マンハッタン・ベイビー

　フルチの原理思考を前面に押し出した快作です。
ですがぱくりも忘れずヒッチコックバリの「鳥」へのオマージュもあります（少々あざといですが・・）
　せっかくミステリアスな内容を、お得意のグロ連発でしっかりわからなくもしています。
これがないとフルチ風味にかけます。
　ストーリーの意外性も楽しめるのでこの夏はフルチでどうですか？

執拗に顔面や眼球にカメラを寄せているかと思ったら時折はっとするような美しいロングショットを見せてくれる
またピントを画面の手前から奥、その逆に奥から手前へと送るという演出も気に入っているようです
マリオ・バーヴァやダリオ・アルジェントのように殊更凝った照明を用いた映像美を志向していなはいないが
紛れもなく異様なイメージを提示してくる・・・例えば銃を撃つ場面一つをとってもルチオ・フルチが演出したことがわかってしまう
こうした画面に必ず癖と呼ぶべきものが現れてしまう、それが映画作家の才能と呼ぶべきものではないでしょうか

こんな映画私以外の誰も面白がったりはしないでしょうが・・・しかしエクソシストなんかよりはずっと面白いと宣伝しておきます！

マカロニ・ホラーの巨匠ルチオ・フルチ の作品ですが、フルチの作品でも一番パッとしないのでは
ないでしょうか。
エジプトの邪神（?）が少女に取りつくって内容ですが、前半オカルトっぽい滑り出しは、
良かったのですが、「エクソシスト」の様な展開になることも無く
後になるほど退屈で単調な流れになり、ヤマ場であるべき部分もヤマにならずに終わった
感じで、見終わった後に一体何だったんだろうと意味もわからずにエンディングロールに流れ込みます。
（マカロニ・ホラーによくある、予算切れで無理やり終わらしたような尻つぼみ感）
いつものフルチの作品の残虐さも無く、巻き込まれて死んで行く人もなんの主張（派手さ）も無く死んで行きます。
派手さと言う部分ではヒッチコックの「鳥」オマージュっぽい部分ぐらいか...。
（エレベータの床が抜けるのは、何故か微笑ましい...。）
「サンゲリア」とかの躍動感とかを期待した人、肩透かしを食いますが、マカロニ・ホラーが好きで
フルチの異色作も見てみたいと思う人には、「こういった作品も作ったんだ...。」って事でお勧め出来ます。
それ以外の人には、お勧めできないかな...。

ミステリー趣向というところだけで選びましたが、
観るに耐えないほどの作品です。
ホラーマニアかこの監督の作品を追って観てる人以外は
みな同じ意見ではなかろうか。

安っぽい。
効果音のせいだと思う。音が古めかしい。いちいち効果音が入るところとか、昔の映画ってかんじがする。
話は、中身がない。
タイトル、なにが「マンハッタン」、なにが「ベイビー」かと。