将軍たちの夜

　なんだか最近ドナルド・プレザンスが出てくる映画ばかり観ているような気がします。『パラダイム』『鷲は舞い降りた』『ハロウィン』・・・。別に彼のファンというわけではありませんが（大活躍の『テレフォン』は大好きです。面白いので観て）、気がつくと観ている、そこにいる。
　この『将軍たちの夜』のときは、当たり前ですが若い。坊主頭は変わらずに、痩せているので皮っぽく、とさかのないニワトリのように見えます。ヒトラー暗殺計画をひそかに謀りながら、プレッシャーゆえかドイツ・ジンのシュリヒテをストレートで飲み続けるナチの将軍役はなかなか良いです。

　この人の持つマッド・サイエンティスト系の気持ち悪さがぴったりの本作の中身は、ナチの将軍が何年かにいっぺん、衝動を抑えきれずに娼婦の性器をメッタ刺しにして惨殺する事件と、ヒトラー暗殺計画を並行して描くという、どうして企画が通ったのかよく分からないとんでもないサスペンス映画です。ミステリではありませんのでご注意。
『アラビアのロレンス』チームですので、お金がかかっていて、ワルシャワのレジスタンス掃討作戦など迫力満点でびっくり。火炎放射器ってすごいんだなあ。
　ドイツ軍やナチの再現度もかなりのもの、あまりその様式美が誇張されていない分、リアルに感じましたが、専門の人の意見を聞きたいところです。

　ピーター・オトゥールは『ロレンス』の影響が大きすぎる時なのか、演技も同じようで、予想の範囲の異常さです。事件を追うオマー・シャリフ（ヒゲなし）は、ワルシャワ壊滅もホロコーストもヒトラー暗殺も横目に、猟奇娼婦殺人だけを追いかけて嬉しそうで、こちらも変です。ナチより個人の異常犯罪が重いような扱いは、面白くもあり変でもあります。６５点。

　そういえば本作からタイトルをとった『パワープレイ　参謀たちの夜』はなかなか面白いクーデター映画です（ＶＨＳのみ）。カナダ軍の協力のもと、小国での軍事クーデターの顛末が詳細に描かれています。やはりオトゥールに加え、プレザンスも出ていて、秘密警察の長官役でいい感じ。
　

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CINEMAだいすき!　というのは、大阪・よみうりテレビが年に数回放送する深夜の映画番組で、毎回テーマを決め、それに沿った作品を連日集中放送する、いわば”テレビ映画祭”ともいうべき名番組です。　
１９８４年に始まり、この作品は第１１集「異常心理学入門」のうちの１本として１９８６年７月に放送されました。　戦争の狂気を描いた作品です。

第二次世界大戦時、ドイツ占領下のワルシャワで娼婦が猟奇的に殺された。捜査にあたったドイツ軍情報部のグラウ中佐(オマー・シャリフ)が行き着いた容疑者はドイツ軍の将軍３人(演ずるのは、ピーター・オトゥール、ドナルド・プレゼンス、チャールズ・グレイ)だった・・・。

製作サム・スピーゲル、主要キャスト、音楽モーリス・ジャールと「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」につながる顔ぶれがみえ、火炎放射器のシーンなどはなかなか迫力があります。

監督は「追想」「さよならをもう一度」などのメロドラマを撮ったアナトール・リトヴァク。
ロシア出身でドイツ映画界にいましたが、ナチス台頭で亡命、戦時中はフランク・キャプラたちと反ナチ戦時宣伝映画をつくっていたそうです。

猟奇殺人と絡んで、ヒトラー暗殺計画(本日公開の「ワルキューレ」にでてくるミッション)も描かれます。　　散漫になったとの見方もあるでしょうが、ドイツの将軍たちすべてが異常な変質者ではないことを描いています。これは一つの配慮とも言えます。

人が虫けらのように殺される戦争の中での、猟奇殺人捜査に固執するグラウ中佐のアンバランスな正義感も一つの狂気といえます。　では他の人間は正常だったのか。

同じ人物の、戦時中と、戦後２０年が描かれます。　
人は変わるのか。　時代だったからなのか。
アンバランスながら、独特のテイストを見せる、けっこう興味深い作品です。

ヒトラー暗殺計画‘ワルキューレ’を、後半の殺人捜査と共に描く緊迫した展開は非常に興味深い。そして何といってもＰ・オトゥールの「潔癖症で神経症的な役柄」の怪演は、凄みさえ感じる。後半のＰ・ノワレもいい。又、Ｍ・ジャールの戦争サスペンスの要素を見事に表現した音楽も印象的。６０年代の傑作の１本。

スタッフ・キャストともに一流、それも恐ろしいほどの超ド級。

御免なさい。しかし、そんなに面白い映画にはなりませんでした。

そのA級戦犯をあえて挙げさせていただきますと。
「アラビアのローレンス」で、調子に乗りすぎた製作者サム・スピーゲル ピーター・オトゥールではないかと。

一つひとつは、イインデス。

でも全体としては、どうもこうも。

ヒトラー暗殺と娼婦殺人の、戦争と犯罪の問題なんて全然関係ない映画だと思います。

スタッフ・キャストとも大物過ぎて、作って行くうちに、アラアラこんなに成ってしまいました。って感じです。

この映画は、なかった事としておきたい、私の素直な感想です。

ゴメンナサイ。

冷徹なのに品がある役は、ロレンスより狂気を感じた。