悪い奴ほどよく眠る

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

これまた長い作品だ。150分、つまり2時間半という物理的な時間以上の長さを感じさせられる。その理由は「隠し砦の三悪人」に書いたことと同じだ。とは言うものの、主人公である三船俊郎をあっさりと死なせ、それを妙に引っ張っていないところにはちょっと感心した。本来であれば、その死のシーンをクライマックスに仕立て上げ、さらにはその死とその後の様々なことを水増ししてドラマとして仕立て上げればお涙頂戴の感動作品になったのだろうが、黒澤は本人の死を呆気ないほどあっさりと描写する(描写しない)ことにより、周り者にその死の悲劇性を語り演じさせ一定の成功を収めているとは思う。前半の展開はなかなかスピーディーだし、まあ悪くはないと言ったところだろうか。

悪い奴ほどよく眠る（１９６０年、日本・東宝、モノクロ、１５１分）

公団とゼネコンの汚職を題材に、黒澤明監督が官僚制度や企業社会に鋭く斬り込んだ社会派の力作。
社会派の映画といっても、スリルとサスペンスに富んだ娯楽映画で、生命力を感じる映像も素晴らしい。

５年前、公団（日本未利用土地開発公団）の課長補佐だった古谷という男が公団のビル７階から飛び降り自殺した。そして今、公団の契約課長の白井（西村晃）が金庫を開けると、現金ではなく公団のビルの写真が入っており、その７階部分には✕印が付いていた。５年前の事件を知る白井は、公団副総裁の岩淵（森雅之）と管理部長の守山（志村喬）に、事件の報復を計画している者の仕業ではないかと告げる。
それもその筈、岩淵の秘書・西（三船敏郎）と岩淵の娘・佳子（香川京子）の結婚式では、公団のビルを形どったケーキの７階部分に赤いバラの花が刺さっていたからである。
実は汚職疑惑で、白井の部下の和田（藤原釜足）が警察の尋問を受けたが、沈黙を守り通し、その後、火山で自殺をした（実際は西が救って、和田は生存）。和田の自殺で安堵していたのが守山と白井だった。
和田は西によって、自分の葬儀現場を見せられることになる．．．。

白井を演じた西村晃の演技には圧倒される。
全ての内幕を知りうる人物であるがゆえに、目に見えない相手からジリジリと攻撃される状況を実に上手く演じている。恐怖に引き攣る顔の表情、落ち込んだ目元．．．
会社や上司のために自分を犠牲にして働いてきた男が裏切られると、今度はすべてぶちまけてやると豹変する。その心理状態、わからぬでもない内面を演じて、本作でのウェイトは非常に高い。

上述の黒澤映画の常連俳優以外にも、三橋達也、笠智衆、宮口精二、加藤武、南原宏治、田中邦衛、菅井きん、藤田進といった面々が出演、まさに「昭和」を生きた俳優の多数出演で楽しませてくれる。

先日、「七人の侍」を観たが、型破りで豪快な三船敏郎のイメージはみられない。
知的な男も演じられる彼の側面をみたような気がする。
復讐に燃え、一計を案じて実行するが、心を鬼にすることには無理があった。
結婚した佳子を本当に愛してしまったからである。

語れば語るほどネタバレになってしまうので、もう終わりにするが、私見では「西村晃の演技」が最後の最後まで印象的だったという話になる。

もしこの時代流行語大賞があったら間違いなく大賞だろう
と思われるタイトル　ハワードヒューズは　資本家を
倒すものは資本家しかないと言っているように　この映画の
三船も　彼自身悪となって　肢体不自由の　香川京子を
利用しても復讐を遂げようとする　しかし復讐の理由が
今一歩納得できない　彼と父親との関係　その結果　
構造汚職を憎む？どうも短絡ではないかい？
やはりこの作品も　三井弘治扮する新聞記者を狂言回しに
使ったり　西村晃の気の弱い　中間管理職の描き方など
小技が巧い　「椿三十朗」でも言っている様に　本当に
悪いやつは　とんでもない所にいる　黒澤監督　単純に
こういう社会悪を憎み　糾弾しているのだろうけど
元々テクニックが売りの人なので　こういうのはチョット？
蛇足ですが私　スハルト政権下のインドネシアに一年間
住んだことがあるのですが国中汚職みたいな所で　国を
牛耳る中国人商人に比べたら　日本人なんか赤子同然です　　　　　

力づくで納得させられる黒澤作品でも、黒澤さん自身がひときわ“怒鳴っている”作品でしょう。画面の向こうから、汚職まみれで悪事を闇から闇へ葬る政官財界の悪い奴らへ、喩えようのない憤りをストレートに発散させている。加藤武の役どころに言わせている台詞「こ、これでいいのか〜っ！」は、実は選挙の度に思い出して困っている。画面からは古さは感じない、っていうか、あの頃から日本は全然変わってないんだなあ・・・。そちらのほうが、悪寒が走った。

1960年。黒澤明監督作品。
非常に良く出来た復讐犯罪ミステリー映画。


タイトルどおり、悪は栄え、悪人は反省も後悔もせず、枕を
高くして眠る。
しかしこの映画の大悪人・岩渕(森雅之）に、うなされぬ夜はあるのか？

土地開発公団とゼネコンの汚職により責任を負わされ自殺した公団の
課長・板倉の息子(三船敏朗）が副総裁、部長(志村喬）、課長(西村晃）に
大復讐を仕掛けるストーリーです。

板倉の息子の用意周到振りが、60年後の現在のミステリー小説より数倍リアルで手が混んでいる。
社会派ミステリーの騎手・松本清張も真っ青だ。
�@板倉は親友の西幸一(本物は加藤武）と戸籍を交換して副総裁の会社に入社する。
�A秘書室勤務となり秘密を知る立場になる。
�B副総裁の娘(香川京子)の信頼を得て娘婿となる。

映画の冒頭は西幸一と岩渕桂子の結婚式シーンから始まるのだ。
三船敏朗はぶ厚いレンズのメガネをかけている。
三船の美貌をこの映画は封印している。
岩渕桂子(香川京子）は、足が不自由で、かなり足の長さが違い歩くと両肩が大きく揺れる。
華燭の宴は初めから波乱含みで、その上、公団とゼネコンの汚職問題で新聞記者が祝宴にまで押しかけている）

この結婚(西幸一の政略結婚）
はじめから嘘・・・嘘から桂子は幸せをつかめるのか？

西幸一の復讐はヤクザまがい！！
かなりエゲツない！犯罪者すれすれ！！
ネタバレになりますので、コメント欄に続きます・・・