キングコングの逆襲

東宝特撮映画のDVDの魅力は、オーディオ・コメンタリーが特典になっていることです。

宝田明さん、水野久美さんなどの主演俳優や、有川貞昌さん、この映画の富岡素敬さんなど、円谷英二の補佐をした特技班の実働部隊がコメントしているのが、素晴らしい！
何より、特撮への博識・愛情に裏付けられた、聴き手の佐藤利明さんの落ち着いたナビゲーションには、いつもながら敬服します。

この映画は冒頭、潜水艦シーンから、北極でメカニコングが登場する場面まで、いきなり、ゾクゾクさせてくれます。
ゴジラが出ない特撮映画の名作は、「バラン」「ラドン」「モスラ」「妖星ゴラス」「サンダ対ガイラ」…など、多いですが、この映画は、その最後の作品でしょう。

ゴジラ対メカゴジラ、が出来たように、キングコング対メカニコングという構図がこの映画の見せ所になっている。
メカゴジラは何度も登場し、対ゴジラ兵器として、宇宙人や地球人が操っている。
メカニコングは稀少で、世界中の映画で、この作品にしか登場しない。
この美しい造型は、生き物のキング・コング以上です。主役を食っています。

この映画の中盤の見せ場は、円谷英二のこだわりにあります。
アメリカ映画「キングコング」（原典・1933年）のキング・コングと恐竜の対決シーンを、ほぼ同じコマ割り（コンテ）で再現したところです
原典への礼賛と、それを超えるものを作りたいという意欲・自信。
オーディオ・コメンタリーの富岡素敬さんの発言によると、「コンテは円谷英二の指示があったが、構図はカメラマン任せであった」ということです。しかし、コマ割りが決まると、おのずから構図は限定されるもので、このシーンは、原典と非常に近いものになっています。

そして、東京タワーでの決戦！　最大の見どころです。
映画館で上演してほしいです。

この映画のもう一つの魅力は、俳優陣です。

○宝田明：原典「ゴジラ」や、「キングコング対ゴジラ」に主演した、東宝特撮最高の名優。荒唐無稽ともいえる設定において、リアルを体現できるの役者（平田明彦とともに）。「ゴジラ FINAL WARS」でも、その存在感が抜群でした。

○リンダ・ミラー：コングに愛される女性役。時代（1967年）を感じさせる、ひざ上20センチのミニドレス。吹替の山東昭子さんの低い声とのギャップも面白い。見えそうで見えない健康な色気。

○浜美枝：この映画での魅力が、公開前に海外で注目され、007シリーズ「007は二度死ぬ」ボンドガール役が実現した。大人の色気。

○天本英世：メカニコングの製作者である、マッド・サイエンティスト「ドクター・フー」を演じる。東宝特撮の常連脇役で、ぶっ飛んだ人物造型が最上。この映画では、メカニコングが生物コングを食ったように、全俳優を食ってしまった。ジョン・マルコヴィッチのように、声に色気がある名優です。

一度、本編を見て、二回目は特典のオーディオ・コメンタリーの音声で見る。すると、また本編音声で見たくなる。
そういう名作です。

見るに堪えない昔のかぶり物映画！
ＣＧ全盛期の現在ではローテクの作品を見るたびに・・・・

浜美枝さんが非常に美しかったです。天本さん・宝田さんまさに東宝ですね！

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

鉱石を掘り出すだけなら、キングコングを模したロボットである必要は、ないと思うけど、メカニコングは、デザインがいいね〜！改めて関心しました。

終盤の東京タワーでの格闘シーンは圧巻。ヒロインの危機を絡めた見せ方も上手い。天本英世の悪役も今となっては懐かしいし、浜美枝も魅力的だ。

画質★★★★☆
解像感、色調ともに高レベル。こってりとした色のりは好みの分かれるところだが、東宝の特撮シリーズは期待を裏切らない。

音質★★★☆
ドルビーデジタル／5.1chサラウンドはリミックスだが違和感はない。セリフはやや細身。

評価は５点満点。★＝１点、☆＝０.５点。