恐怖の殺人ネズミ

確かにそこら辺の廃墟に適当にセットを作って撮影した映画かもしれません
しかし照明といい美術の作り込みといい実にちゃんとしており、基本的に1カットのロングショットでアクションや役者の演技を撮ろうとしています
クローズアップやカットを多くしてごまかしている作品とは訳が違うのです
椅子に座っている死体を振り向かせるシーンはどう見てもサイコ(1960）のあの場面ではないか！
さすがヴィンセント・ドーン、決して志は低くない！いややっぱり志は低いかもしれないけど映画人としての魂は失っておりません！

なにが怖いの怖くないのって、この映画はさすがに古いだけあって全く特殊効果関係が使われていない。
つまり画面に出ている多少大量のネズミはすべて本物のネズミ。（このためにこの監督は当時保健所からクレームをつけられたらしいｗ）
しかも全然闘争心がないのだ。
とても困惑した表情の沢山のネズミが、所在なげに床に撒かれてる（これが画面にも映ってるのが情けない）餌をかさこそと囓るのみ。
もしくはたぶん無理矢理カゴから振り落とされたであろうネズミが慌てて逃げる姿のみ。
それを相手に役者たちは
「うわー、うぎゃー」
とかみつかれもしないのが明らかな画面で叫んでいるのだ。
で、小さな噛み傷（このメイクもめっちゃしょぼい！）を十数カ所つけられただけで床に倒れて死んでしまう。
その死体にすらネズミはたかりもしない。
そう、ネズミたちは長時間の撮影にきっと疲れ果てているんだろう。
・・・・ネズミが気の毒になってきた・・・。

終了直前のほんの５分で複線だったはずの「コンピューター」やら「新人類」やらの種明かしが出るが、もはやそんなことは蛇足に思える。
これはかわいそうな過労の「ラッツ」の物語だっｗ

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ネズミ側より人間側の作品なように思う。ネズミの活躍の場はあまりなくほとんどがネズミを駆除する側の物語だった。最期もあれでは駆除できたかどうかもわからないし、あれで全てのネズミかもわからない微妙な終わり方だった。

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死体をじっくり見せ(大体暫くたった死体だけど)、メンバーがヘマばっかりするいつもの作風で物語は進んで行き、SF要素なんていらないだろうという状態ですが、最後の黄装束の中の顔でランクはグッとアップ！まあB級映画を最高点で評価するか平均点で評価するかにもよりますけど。

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