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皇帝のいない八月 / 渡瀬恒彦

皇帝のいない八月 /山本薩夫

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DVD

旧作

お届け率:100%

解説・ストーリー

 自衛隊のクーデターを描いた小林久三の原作を、社会派で知られる山本薩夫が映画化。

作品情報

製作年:

1978年

製作国:

日本

キャスト・スタッフ

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ジャンル :

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「皇帝のいない八月」 の解説・あらすじ・ストーリー

解説・ストーリー

 自衛隊のクーデターを描いた小林久三の原作を、社会派で知られる山本薩夫が映画化。

「皇帝のいない八月」 の作品情報

作品情報

製作年:

1978年

製作国:

日本

「皇帝のいない八月」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ

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1〜 5件 / 全12件

転向監督と職人作曲家

投稿日:2007/12/21 レビュアー:ロートルマニア

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皇帝のいなくなった邦画界。 ネタバレ

投稿日:2007/08/29 レビュアー:ぴよさん

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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(とてもネタバレ)8月も終わろうとするこの時期に観ずして、いつ観ればいいのだっと言いたくなる、空前のポリティカル・アクションだ。

198X年8月。右翼政権樹立を目指し、自衛隊の一部部隊が軍事クーデターを画策する。
それは2000名もの反乱部隊が全国各所で一斉蜂起する、暗号名=『皇帝のいない八月』作戦であった。
事前に計画を察知した政府・自衛隊は、個別に『皇帝』部隊の極秘鎮圧に着手する。
大部分を鎮圧するも、寝台特急「さくら」をジャックした、藤崎顕正元一等陸尉率いる精鋭部隊は、360名の乗客を人質に博多から首都東京を目指す。

小林久三は着想を『カサンドラ・クロス』から得たというが、爆弾が仕掛けられた乗り物にどう対処するかという問題は、9・11での合衆国政府の対応に見られるように、現実的な選択肢は、ほとんど限られたものしか無い。30年以上経っても、進歩が無いのは残念なことだ。

本作前半はガチガチした政府内の駆け引きが描かれる。防衛庁の省への格上げ問題や、改憲問題が語られるのは、最近の政局とも遠くはないテーマだ。内調・自衛隊・警察・フィクサー・右翼・マスコミ・CIA…様々な勢力が思惑を持って蠢く様が描かれており、最近には無い硬派なストーリーになっている。
今現在観ても、映像的にはチャチな感じがするものの、『亡国のイージス』の様なへなちょこ映画にはなっていない。大人が大人の為に、大人の役者を使って作っているからだ。最近の映画の様に、マーケティングとミーハー受けばかりが重視される邦画界では、もはや作りようが無いタイプの映画ではないか。

とはいえ本作も、クライマックスに向かうにしたがって、展開がだいぶ粗くなってゆくのは残念。広げた風呂敷が立派すぎたせいもあるが、最後まで緻密に作られていれば、掛け値無しの名作になっていたと思う。

なお、クーデターとは違うが、自衛隊の治安出動が描かれた押井守の『パトレイバーU』は、この映画の系譜にあるかもしれない。こちらは名作!

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皇帝のいない八月 ネタバレ

投稿日:2015/06/26 レビュアー:片山刑事

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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 2時間20分の上映時間で、自衛隊が行動を起こすのが開始1時間過ぎと展開が遅いように思えました。確かに、行動するまでの準備を着々と進めるのと政治家の駆け引きや自衛隊の不穏な動きを察知して動く機関なんかを小刻みに場面転換して見せていきましたが。果たして、ヒロインと元恋人との三角関係なんか必要だったのか?

 渡瀬恒彦さん演じる青年将校が語る思想は、今の日本に照らし合わせるとかなり滑稽なものになっているのがなんともいえないです。

 なさそうでありそうな政治家たちの思惑や裏工作なんかは見ていて怖くなりました。憲兵の拷問の圧力、その憲兵もロボトミー手術されて廃人にされてしまったり。

 各地で決起した自衛隊のはずでしたが、ほとんどが映されることなく台詞で全部、武装解除されたらしいので。そこらへんのスペクタクルさがなかったのが残念です。それに、特急をのっとった自衛隊員たちも1人の裏切り者によってあっけなく崩れちゃうし。

 様々な人物達の思惑が入り乱れて、見ごたえのある映画でした。

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★☆ 自衛隊のクーデター未遂・・・カルト的なメモリアル作品か ネタバレ

投稿日:2009/02/20 レビュアー:カポーン

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

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 元自衛官らが政権奪取と自衛隊の国軍化を目指して武力クーデターを試みるというフィクションドラマ。サスペンス的な乗りもあるが、社会派ドラマのようなヒューマンドラマのような中途半端な印象が強い。映像的にも、ストーリー的にも、今となってはひどくしょぼく感じられる作品だが、逆にカルト的なメモリアル作品としての価値があるような気がする。
 監督は共産党員でもあった山本薩夫で、どうしてこのような作品を手がけたのか不思議だ。確かに、軍国復古を目指す自衛隊員や与党腐敗政治家の陰謀を描くことで、右翼批判的なものを試みたのかも知れぬが、今となっては信じられないくらいに非リアルな内容だけに、右翼自衛隊員、内閣調査室ともなかなか格好良いじゃんという印象しか残らない(笑)。
 原作は小林久三の推理小説だが、小説ではサラリーマンの石森(山本圭)視点によるものだが、映画ではクーデター指揮官藤崎元一尉(渡瀬)が中心に据えられている。そのため、謎解き推理ものというよりは、自衛官クーデター事件ものという側面が強い。しかも、クーデター自衛官を演じる渡瀬、山崎務、三上らが男気溢れる演技をするものだから、なおさら格好良く見えてくる。民間人の犠牲も厭わぬ無茶な政府転覆を企てる悪者のはずなのに、何故か肩入れしている自分がいるのだ(笑)。そう言う意味では、山本薩夫的には大失敗だったのではないだろうか。

 本作を見ていると、随所に三島由紀夫の写真が登場する。明らかに1970年の三島由紀夫市ヶ谷割腹事件に強く影響されていることは間違いない。三島の檄文内に「・・・われわれは四年待った。最後の一年は猛烈に待った。もう待てぬ。・・・これを骨抜きにしてしまった憲法に体をぶつけて死ぬ奴はいないのか。・・・」という有名な一節があるが、本作中でも藤崎元一尉が「我々は5年待った。もう待てない。・・・憲法を変えるために死ぬ奴はいないのか・・・」というフレーズがあり、そのまんまなのである。藤崎元一尉が制服をきちんと着こなし、熱く語る姿はまるで三島由紀夫そのものなのである。
 また映画中にも出てくるが、1961年のクーデター未遂の三無(さんゆう)事件もモチーフにしているようだ。三無事件は九州北部出身の元軍人らによる政府転覆計画だったのだが、本作も九州の元自衛官らを核とした武装蜂起となっている。

 上記のように、実際の事件等をモチーフに仕立て上げられているとは言え、構成、演出、映像ともにかなり稚拙だったため、そのリアル感や緊迫感は思い切り阻害されてしまっているのが残念だ。社会派と称される山本監督だが、私は映画監督してはかなり下手な部類だと思っている。個人の性格付けはもとより、場面毎のつながりとテンポが著しく悪いのが特徴で、ドキュメンタリーのような平坦な作品ならともかく、ストーリーの起承転結を作るのが実に下手だ。本作では著名な役者をたくさん起用しているのに、彼らの演技の良さが全く引き出されず、いわば役者殺しのようなものだ。特に江見陸将補役の三国連太郎、内閣調査室長利倉役の高橋悦史は酷いもので、個性派俳優らしからぬ平凡さだ。ラストシーンの三国のフランケン状態は・・・・(爆)。また、ヒロインに吉永小百合を起用するものの、三角関係の恋愛がまるで盛り上がらない。こんな程度の女のために命を賭す男二人に心情移入などできなかった。石森役の山本圭はストーリーの鍵を握っているようで・・・ただ叫んでいるだけ。唯一渡瀬のほとばしる熱情が見所だとはいえ、もっと効果的に著すこともできたであろう。
 なお、松竹の遊び心だろうが、ほとんどストーリーに関係なく「寅さんシリーズ」の渥美清が登場したりするが、うーん、いかがなものか。

 本作のクーデター名は「皇帝のいない八月」。政治家やCIAを黒幕として、西部方面の元自衛隊員蜂起部隊に呼応して、各方面の自衛隊が参加することとなっていた。多くは未然に防がれるのだが、武力鎮圧も実行され、幾度かの銃撃戦シーンが描かれている。64式自動小銃は沢山出てくるが、はっきり言ってしょぼい。
 西部方面の実行部隊が乗っ取る列車は特急「さくら」。長崎・東京間を結ぶブルートレインだったが、2005年に廃止となっている。列車を爆破するシーンがあるということで旧国鉄の協力は得られなかったそうで、セットを用いているのだとか。また、同様に自衛隊の協力も得られなかったので、ヘリコプターがミニチュアだったり、陸自装備もほとんど出てこない。
 
 全般に、典型的B級映画なのだが、何だか気になる作品でもある(笑)。良い作品でも何度も見たいとは思わないものが多い中、また見たくなる不思議なカルト作品なのであった。

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こういう時代もあったのか・・・ ネタバレ

投稿日:2006/07/31 レビュアー:ワン公

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自衛隊がクーデターを起す?
今じゃとても考えられないことですが、当時としては全くありえないことではなかったようです。そのあたりを踏まえればテンポよく進むストーリーと相俟って楽しむ事ができる作品だと思います。
見ていて悲しくなったラストの強引な反乱部隊の鎮圧は、現在のスマートな特殊部隊モノからすれば非常にお粗末?ですが、それがかえってリアリティを高めているようにも思えます。
古い作品ですがとても楽しめました。

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ユーザーレビュー

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転向監督と職人作曲家

投稿日

2007/12/21

レビュアー

ロートルマニア

皇帝のいなくなった邦画界。

投稿日

2007/08/29

レビュアー

ぴよさん

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(とてもネタバレ)8月も終わろうとするこの時期に観ずして、いつ観ればいいのだっと言いたくなる、空前のポリティカル・アクションだ。

198X年8月。右翼政権樹立を目指し、自衛隊の一部部隊が軍事クーデターを画策する。
それは2000名もの反乱部隊が全国各所で一斉蜂起する、暗号名=『皇帝のいない八月』作戦であった。
事前に計画を察知した政府・自衛隊は、個別に『皇帝』部隊の極秘鎮圧に着手する。
大部分を鎮圧するも、寝台特急「さくら」をジャックした、藤崎顕正元一等陸尉率いる精鋭部隊は、360名の乗客を人質に博多から首都東京を目指す。

小林久三は着想を『カサンドラ・クロス』から得たというが、爆弾が仕掛けられた乗り物にどう対処するかという問題は、9・11での合衆国政府の対応に見られるように、現実的な選択肢は、ほとんど限られたものしか無い。30年以上経っても、進歩が無いのは残念なことだ。

本作前半はガチガチした政府内の駆け引きが描かれる。防衛庁の省への格上げ問題や、改憲問題が語られるのは、最近の政局とも遠くはないテーマだ。内調・自衛隊・警察・フィクサー・右翼・マスコミ・CIA…様々な勢力が思惑を持って蠢く様が描かれており、最近には無い硬派なストーリーになっている。
今現在観ても、映像的にはチャチな感じがするものの、『亡国のイージス』の様なへなちょこ映画にはなっていない。大人が大人の為に、大人の役者を使って作っているからだ。最近の映画の様に、マーケティングとミーハー受けばかりが重視される邦画界では、もはや作りようが無いタイプの映画ではないか。

とはいえ本作も、クライマックスに向かうにしたがって、展開がだいぶ粗くなってゆくのは残念。広げた風呂敷が立派すぎたせいもあるが、最後まで緻密に作られていれば、掛け値無しの名作になっていたと思う。

なお、クーデターとは違うが、自衛隊の治安出動が描かれた押井守の『パトレイバーU』は、この映画の系譜にあるかもしれない。こちらは名作!

皇帝のいない八月

投稿日

2015/06/26

レビュアー

片山刑事

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 2時間20分の上映時間で、自衛隊が行動を起こすのが開始1時間過ぎと展開が遅いように思えました。確かに、行動するまでの準備を着々と進めるのと政治家の駆け引きや自衛隊の不穏な動きを察知して動く機関なんかを小刻みに場面転換して見せていきましたが。果たして、ヒロインと元恋人との三角関係なんか必要だったのか?

 渡瀬恒彦さん演じる青年将校が語る思想は、今の日本に照らし合わせるとかなり滑稽なものになっているのがなんともいえないです。

 なさそうでありそうな政治家たちの思惑や裏工作なんかは見ていて怖くなりました。憲兵の拷問の圧力、その憲兵もロボトミー手術されて廃人にされてしまったり。

 各地で決起した自衛隊のはずでしたが、ほとんどが映されることなく台詞で全部、武装解除されたらしいので。そこらへんのスペクタクルさがなかったのが残念です。それに、特急をのっとった自衛隊員たちも1人の裏切り者によってあっけなく崩れちゃうし。

 様々な人物達の思惑が入り乱れて、見ごたえのある映画でした。

★☆ 自衛隊のクーデター未遂・・・カルト的なメモリアル作品か

投稿日

2009/02/20

レビュアー

カポーン

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 元自衛官らが政権奪取と自衛隊の国軍化を目指して武力クーデターを試みるというフィクションドラマ。サスペンス的な乗りもあるが、社会派ドラマのようなヒューマンドラマのような中途半端な印象が強い。映像的にも、ストーリー的にも、今となってはひどくしょぼく感じられる作品だが、逆にカルト的なメモリアル作品としての価値があるような気がする。
 監督は共産党員でもあった山本薩夫で、どうしてこのような作品を手がけたのか不思議だ。確かに、軍国復古を目指す自衛隊員や与党腐敗政治家の陰謀を描くことで、右翼批判的なものを試みたのかも知れぬが、今となっては信じられないくらいに非リアルな内容だけに、右翼自衛隊員、内閣調査室ともなかなか格好良いじゃんという印象しか残らない(笑)。
 原作は小林久三の推理小説だが、小説ではサラリーマンの石森(山本圭)視点によるものだが、映画ではクーデター指揮官藤崎元一尉(渡瀬)が中心に据えられている。そのため、謎解き推理ものというよりは、自衛官クーデター事件ものという側面が強い。しかも、クーデター自衛官を演じる渡瀬、山崎務、三上らが男気溢れる演技をするものだから、なおさら格好良く見えてくる。民間人の犠牲も厭わぬ無茶な政府転覆を企てる悪者のはずなのに、何故か肩入れしている自分がいるのだ(笑)。そう言う意味では、山本薩夫的には大失敗だったのではないだろうか。

 本作を見ていると、随所に三島由紀夫の写真が登場する。明らかに1970年の三島由紀夫市ヶ谷割腹事件に強く影響されていることは間違いない。三島の檄文内に「・・・われわれは四年待った。最後の一年は猛烈に待った。もう待てぬ。・・・これを骨抜きにしてしまった憲法に体をぶつけて死ぬ奴はいないのか。・・・」という有名な一節があるが、本作中でも藤崎元一尉が「我々は5年待った。もう待てない。・・・憲法を変えるために死ぬ奴はいないのか・・・」というフレーズがあり、そのまんまなのである。藤崎元一尉が制服をきちんと着こなし、熱く語る姿はまるで三島由紀夫そのものなのである。
 また映画中にも出てくるが、1961年のクーデター未遂の三無(さんゆう)事件もモチーフにしているようだ。三無事件は九州北部出身の元軍人らによる政府転覆計画だったのだが、本作も九州の元自衛官らを核とした武装蜂起となっている。

 上記のように、実際の事件等をモチーフに仕立て上げられているとは言え、構成、演出、映像ともにかなり稚拙だったため、そのリアル感や緊迫感は思い切り阻害されてしまっているのが残念だ。社会派と称される山本監督だが、私は映画監督してはかなり下手な部類だと思っている。個人の性格付けはもとより、場面毎のつながりとテンポが著しく悪いのが特徴で、ドキュメンタリーのような平坦な作品ならともかく、ストーリーの起承転結を作るのが実に下手だ。本作では著名な役者をたくさん起用しているのに、彼らの演技の良さが全く引き出されず、いわば役者殺しのようなものだ。特に江見陸将補役の三国連太郎、内閣調査室長利倉役の高橋悦史は酷いもので、個性派俳優らしからぬ平凡さだ。ラストシーンの三国のフランケン状態は・・・・(爆)。また、ヒロインに吉永小百合を起用するものの、三角関係の恋愛がまるで盛り上がらない。こんな程度の女のために命を賭す男二人に心情移入などできなかった。石森役の山本圭はストーリーの鍵を握っているようで・・・ただ叫んでいるだけ。唯一渡瀬のほとばしる熱情が見所だとはいえ、もっと効果的に著すこともできたであろう。
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 本作のクーデター名は「皇帝のいない八月」。政治家やCIAを黒幕として、西部方面の元自衛隊員蜂起部隊に呼応して、各方面の自衛隊が参加することとなっていた。多くは未然に防がれるのだが、武力鎮圧も実行され、幾度かの銃撃戦シーンが描かれている。64式自動小銃は沢山出てくるが、はっきり言ってしょぼい。
 西部方面の実行部隊が乗っ取る列車は特急「さくら」。長崎・東京間を結ぶブルートレインだったが、2005年に廃止となっている。列車を爆破するシーンがあるということで旧国鉄の協力は得られなかったそうで、セットを用いているのだとか。また、同様に自衛隊の協力も得られなかったので、ヘリコプターがミニチュアだったり、陸自装備もほとんど出てこない。
 
 全般に、典型的B級映画なのだが、何だか気になる作品でもある(笑)。良い作品でも何度も見たいとは思わないものが多い中、また見たくなる不思議なカルト作品なのであった。

こういう時代もあったのか・・・

投稿日

2006/07/31

レビュアー

ワン公

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自衛隊がクーデターを起す?
今じゃとても考えられないことですが、当時としては全くありえないことではなかったようです。そのあたりを踏まえればテンポよく進むストーリーと相俟って楽しむ事ができる作品だと思います。
見ていて悲しくなったラストの強引な反乱部隊の鎮圧は、現在のスマートな特殊部隊モノからすれば非常にお粗末?ですが、それがかえってリアリティを高めているようにも思えます。
古い作品ですがとても楽しめました。

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