずらり並んでいるのにはとても不思議なものを感じます。でも、冷静になって考えてみると、人気作だと数十、場合によっては百以上のレビューが並ぶわけですからその全てを見るのは至難の業であり、自ずと人気のある、知名度の高い(=ランキングの上位の)レビュアーに得票が集まると言うことなのかも知れません。また、ランキングの上位にいるレビュアーの多くは、話題作や注目作にたくさんレビューを書かれていますので、作品自体の人気も得票を集める重要な要素だと言うことなのでしょう。
かくいう私もこのような恩恵を受けている一人であり、人気作や話題作のレビューは殆ど書かないし、語り口とてとても「人に優しい」もので無いにもかかわらず少なからぬ投票を頂いています。その上、何故か昨年暮れ近くから「お気に入りレビュアー」への登録がじわじわと増え続けており、その人数も50人近くに達するほどです。もっとも「気に入った」得票がこれに併せて増えているというわけではないので、もしかしたら「お気に入らないレビュアー」として登録されているのかもしれません(苦笑)。アイツの言うことは癪に障るから、どんな気にくわないことを言うのかチェックしてやれ、なんて・・・。でも、仮にそうだとしてもチェックいただいているということ自体は喜ぶべきことであり、書く意欲も湧くと言うものです。
これまであえてレビューを書かずに大切にとっておいた『東京物語』でなんでこんな駄弁を弄しているのかと言うと、上記で述べたようなランキング上位レビューの恩恵と、(小津作品の中では)人気作であると言うことを活用し、ケチケチさんのレビューの「宣伝」をしたいと思ったからなのです。ケチケチさんは、年明けから小津作品のレビューを順次書かれていますが、これが実に素晴らしいのです。それは「paroleさんのレビューに触発されて」とお褒めいただいたから言っているわけではなく、そんなこととは全く関係なく、単なるレビューの域を超えた作品論とすら言えるような素晴らしいものだと思います。私が小津ファンと言うこともあるかもしれませんが、いずれも作品評という観点で観た場合数あるDISCASのレビューの中でもベストの一つと言いうるほどのものだと素直に思いました。
ケチケチさんの一連のレビューを読んで、『秋日和』の私のレビューで「定番の作品評になりうるくらいの気構え」などと厚顔無恥なことを書いてしまったことを今更ながら深く反省していますし(^_^;、こんなちんけな気構えなど喜んで撤回しますので、是非とも一人でも多くの方にケチケチさんのレビューをご覧頂き、そしてそれを手掛かりに小津作品に馴染んでいただけたらと思います。
このレビューは気に入りましたか?
12人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
座敷猫とファンタジア。
投稿日
2009/02/03
レビュアー
ぴよさん
軽く区切りのレビューなので、私にとって大事な大事な映画を取り上げたい。本当は評する言葉も無いくらいだし、既に膨大に語られもしている映画なので、書けることは少ないだろうが、私的な思いを交えて拙文を綴りたい。
…これは今となっては、一種のファンタジー映画と言ってもいいかもしれない。もちろん作られた時点で、そんな狙いは無かったはずで、ある日本の家族を少しの郷愁を込めて、ただ写し取った映像だったのだと思う。
しかし写し撮られたモノをその場に残して、日本の社会の方が猛スピードで走り去ってしまった。後に残された映像を観た時、そこには既に失われた景色や日本人の心情、有形無形の「愛しかったもの」が映っていたことに気づく。それはまるでパラレルワールドを観るようでもあり、理想化された定型を見るようでもある。
小津監督が好んで使い、「犬の目」とも呼ばれたローアングル(ケチケチさんのレビューに詳しい)私の印象ではむしろ、「座敷猫の目線」に見える。それもだいぶ長く家に住みつき、もはや座敷童のような存在になっている老猫の目線だ。おだやかに、「なにやってんだニャ」と、あくびを一つしながら愛する人間達を見ている、そんな視線を感じてしまう。
若かりし頃、初めてこの映画を観た時、正直それほどピンとはこなかった。だが年を取り、ずっと在り続けると思っていた家族が失われていった頃に、心境が変化してゆくのを感じた。それまで祖父や祖母、父を核として集まる機会のあった親類も、そんなには集まらなくなり、家族はどこか「こじんまり」とかたまった。それはそれで暖かく居心地の良い状態ではあったが。 そんな頃この映画を観返すと、それまでは気づかなかった愛しいものが映っていたことに、ふいに気づかされるのだ。
港のマリーさんが仰るように、このフィルムの家族達は「都合よく理想化された家族」だ、とも言える。嫁である原節子にいたっては、「そんな嫁が居るなら連れて来い」と言いたいくらい、出来過ぎた(都合の良い)女性像であるのかもしれない。いくら都合のよい観客の私でも、そこにうっすらひっかからないわけでは無い。
が、そこはファンタジーだから、という観方で「堂々と」切り抜けられる。一方で杉村春子は実にリアルな存在であり、ここではリアルとファンタジーが混在しているように見える。というよりは、リアル目に作ったスポンジベースに、何か儚く消えそうなファンタジーをふわっとトッピングした、上質なケーキの様な構造に思えるのだ。
乱暴を承知で言わせていただくなら、日本人というのはファンタジーが好きな国民だと思う。四季の移ろいが、ついひと月前には確かに在った空気を、夢の様に消し去ってしまう風土。島国ということ、自然との付き合い方、八百万の神、死生観…また戦後の天皇制というのも、どこか現実感に乏しく曖昧を許されている。大人が漫画やゲーム、アイドルやディズニーなんかに親しむことが、それほど不自然でなかったりする。どこか子供っぽさを愛する、ファンタジーな国民だとは言えないだろうか。
そしてある意味、ある世代の日本人の最大公約数的な家族の理想像が、失われたファンタジーとして、この映画に完璧に近い形で映し取られている。そんなふうに感じてしまうのだ。
ワタシ的には、ただ不出来な自分に成り代わって父母を気遣ってくれた原節子に感謝したい(だいぶヤバくなってきてるな、俺) お母ちゃんが哀しい思いのまま東京を離れることになっていたら、私はどんなにか後悔していただろう。(原節子に、過ぎた孝行をさせることで、多くの私の様な親不孝者が贖罪し、許された様な気になったのではないか。なんと身勝手な!)
小津さんは、現実をグリグリとえぐり出すような表現はしなかった。しかし静かに理想化された景色の中、普遍的なリアル&ファンタジーを、確かに描き出した。 そしてそういうものが、今の私には愛しくてたまらないのだ。
劇的な事件が無くても、感じるものはあるんですよねえ
投稿日
2008/02/24
レビュアー
こんちゃん
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
レビューを表示する
小津安二郎の代表作で、名作との評判が高い作品です。
英BBCが選出した「21世紀に残したい映画100選」に選ばれた邦画5本の内の1本だそうです。
小津作品の特徴とも言えるローアングルからのショットは、日本の生活様式が産んだ撮影法なんでしょうね。畳で座って生活する人々を撮っているから力強く迫ってきますけど、椅子で生活する人々をこのアングルで撮ったら、ちょっと淫靡な感じになっちゃいますね。
ただ、このローアングルからのフィックスよりも、会話する人物を捉えた切り返しの短いショットの方が印象に残ります。
熱海の海岸で、周吉ととみが会話しているシーンは、なんとも言えない無常感を表していて、胸に迫る物があります。ラストの周吉と紀子を捉えたショットと共に名場面と言えるのではないでしょうか。
「麦秋」もそうでしたが、小津作品では家族という物を中心軸に綴られますが、劇的な事件という物は起こりません。年老いた夫婦が子供たちを訪ねて東京に来たり、そしてそれを子供たちは、心の底では歓迎していなかったり、尾道に戻った年老いたとみが他界したり、と世間で普通にある情景を映像として提示します。しかし、その中に厳然とした物語が展開されているのです。
戦死した次男の妻であった紀子が、再婚もせず周吉ととみを歓迎する様子が、変わっていると言えば変わっているのですが、これとて特別劇的なことではないのです。そして、その紀子が聖人君子でもなく、内心の不安や不満をぶつけるという場面が生身の人間というか女を感じさせてくれて、秀逸です。セリフだけに頼らずとも、映像で物語を感じさせてくれる、これぞ映画なんだなと感じます。
小津作品では、セリフがあまり自然ではありません。棒読みとも思えるほどですが、これはたとえば笠智衆の演技が下手とか言うことではなく、意識的にそう演じさせているのではないかと思うのです。事実、後年の笠智衆は名優と言えると思いますし、「麦秋」では働き盛りの間宮康一を演じているのに、わずか2年後の本作では、老年の悲哀を全身で表す周吉を演じきっているのですから。
ところで原節子を見るにつけ、
「巨乳だなあ・・」
と思ってしまいますよね。当時はハリウッドブラやトリンプなんかは普及していないはずですから、あれは正真正銘の本物と言うことですよね。
なんてことを小津作品を観ながら考えている大馬鹿者は私です(でも、ラヴァ様や勝王さんもきっとそう思っているに違いないのです。いや、パロさんだって・・・)
私としては、その根底に同じように流れている無常感という物を考えると「麦秋」の方が好きなのですが、この「東京物語」も、日本が世界に誇れる名作に間違いないと思います。
永遠のテーマ
投稿日
2013/06/02
レビュアー
ミルクチョコ
最近山田洋次監督の「東京家族」も上映されましたが、こちらは淡々とした表現の裏で人間の生死の問題まで描ききった奥深い作品だと思います。
今観ても全く遜色無い作品です。むしろ核家族化し親戚付き合いの減った現代の方がしっくり来る話かもしれません。
この作品は若いうちに観てもピンと来ませんでした。親が年取って、子供が手を離れてきた年になった方が感慨深いと思います。
尾道から老いた夫婦が上京し、成人した子供たちの家を訪ねます。子供たちははじめは歓迎するものの、やがて両親がじゃまになって熱海に行かせたりして厄介ばらい。戦死した息子の嫁だけが親身になって面倒をみてくれるという皮肉。
以前見たよりもどうにもたまらない映画なのでした。背中を丸めた年老いた親、その親を邪険にする子供たち。別に邪険にしている訳ではないけれども、子供たちにも、それぞれの仕事があり、それぞれの生活をしている訳で、親はいわば空気のような当たり前の存在だからこそ自然と我が儘な事を言ってしまうのかもしれません。血の繋がらない義娘(原節子)の方がとても親切な描かれ方をすることで、子供たちのよそよそしさが目立ってしまいます。しかし、親としては、子供たちが順調に育ってくれて、家庭を持ち自分たちの世界を持ってくれれば、それで良いと。孫より子供の方が可愛いと劇中で言っているのも、親の無限の愛情なのかもしれません。
ラストで義娘は義父(笠智衆)に対して告白します。東京へ出てきた義父母を親身になって世話した事や葬式での心遣いは単に夫を亡くした寂しさからその埋め合わせとして言ったに過ぎないと。結局のところ老夫婦を邪険に扱った息子娘と変わらない存在であって偽善を振りまいている分、自分は「ずるい」のだと。
これはある意味残酷な宣告だと思います。にも関わらず義父はそんな義娘に笑顔で言います。「あんたはやっぱり、ええ人じゃよ」と。そしてたとえ偽善であったとしてもそんな気持ちを恥じていて申し訳ないと素直に告白してくれた義娘に対して、最大限の感謝を表したのだと思います。
親子の関係は誰にとっても基本的なもので、永遠のテーマですね。心にじんわりと沁みて来ます。 老夫婦の姿は哀愁があって切なかったです。
犬の目
投稿日
2007/01/07
レビュアー
ケチケチ
縦のラインの折り重なり、構図、という面では「麦秋」の方が優れていると思いますが、情感を伝えるショットという面では、この「東京物語」がピカイチなのではないかな。
小津自身もメロドラマと認めているようにストーリー自体が非常に感傷的であり、小津には珍しく生活苦のある庶民が描かれ、照明トーンも暗部が多いという設定条件もあるのでしょうが、映し出されるシーンの大部分が日本家屋ということで、"犬の目"と言われる小津独特のローアングルショットが最も生きた作品ではないかと思うのです。
サイレント出身の監督に共通して感じることですが、一つのカットが表現する内容(目的)が実にハッキリしています。昨今、やたら意味もなくカメラを振り回す監督が多いですが、小津や成瀬などの作品を見直していると却って新鮮さを感じてしまいます。
小津の場合も然り、いやさらに潔癖で、その潔癖がもたらしたものが、不必要な物を一切避けた正面からの切り返しであり、徹底したフィックスショットなのではないかと思います。舐めのショットは四角い画面を四角くなく見せるメリットこそあれ、イマジナリーという物に縛られて作る絵ではない。また移動撮影もカメラが動くことで様々な妥協が生まれてくる訳ですから、フィックスの絵の方がより完成度の高い絵である。そんな感覚が小津自身の中にあるのではないかと想像するのです。小津が撮る引き絵も、人物の抜けで情緒(情感)を表現するものですから、90度の切り返しは必要なく、180度切り返して裏表の情景を見せる方がより広い空間を表現できて効果的である。そんな考えがあるのではないかな。"犬の目"もこの延長線上で、日本家屋の中を捉える時、人物の抜けが最も美しいのは、床面を多く見せるよりも、低いアングルから鴨居や、棚あるいは箪笥の上の生活臭漂う品々を見せる方がより効果的である。そんな考えから来るものではないかと想像するのです。
この作品の後の小津作品には、西洋化する日本の文化に則して、会社の廊下やアパートの廊下、あるいは無機質な会社の応接室などがしばしば登場するわけですが、非常に殺風景な抜けに私は"犬の目"の必要性を疑問視してしまったりもするのです。
話題を「東京物語」に戻して、この作品は、年老いた夫婦がもたらす空気感、それに相反するように"変化"や"活動"という活気を含んだ子供たち。子供たちの独立や変化を象徴するがごとくに、またその事柄を日本の工業化になぞらえたようなそびえ立つ煙突などのインサートも印象的な作品です。尾道の石灯籠も、、、(って、あんまり触れるとネタバレ的で身も蓋もなくなるかな(^^;))
「早春」で笠智衆が原節子に切々と語った"時の流れ"が序章だとすれば、「麦秋」は結婚以前にスポットを当てた具現化、「東京物語」は結婚後にスポットを当てた作品とでも言うものでしょうか。この作品の主題は時代の背景こそ違えども普遍的な物ですから、今現在から見直しても、色褪せることなく伝わってきます。
5段階評価は5。
ケチケチさんのレビューを読んで、小津作品を観よう!
投稿日
2007/01/15
レビュアー
parole
レビューの「気に入った」得票を見ていたら、その得票数とランキングの順位とはおおよそ比例的な関係にあることに気が付きました。要するに、ランキングの上位にある人の投稿ほど多くの得票を得やすい、と。もちろん個々のレビューの内容が得票の多寡を決めている最も重要な要素だとは思うのですが、なぜこれほどまでに多くの得票を得ているのかがわからないものがある一方で、文字数にも書かれている内容にも殆ど差はないのに得票が0のものがずらり並んでいるのにはとても不思議なものを感じます。でも、冷静になって考えてみると、人気作だと数十、場合によっては百以上のレビューが並ぶわけですからその全てを見るのは至難の業であり、自ずと人気のある、知名度の高い(=ランキングの上位の)レビュアーに得票が集まると言うことなのかも知れません。また、ランキングの上位にいるレビュアーの多くは、話題作や注目作にたくさんレビューを書かれていますので、作品自体の人気も得票を集める重要な要素だと言うことなのでしょう。
かくいう私もこのような恩恵を受けている一人であり、人気作や話題作のレビューは殆ど書かないし、語り口とてとても「人に優しい」もので無いにもかかわらず少なからぬ投票を頂いています。その上、何故か昨年暮れ近くから「お気に入りレビュアー」への登録がじわじわと増え続けており、その人数も50人近くに達するほどです。もっとも「気に入った」得票がこれに併せて増えているというわけではないので、もしかしたら「お気に入らないレビュアー」として登録されているのかもしれません(苦笑)。アイツの言うことは癪に障るから、どんな気にくわないことを言うのかチェックしてやれ、なんて・・・。でも、仮にそうだとしてもチェックいただいているということ自体は喜ぶべきことであり、書く意欲も湧くと言うものです。
これまであえてレビューを書かずに大切にとっておいた『東京物語』でなんでこんな駄弁を弄しているのかと言うと、上記で述べたようなランキング上位レビューの恩恵と、(小津作品の中では)人気作であると言うことを活用し、ケチケチさんのレビューの「宣伝」をしたいと思ったからなのです。ケチケチさんは、年明けから小津作品のレビューを順次書かれていますが、これが実に素晴らしいのです。それは「paroleさんのレビューに触発されて」とお褒めいただいたから言っているわけではなく、そんなこととは全く関係なく、単なるレビューの域を超えた作品論とすら言えるような素晴らしいものだと思います。私が小津ファンと言うこともあるかもしれませんが、いずれも作品評という観点で観た場合数あるDISCASのレビューの中でもベストの一つと言いうるほどのものだと素直に思いました。
ケチケチさんの一連のレビューを読んで、『秋日和』の私のレビューで「定番の作品評になりうるくらいの気構え」などと厚顔無恥なことを書いてしまったことを今更ながら深く反省していますし(^_^;、こんなちんけな気構えなど喜んで撤回しますので、是非とも一人でも多くの方にケチケチさんのレビューをご覧頂き、そしてそれを手掛かりに小津作品に馴染んでいただけたらと思います。
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