エル・スール / オメロ・アントヌッティ
エル・スール
/ビクトル・エリセ
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全体の平均評価点: (5点満点)
(15)
解説・ストーリー
故郷“エル・スール”(スペイン語で“南”の意味)を捨て、北の地へ移り住んだ父の姿を、スペイン内戦や、彼の忘れ得ぬ恋人への想いを絡め、その娘の目を通して描いたヒューマン・ドラマ。監督は「ミツバチのささやき」のヴィクトル・エリセ。
故郷“エル・スール”(スペイン語で“南”の意味)を捨て、北の地へ移り住んだ父の姿を、スペイン内戦や、彼の忘れ得ぬ恋人への想いを絡め、その娘の目を通して描いたヒューマン・ドラマ。監督は「ミツバチのささやき」のヴィクトル・エリセ。
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「エル・スール」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
故郷“エル・スール”(スペイン語で“南”の意味)を捨て、北の地へ移り住んだ父の姿を、スペイン内戦や、彼の忘れ得ぬ恋人への想いを絡め、その娘の目を通して描いたヒューマン・ドラマ。監督は「ミツバチのささやき」のヴィクトル・エリセ。
「エル・スール」 の作品情報
「エル・スール」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
エル スールの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
95分 |
日本語 |
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TCDR1008 |
2000年07月28日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
23枚
|
1人
|
1人
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エル スールの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
95分 |
日本語 |
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
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TCDR1008 |
2000年07月28日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
23枚
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1人
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ユーザーレビュー:15件
まさかのエル・スール。しかし在庫1
この作品がラインナップされていること自体には敬意を表します。しかしこの在庫数は酷い話で、何が「日本最大の品揃え!」ですか。こういうのをタイトル数詐称のための言い訳在庫と呼びます。
在庫1あるいはごく少数ってのが多すぎますね。全国を商圏にしているのにこの在庫。メーカーに「死ね」ユーザーに「観るな」と言っているのと同義。
「エル・スール」自体は、観る価値がある素晴らしい作品です。「ミツバチのささやき」も是非。ほんとうは再び劇場で観たい。
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44人の会員が気に入ったと投稿しています
エストレリャのこれからの物語
たまらない導入です。美しくも厳かな映像、溜息が出てしまいそうな卓抜した演出。そして光と影のドラマが展開します。というよりは光が差し込むことと陰っていくことのドラマと言った方が良いかもしれません。 父親の苦悩を知ってしまった少女の、繊細な心の内が丁寧に描写されていて、その世界観に思わず惹き込まれてしまいました。
15歳のエストレリャが飼い犬の吠える声と、母のフリアと家政婦が叫び声で、目覚めるシーンから始まります。何事かとベッドから身を起こしたエストレリャは、父が愛用していた振り子が枕の下から見つかり、父が帰らぬ人となったことを直感して涙します。
「ミツバチのささやき」同様にスペイン内戦の傷跡を背景に、エストレリャの成長と同時に、父の悲しみの物語をも描いています。
彼女はそれにかすかに気づきながら、深く寄り添えなかった娘の物語でもあるような気がします。
ホテルのレストランで、二人で食事をした後、フランス語の授業サボれないかと聞いてきた父。驚いたエストレリャに「冗談でしょ?」と断られて、笑顔しか見せなかった父に、一瞬ぞっとしてしまいました。独りになった父親が凄く小さくて寂しそうだったのがとても印象的です。
父という存在でありながら、エストレリャの知らない過去を持つ人。過去に大きな忘れ物をしてきた様でもあり、苦悩を抱え北の地へやって来た父。
子供の頃から分からなかった父の抱えていた秘密を知りたい娘。父は最後に娘に何を語ろうとしたのでしょうか?
そしてこの物語は、南の地を生まれて初めて踏むエストレリャの、これからの物語であるような気がしました。
最近知ったのですが、制作費不足で撮影が途中で中止になったらしいですね。南のパートの脚本があるそうです。
南のパートを是非見たいです。
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17人の会員が気に入ったと投稿しています
エル・スールへ。
投稿日:2012/08/22
レビュアー:まみもぉ
この名作をレビューしようと久々の再見。
でも、ここでのレンタルは永遠にできそうにないので手持ちのVHSで。
アナログな画像の質は覚悟していたのですが、そんな覚悟は必要ありませんでした。
冒頭、暗闇の”黒”の名シーン。
自然の光が窓から部屋で流れ込んでくるその美しさに便乗して、同じ場所のまま時間が過去へ。
…素晴らしい。
カメラが自然光のように動きます。
画面の奥へと初めて招き入れてくれた映画です。
その奥行き美しい並木道を自転車で走って行く少女エストレリャ、追う子犬。
自転車のペダルをしっかりと回し戻ってくる娘エストレリャ。迎える成犬。
大好きなシーン。
しばらくぶりで観るとこのシーンの奥行きはもちろんですが、
父娘の最後となるシーンのそれに、寒気がしました。
「何でも聞いてごらん。」と言われた娘、エストレリャはためらいながらも、長い間聞きたかったことを父にたずねます。
娘を見る父の胸中が初めて痛く伝わってきました。
厳格で無表情な印象のあったオメロ・アントヌッティ。今回はその感情とともになんとも豊かな表情に見えました。
午後からの授業を、「さぼれないか?」
思わぬことを言った父に驚きながらもはエストレリャ席を立ち、父はそのままテーブルに。
手前に娘、その奥に父…。
縦に流れるシーンが胸に迫りました。
部屋を出る前エストレリャは懐かしい音楽の流れる隣室の結婚式場をドアのカーテンの隙間から覗きます。
自然光のように動くカメラはエストレリャの視線を離れ上から奥へ。
そして覗くエストレリャを振り返る… その間父は、テーブルについたまま何を思っていたのか…
その後、電話で話した事が引き金となったのだと思っていましたが、
そうではなく、それを思いとどまるためのエル・スールへの電話だったのだろうと思えました。
切れたブランコの手綱は、全てに敗北し南へ戻れなくなった父アグスティンの命綱のようでした。
本来なら2時間超の大作となるはずだった『エル・スール』。
でも、エストレリャのエル・スールでの成長は、旅立つ彼女のトランクにしまわれた品々から
エリセ監督の映像のように、様々な想像を記憶の奥へと繋いでくれました。
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15人の会員が気に入ったと投稿しています
父の背中
投稿日:2012/12/22
レビュアー:JUCE
とてもせつない映画です。
「戯れに母を背負いてそのあまり軽きに泣きて三歩歩まず」という石川啄木の詩を学校で習った時に感じた不安感とせつなさ。その時の感情と似たものが沸き起こります。
流石に寡作な監督だけあって、一本一本の密度が濃い。『ミツバチのささやき』同様にスペインの内戦が背景にあって、その内戦の影響を受けた父の姿をその娘の視線で描くという構成になっています。前作では無垢な子どもとそこから大人へ足を踏み入れるという境界線を姉妹で描いていましたが本作ではもっと長いスパンの話として少女自身が成長することによって父の姿(見え方)が微妙に変化していく様を描いています。
少女のモノローグを狂言回しとして進行して行きますが、これが決して説明のためのナレーションでは無く、あくまでも少女の心の声として使われているのが効果的です。ですから父の謎など、少女が知りえないことはナレーションとしても踏み込まないのです。
これは推測なのですが、『ミツバチのささやき』の続編と言うのか、謎になっていた部分の答えが『エル・スール』なのではという気もします。『ミツバチのささやき』で少女達の母が書いていた手紙は『エル・スール』のエストレリャの父にあてた手紙ではないのか?
2作品をみるとヴィクトル・エリセが同ポジで時間経過を撮影する手法が好きなんだなということに気付きます。(同ポジがずれてるんですけどそれは愛嬌で)なかなか効果的な演出です。
『ミツバチのささやき』以上に無駄なカットを省き、かつ詩的で有機的なシーンの連続です。かもめの家のミナミを向いている風見鶏など細かい配慮が随所に散りばめれていて、この映画もまた観るたびに何度も発見がありそうな映画です。
子を持つ親、特に父親ならばこの映画はかなりせつない映画なのではないでしょうか。
「今の私は子どもたちどう映っているのだろう。まだ父の背中は広く、そしてたくましく映っているのか?」この映画を観て、ふと、そんな思いが頭に浮かびました。
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11人の会員が気に入ったと投稿しています
僕の素晴らしい映画 その99
投稿日:2011/12/27
レビュアー:よふかし
ヴィクトル・エリセは突然やってきた。ちょうど僕が大学に入ったころだ。怪物と少女、移動映画が紡ぐファンタジー、スペイン内戦の影……端正でリリカルで美しい『ミツバチのささやき』と、それに次ぐ長編第二作『エル・スール』はあまり間を置かずに公開され、観に行った記憶がある。どちらも素晴らしい作品だが、アナ・トレントの無垢が際立つ『ミツバチ』のほうが人気があり、よく観られているような気がする。
というのは、良く知られているように、『エル・スール』は当初構想にあった終盤の「南(=エル・スール)」のパートが製作されないまま、言わば未完の作品。少女エストレリャは転地療養として南の祖母の家に行き、そこで父の愛した「女優」のことを知る――という物語は、ついに撮られなかった。そのため、ラストがやや唐突に思われることもあるだろうし、物語世界が完結していない宙ぶらりんな感じがないでもない。
しかし――実のところ、『エル・スール』は現在の形でじゅうぶん美しい。ついに「南」が描かれないまま、いや描かれないからこそこの作品は美しく完成しているとも思うのだ。きっとエストレリャは父の思いを知るだろう、そんな未来を予感させて映画は終わる。それで十分ではないか、と僕は思う。
冒頭の夜明けの光が窓に差し込んでくるショットは――DVD(紀伊国屋書店版)ではちょっと潰れ気味に見える。これはやはり映画館でなければその本領は分からないのかもしれない、それでも、続くいくつかのショットは、まるでフェルメールのように美しい。
繰り返されるドアをくぐり抜けるショットや、家の前の「国境」という並木道を使ったいくつものシーンはため息がでるような映画美に満ちている。ことに、初めての聖体拝領を迎えたエストレリャがウェディングドレスのような真っ白なドレスを着て、枯れ木の下を走り、庭の扉を開ける瞬間には言葉も出ない(もちろん僕は、ドアの使い方やエプロンの使い方で「ジョン・フォードだ!」と断言できるほど映画力はないのだ)。遠くから響く父の猟銃の銃声にびくっとするエストレリャ――。
初見から25年、僕はひとりの娘の父親となって、娘はちょうどこのエストレリャと同年代だ。『父 パードレ・パドローネ』のオメロ・アントヌッティ演じる父親は、いまの僕と同世代だろうか。彼が映画館シネ・アルカディアでB級ノワール(たぶんフェイクのフィルムだと思うが、なんと楽しげに撮られていることだろう)に心揺さぶられる様子は、25年前とは違ったリアルさをもって僕に迫る。あまりにも過去に囚われた――内戦の敗者であり、愛にも敗れ、みっともなくあがく男のモノローグは、ちょっとセンシティブに過ぎるのだが、やり直しが効かない人生に対する痛みをようやく実感し始めた僕の胸に、強く響く。
語り口はひじょうに軽やかで稚気に満ち、小難しいところはない。形式へのこだわりよりも、どう語るかが優先されているので、テンポも良い。しかし良く観れば、このシンプルな物語を表現するために、どれほどのショットが積み重ねられ、光と影や、色彩(毛糸の赤なんて素晴らしい)や、音響の設計にどれほど手がかけられていることかに驚いてしまう。90点。
(素晴らしい映画その100は、『巴里のアメリカ人』です)
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9人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
まさかのエル・スール。しかし在庫1
投稿日
2011/02/26
レビュアー
Movie Boo
この作品がラインナップされていること自体には敬意を表します。しかしこの在庫数は酷い話で、何が「日本最大の品揃え!」ですか。こういうのをタイトル数詐称のための言い訳在庫と呼びます。
在庫1あるいはごく少数ってのが多すぎますね。全国を商圏にしているのにこの在庫。メーカーに「死ね」ユーザーに「観るな」と言っているのと同義。
「エル・スール」自体は、観る価値がある素晴らしい作品です。「ミツバチのささやき」も是非。ほんとうは再び劇場で観たい。
エストレリャのこれからの物語
投稿日
2014/06/22
レビュアー
ミルクチョコ
たまらない導入です。美しくも厳かな映像、溜息が出てしまいそうな卓抜した演出。そして光と影のドラマが展開します。というよりは光が差し込むことと陰っていくことのドラマと言った方が良いかもしれません。 父親の苦悩を知ってしまった少女の、繊細な心の内が丁寧に描写されていて、その世界観に思わず惹き込まれてしまいました。
15歳のエストレリャが飼い犬の吠える声と、母のフリアと家政婦が叫び声で、目覚めるシーンから始まります。何事かとベッドから身を起こしたエストレリャは、父が愛用していた振り子が枕の下から見つかり、父が帰らぬ人となったことを直感して涙します。
「ミツバチのささやき」同様にスペイン内戦の傷跡を背景に、エストレリャの成長と同時に、父の悲しみの物語をも描いています。
彼女はそれにかすかに気づきながら、深く寄り添えなかった娘の物語でもあるような気がします。
ホテルのレストランで、二人で食事をした後、フランス語の授業サボれないかと聞いてきた父。驚いたエストレリャに「冗談でしょ?」と断られて、笑顔しか見せなかった父に、一瞬ぞっとしてしまいました。独りになった父親が凄く小さくて寂しそうだったのがとても印象的です。
父という存在でありながら、エストレリャの知らない過去を持つ人。過去に大きな忘れ物をしてきた様でもあり、苦悩を抱え北の地へやって来た父。
子供の頃から分からなかった父の抱えていた秘密を知りたい娘。父は最後に娘に何を語ろうとしたのでしょうか?
そしてこの物語は、南の地を生まれて初めて踏むエストレリャの、これからの物語であるような気がしました。
最近知ったのですが、制作費不足で撮影が途中で中止になったらしいですね。南のパートの脚本があるそうです。
南のパートを是非見たいです。
エル・スールへ。
投稿日
2012/08/22
レビュアー
まみもぉ
この名作をレビューしようと久々の再見。
でも、ここでのレンタルは永遠にできそうにないので手持ちのVHSで。
アナログな画像の質は覚悟していたのですが、そんな覚悟は必要ありませんでした。
冒頭、暗闇の”黒”の名シーン。
自然の光が窓から部屋で流れ込んでくるその美しさに便乗して、同じ場所のまま時間が過去へ。
…素晴らしい。
カメラが自然光のように動きます。
画面の奥へと初めて招き入れてくれた映画です。
その奥行き美しい並木道を自転車で走って行く少女エストレリャ、追う子犬。
自転車のペダルをしっかりと回し戻ってくる娘エストレリャ。迎える成犬。
大好きなシーン。
しばらくぶりで観るとこのシーンの奥行きはもちろんですが、
父娘の最後となるシーンのそれに、寒気がしました。
「何でも聞いてごらん。」と言われた娘、エストレリャはためらいながらも、長い間聞きたかったことを父にたずねます。
娘を見る父の胸中が初めて痛く伝わってきました。
厳格で無表情な印象のあったオメロ・アントヌッティ。今回はその感情とともになんとも豊かな表情に見えました。
午後からの授業を、「さぼれないか?」
思わぬことを言った父に驚きながらもはエストレリャ席を立ち、父はそのままテーブルに。
手前に娘、その奥に父…。
縦に流れるシーンが胸に迫りました。
部屋を出る前エストレリャは懐かしい音楽の流れる隣室の結婚式場をドアのカーテンの隙間から覗きます。
自然光のように動くカメラはエストレリャの視線を離れ上から奥へ。
そして覗くエストレリャを振り返る… その間父は、テーブルについたまま何を思っていたのか…
その後、電話で話した事が引き金となったのだと思っていましたが、
そうではなく、それを思いとどまるためのエル・スールへの電話だったのだろうと思えました。
切れたブランコの手綱は、全てに敗北し南へ戻れなくなった父アグスティンの命綱のようでした。
本来なら2時間超の大作となるはずだった『エル・スール』。
でも、エストレリャのエル・スールでの成長は、旅立つ彼女のトランクにしまわれた品々から
エリセ監督の映像のように、様々な想像を記憶の奥へと繋いでくれました。
父の背中
投稿日
2012/12/22
レビュアー
JUCE
とてもせつない映画です。
「戯れに母を背負いてそのあまり軽きに泣きて三歩歩まず」という石川啄木の詩を学校で習った時に感じた不安感とせつなさ。その時の感情と似たものが沸き起こります。
流石に寡作な監督だけあって、一本一本の密度が濃い。『ミツバチのささやき』同様にスペインの内戦が背景にあって、その内戦の影響を受けた父の姿をその娘の視線で描くという構成になっています。前作では無垢な子どもとそこから大人へ足を踏み入れるという境界線を姉妹で描いていましたが本作ではもっと長いスパンの話として少女自身が成長することによって父の姿(見え方)が微妙に変化していく様を描いています。
少女のモノローグを狂言回しとして進行して行きますが、これが決して説明のためのナレーションでは無く、あくまでも少女の心の声として使われているのが効果的です。ですから父の謎など、少女が知りえないことはナレーションとしても踏み込まないのです。
これは推測なのですが、『ミツバチのささやき』の続編と言うのか、謎になっていた部分の答えが『エル・スール』なのではという気もします。『ミツバチのささやき』で少女達の母が書いていた手紙は『エル・スール』のエストレリャの父にあてた手紙ではないのか?
2作品をみるとヴィクトル・エリセが同ポジで時間経過を撮影する手法が好きなんだなということに気付きます。(同ポジがずれてるんですけどそれは愛嬌で)なかなか効果的な演出です。
『ミツバチのささやき』以上に無駄なカットを省き、かつ詩的で有機的なシーンの連続です。かもめの家のミナミを向いている風見鶏など細かい配慮が随所に散りばめれていて、この映画もまた観るたびに何度も発見がありそうな映画です。
子を持つ親、特に父親ならばこの映画はかなりせつない映画なのではないでしょうか。
「今の私は子どもたちどう映っているのだろう。まだ父の背中は広く、そしてたくましく映っているのか?」この映画を観て、ふと、そんな思いが頭に浮かびました。
僕の素晴らしい映画 その99
投稿日
2011/12/27
レビュアー
よふかし
ヴィクトル・エリセは突然やってきた。ちょうど僕が大学に入ったころだ。怪物と少女、移動映画が紡ぐファンタジー、スペイン内戦の影……端正でリリカルで美しい『ミツバチのささやき』と、それに次ぐ長編第二作『エル・スール』はあまり間を置かずに公開され、観に行った記憶がある。どちらも素晴らしい作品だが、アナ・トレントの無垢が際立つ『ミツバチ』のほうが人気があり、よく観られているような気がする。
というのは、良く知られているように、『エル・スール』は当初構想にあった終盤の「南(=エル・スール)」のパートが製作されないまま、言わば未完の作品。少女エストレリャは転地療養として南の祖母の家に行き、そこで父の愛した「女優」のことを知る――という物語は、ついに撮られなかった。そのため、ラストがやや唐突に思われることもあるだろうし、物語世界が完結していない宙ぶらりんな感じがないでもない。
しかし――実のところ、『エル・スール』は現在の形でじゅうぶん美しい。ついに「南」が描かれないまま、いや描かれないからこそこの作品は美しく完成しているとも思うのだ。きっとエストレリャは父の思いを知るだろう、そんな未来を予感させて映画は終わる。それで十分ではないか、と僕は思う。
冒頭の夜明けの光が窓に差し込んでくるショットは――DVD(紀伊国屋書店版)ではちょっと潰れ気味に見える。これはやはり映画館でなければその本領は分からないのかもしれない、それでも、続くいくつかのショットは、まるでフェルメールのように美しい。
繰り返されるドアをくぐり抜けるショットや、家の前の「国境」という並木道を使ったいくつものシーンはため息がでるような映画美に満ちている。ことに、初めての聖体拝領を迎えたエストレリャがウェディングドレスのような真っ白なドレスを着て、枯れ木の下を走り、庭の扉を開ける瞬間には言葉も出ない(もちろん僕は、ドアの使い方やエプロンの使い方で「ジョン・フォードだ!」と断言できるほど映画力はないのだ)。遠くから響く父の猟銃の銃声にびくっとするエストレリャ――。
初見から25年、僕はひとりの娘の父親となって、娘はちょうどこのエストレリャと同年代だ。『父 パードレ・パドローネ』のオメロ・アントヌッティ演じる父親は、いまの僕と同世代だろうか。彼が映画館シネ・アルカディアでB級ノワール(たぶんフェイクのフィルムだと思うが、なんと楽しげに撮られていることだろう)に心揺さぶられる様子は、25年前とは違ったリアルさをもって僕に迫る。あまりにも過去に囚われた――内戦の敗者であり、愛にも敗れ、みっともなくあがく男のモノローグは、ちょっとセンシティブに過ぎるのだが、やり直しが効かない人生に対する痛みをようやく実感し始めた僕の胸に、強く響く。
語り口はひじょうに軽やかで稚気に満ち、小難しいところはない。形式へのこだわりよりも、どう語るかが優先されているので、テンポも良い。しかし良く観れば、このシンプルな物語を表現するために、どれほどのショットが積み重ねられ、光と影や、色彩(毛糸の赤なんて素晴らしい)や、音響の設計にどれほど手がかけられていることかに驚いてしまう。90点。
(素晴らしい映画その100は、『巴里のアメリカ人』です)
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