恐怖の報酬

小学生の時に観て、それからン十年の月日が経つが
いまだにその映像が脳裏に焼きついている。
男達の人物描写が見事で、その恐怖がひしひしと伝わってきた。

普遍的な恐怖の法則は、古くなっても色褪せない。
間違いなくサスペンス映画の傑作のひとつです。

その後カラーでリメイクが出ましたが、間違いなくオリジナルの
方が秀逸です。

こういった良い映画は一人でも多くの人に観てもらいたいなぁ〜、ということで久々のレビューです。(^^;)

演出もさることながら、脚本、特に構成の面においては、古風ではあるけれども観客の心を捉え、次の展開を絶えず期待させる構成です。
前半、現在の映画に比べると多少ドラマ展開がゆったりとしてはいますが、ここで描き込まれる登場人物達の個性が、後のサスペンスを大きく盛り上げる下敷きになります。
ニトログリセリンを積んだトラックがスタートしてから、いや正確にはスタートする以前から、登場人物達の心境に変化が現れてきます。そしてその変化は、危険を積み込んだトラックが様々な局面に遭遇すると共に、より顕著に表面化してきます。単に出来事としてのサスペンスだけじゃない、登場人物同士の駆け引きや、登場人物の違った一面が表面化する驚きが、観客を魅了しドラマに引きつけ続けます。派手なCGによる合成やアクションシーンなど無くても、それだけで面白い映画は作れるという見本のような映画じゃないでしょうか。
たとえば「駅馬車」(ジョン・フォード、1939年)なども、こういった映画の構成と同じで、駅馬車が立ち寄る町々を一つの区切りとして、登場人物達の変化が顕著に表面化します。その変化が出来事ととしてのサスペンスだけじゃない、人間ドラマとしてのサスペンスを生み出すわけで、普遍的に観客の心を捉える"仕掛け"がそういうところにあるんじゃないかと思います。

「駅馬車」が1939年、この作品が1952年、13年の隔たりの中で構成もより工夫が凝らされています。トラックが進行するにつれて繰り広げられる人間模様ですが、さらにこのトラックを2台とすることで、トラック自体にも人間を模した擬似的な表現によってテーマに繋がる物を表現していますし、次々に起こるサスペンスにも変化が生まれています。同じようなテーストのシークエンスが連続すると、やはり人間飽きを感じる物ですが、そういった事態を起こさせない工夫がしっかり凝らされているんですね。
昨今のCGに頼った映画はどうでしょうか、CGによる目先の変化に頼りすぎて、こういったドラマ展開の変化による面白さを忘れてはいないでしょうか。

また、前半で登場人物達が克明に描き込まれると書きましたが、ここにも一工夫凝らされていて、トラックに乗り込む4人の男たちのうち、1人だけは謎のままにしています。これもまたサスペンスを盛り上げる大きな要素で、トラックの顛末にも結びつける箇所で上手く利用されてもいますし、心憎い限りです。

現代の映画なら前半の登場人物達の紹介箇所で、もうちょっと観客を引きつける事件や事故が必要かなとは思いますが、全体の構成としては現代の映画がなおざりにしているドラマ展開の面白さをひしひしと感じさせてくれる映画です。

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イヴ・モンタンを一躍有名にした本作ですが、何度観ても前半がやたら長く感じる、でもこれが無いと感情移入出来ないので我慢我慢、後半へ繋がる背景を把握するには大切な時間なのでしょうがない。

舞台は原作ではベネズエラだが、本作では明確には語られず架空の町という設定らしい、働き口も無く貧困の為に日々死者が出る劣悪な環境で暮らす移民達、そして壁で囲まれ貧困層と一線を欠くアメリカ系石油会社の裕福層、何時の時代もアメリカはアメリカだと感じる。

そんな田舎町である日大事件が起きる、町から５００ｋｍ離れた油田で火災が発生し出稼ぎに出ていた町の労働者に死傷者出てしまう、ここでの石油会社の対応は現実に有りそうでかなり腹が立つ
だが事故により、貧困層に莫大な儲け話が転がり込んでくるのだが、事故の犠牲者を悼み石油会社の対応に不審を抱く労働者達の家族が集会まで開き、暴動の一歩手前の様相を見せる、だが儲け話が持ち上がると手のひらを返したように石油会社に押し寄せる人達、人間食べるのもままならないとこんなものだろうと、妙に納得してしまうのが悲しい。

仕事内容は、油田火災を鎮火させる為大量のニトログリセリン（少しの衝撃で爆発する）を爆発させ、その爆風で鎮火させようというもの、だが専用運搬車が無い上に一刻を争う為、軍用トラックでの運搬を莫大な報酬をちらつかせ、貧困層からドライバーを募るだった
選ばれたのは、主人公マリオとジョーのフランス人ペアにルイージとビンバペアの二組、これより５００ｋｍにも及ぶ死と隣り合わせのドライブが幕を開けるのだった。

ここからやっと「恐怖の報酬」が幕を開けるのだが、やはり長いめちゃくちゃ長い（笑）、挫折した方達はかなり多いだろうと思われる
そして本作の売りである広陵とした大地だが、実はフランスでオールロケだそうだが、分からない程の臨場感があり、これだけでも作品としての価値は高いと感じる
道中様々なトラブル、そして仲間達の死を乗り越え、油田に辿り着いたのはトラック一台そしてマリオ一人と助手席で息絶えたジョーだけだった。

今観ればそこまでの名作と思えないかもしれないが、５０年以上前の作品であり、会話も当時のフランス映画に有りがちな会話に成っていないキザな台詞も少なく、すんなり受け入れられるのは素晴らしいと感じ、当時としては破格のサスペンスと面白さを持っていたのがうかがい知れる貴重な作品でお勧めです。

良く言われる「マリオブラザーズ」との関連だが
今一度調べてみると全く関係なく、任天堂ＵＳＡの従業員の名前から
マリオ＆ルイージは名付けられたそうです（笑）。

サスペンスのオールタイムベストでは、必ず１０位以内に選ばれる歴史的名作です。「歴史的」と書きましたが、今見てもホントに面白いです。一攫千金を狙う汚い男たちが非常にリアルです。金への欲望丸出しの中にも男気があったり、友情があったりして、暗黒映画の常道ではありますが、じーんと来ます。白黒の暗い画面がダークなストーリーには寧ろふさわしく、石油まみれ、泥まみれになるショックシーンも凄いです。見ていてホント、冷や冷やします。心臓が縮みます。よく出来ています。これだけ面白ければ何の文句もありません。ラストは皮肉っぽくて、またこれがフランス映画らしくていいのです。ああ、人生ってこんなもんだなあと思います。ウィリアム・フリードキンのリメークはこの旧作が余りに傑作だったので、評判が悪いのですが、私はリメークも大変よく出来ていると思いました。

小さな町の描写、男たちの組織図
何故　金に執着するか
そんな日常の描写が　後半に生きています。
また後半がよくできている。
どんな作品かわかってはいるんですが
冷や汗をかいてしまいます。
文句ナシで楽しみました。

ニトログリセリンと道連れの悪路
お勧めします。


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soutet さま　
こんな場所にメッセージ残してスイマセン
私も書くことが大好きです。それ以上に読むのが大好き。
いつも楽しみにしています。

よふかしさま
もう一度　はじめられてはいかがですか?
お待ちしていますね。