吸血鬼

nekoちゃんや　よふかしさんのレヴューで気付いて　こんなのも出てくる時代になったのねって　例えばアルトマンの「バードシット」のようなまったくマイナーでない作品で　さっぱり再公開あるいは　ＤＶＤに出ないまま埋もれてる作品てあるよねえ　ポランスキーではこれなので　まずは愛でたい　誰が見ても面白く出来てる豪華な吸血鬼映画なのでお勧めします　前の席で観てた某有名評論家が「優雅な怪奇映画ですねえ」と言ってました

これは紅顔のラヴァ様高校生の頃かよっていた　シネクラブ研究会で初上映されたもの劇場公開はなし　シネクラブ研究会は川喜多和子さんが主宰してた自主上映会で　なんたって鈴木清順４７作品公開の快挙を　当時の日活馬鹿幹部につぶされ清順監督が解雇に追い込まれ　共闘会議が結成された大事件で有名　おいらも清順映画を一本も観てないのにデモの最後に金魚のふんみたいにくっついって行った多分最年少　先頭でデモ指揮をやってたのがハスミンだなんてまったく知らない頃　受付によくいた川喜多さんは若くてきれいだったな　伊丹十三と別れてフランス映画社に入りその後の活躍は知るとおり　１０年ほど前５０代の若さで死んじゃって残念　シネクラブでは数々の未公開作を上映ほんとに貴重な映画体験だったね　

この「向こう見ず吸血鬼殺し達」もその一本　日活幹部は清順だけでなく結果シネクラブ研究会もつぶしてしまい　これら優れた映画作品を十数年も陽の目をみない措置にしたわけで　その映画文化史に残した汚点と破壊の罪は計り知れない　映画資本と表象文化芸術としての映画作品との矛盾を抱えた闘いはこれからも続くのだろうけど　こんな馬鹿げた暴挙だけは二度とごめんにしてもらいたいね

　本格的な吸血鬼映画にあまり土地勘はないのですが、これはポール・モリセイの『処女の生血』と並んで好きな作品。どちらもセンスのよいコメディです。
　主人公の教授役ジャック・マクガウラン（表記がいろいろありますね）という俳優についてはよく知らないのですが、実によく身体の動く人です。舞台俳優か、ボードヴィル系の人ではないかと想像するのですが、本作の懐かしいサイレント映画風のスラップスティック演出がうまくいっているのは、この人に負うところが大きいような気がします。
　助手を演じるのは本作の監督ポランスキーその人。なんとなく頭でっかちで脚が細く、アンバランスな体型が居心地悪く見えるのですが、かなり激しいアクションもこなしていてびっくりします。しかし、『袋小路』と『ローズマリー』の間の作品ですか？　すごいなあ。
　月明かり雪明りの青白い光の中、絵本のように作り物めいたお屋敷の中で、この二人が吸血鬼の従者であるせむし男や、ホモの吸血鬼の美青年とおっかけっこを繰り広げます。吸血鬼といえばのお色気もほどよく、ベタなギャグの連続だというのに、なぜか下品に落ちず、実にバランスがよいと思います。
　ポーランド出身のポランスキーだけあって、笑いはアメリカ的な爆笑を目指したものではありません。僕のお気に入りは、吸血鬼になったばかりの宿屋の主人が、嬉々として棺おけを持参して、吸血伯爵の隣に寝ようとすると、分不相応だとばかりにせむし男が追い払うなんていう場面。
　もちろん、シャロン・テイトの美しさが刻まれたという意味でも、記憶に残したい作品です。８０点。
　

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「ローズマリーの赤ちゃん」公開後におこぼれを狙って「ロマン・ポランスキーの吸血鬼」って邦題で公開された様な記憶があるのですが、どうだったかな。
その頃までは吸血鬼ものには全く興味がなかったのですが、「ローズマリーの赤ちゃん」が面白かったので素直に乗っかって見ると、これまたすごく面白くって感激しました。

MGMのライオンが吸血鬼に変わる辺りで口元が緩んできて、冒頭、満月のアップから引いていくと、雪に覆われた世界の中をシャン、シャン、シャンと鈴を鳴らしながら走る馬車、nekoさんの書かれたように童話の世界、絵本の世界のようでもうご機嫌です。宿屋やお城もきちんとした立派なセットです。
吸血鬼ものの基本設定に忠実でありながらちょっとずらした演出が冴え、戯画化された登場人物が面白い。優雅な舞踏会の場面も魅力的。
勝王さんのご指摘のとおり、コミカルでありながらも暗い印象を与えます。この暗さは吸血鬼ものの抱える暗さでしょうが、ポランスキーの抱える暗さのようにも思えます。
今見ても相当に面白く、美しい、75点。

「吸血鬼」は不思議な映画です。お笑いとして作られているにもかかわらず、どこか暗い影があるというか。子どものころ見たときは、クリストファー・リーみたいなショック映画を期待していたので最初はガッカリした思い出があるのですが、見ているうちに非現実的でダークな映像が何となく不気味に思えてきたのでした。今となってはポランスキーの社会に受け入れられない性癖やナチスがらみの過去、この映画でとても輝いている新妻シャロン・テートをマンソンファミリーに惨殺された事件、いろいろなことを思ってしまいます。それが作品の味わいにもなっていると思います。

何じゃこりゃ、って感じですね。
吸血鬼ってもっと恐ろしく描いてあるものかと思ってました。
それにてっきり描写がチープでコメディに見えるのかと思っていたら、最初からコメディなんですね。びっくりしました。
でもとてもセンスに溢れた可笑しい映画です。コメディちっくなところでクスクス笑うほど上級者ではありませんが、オープニングからしてセンス抜群です。
雪の中のお城や、雪の中をそりで滑っていく様が童話の世界みたいでちょっとワクワクします。
この教授はとても味わい深い方ですね。
助手はポランスキー本人。私はちょっと吾郎ちゃんに見えて仕方なかったですが・・・。そしてシャロン・テイトがびっくりするくらい美しい〜。とても綺麗です。
ラストの間抜けさと怖さが混ざった感じ、いいですね。
楽しめる方、楽しめない方、少し分かれそうな映画ではありますが、何とも愛らしい映画だと思いました。
ホラーではない様な・・・。
でも楽しかったです。