ミツバチのささやき / アナ・トレント
ミツバチのささやき
/ビクトル・エリセ
平均評価点:
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全体の平均評価点: (5点満点)
(18)
解説・ストーリー
一人の少女を主人公に、彼女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのとある小さな村に「フランケンシュタイン」の巡回映画がやってくる。6歳の少女アナは姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞き、それを信じ込む。そんなある日、彼女がその家を訪れた時、そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出合い……。
一人の少女を主人公に、彼女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのとある小さな村に「フランケンシュタイン」の巡回映画がやってくる。6歳の少女アナは姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞き、それを信じ込む。そんなある日、彼女がその家を訪れた時、そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出合い……。
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「ミツバチのささやき」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
一人の少女を主人公に、彼女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのとある小さな村に「フランケンシュタイン」の巡回映画がやってくる。6歳の少女アナは姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞き、それを信じ込む。そんなある日、彼女がその家を訪れた時、そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出合い……。
「ミツバチのささやき」 の作品情報
「ミツバチのささやき」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
ミツバチのささやきの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
99分 |
日本語 |
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TCDR1007 |
2012年11月09日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
37枚
|
4人
|
2人
|
ミツバチのささやきの詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
99分 |
日本語 |
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TCDR1007 |
2012年11月09日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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ユーザーレビュー:18件
まさに天使のような
投稿日:2012/12/22
レビュアー:JUCE
とても深い作品です。といっても別にとっつきにくい作品と言うわけでは無く、一度観ただけでもそれなりに面白い作品なのですが、この作品観れば観るほど違った角度から様々な発見が生まれそうな映画です。
そもそも『ミツバチのささやき』という邦題の如く、「ささやく」ようにしかセリフでの状況描写、説明はされません。例えば微妙な空気が漂う夫婦の関係。妻が手紙を出す相手。背景となっているスペインの内戦についても、この映画の重要なキーにはなっているのですが特に説明がされるわけではありません。
ポイントはやはり主人公少女アナの可愛らしさと、その水準に立った映画の目線でしょう。その無垢な眼差しの先に見えているものをこの映画は生き生きと描写しています。本当に彼女の眼差しが素晴らしいのです。
姉イサベルとアナの対比はとても興味深いです。姉妹の間にはある境界線が存在します。その境界線のギリギリのところに姉妹は対峙しているとも言えます。無垢なままの少女、そして少し成長して現実社会が見え始めた少女。この境界線を越える違いはあまりに大きく、それがこの映画の大きなテーマだろうと思います。そんな二人の違いは焚き火を超える姉とそれを見守る妹。自分の指から流れる血で紅をひく姉。など様々な場面で描写されるのですが、なんと言っても面白いのが冒頭から劇中劇として引用される『フランケンシュタイン』への反応でしょう。ちなみにこのフランケンシュタインは1931年にジェームズ・ホエールが監督した作品です。
アナの目線で『フランケンシュタイン』を観ると、そこにあるのはモンスターへの恐怖では無く、何故フランケンシュタインが少女を殺してしまったのか、そしてフランケンシュタイン自身も殺されてしまったのかが理解できないのです。彼女はこの映画の出来事がフィクションであることが理解できません。姉はこの映画がフィクションであるということを理解したうえで妹に対して「フランケンシュタインは妖精で村の外れに住んでいるのだ」という嘘を教えます。その嘘を信じるアナ。そしてこの嘘が物語り後半の人民戦線の負傷兵とアナの出会いに繋がっていくのです。
これが初監督作品とは思えないヴィクトル・エリセ監督の緻密さ。物語の構成力、画作りなど、とても完成度の高い作品です。
また姉妹が寝室で「ささやく」ように語りあうシーンの愛くるしさが特筆ものです。
このレビューは気に入りましたか?
26人の会員が気に入ったと投稿しています
僕の素晴らしい映画その94
投稿日:2012/12/19
レビュアー:よふかし
シンプルな子ども映画に見えて、多面的で豊饒な傑作だ。
初めて観たのは大学生の頃だったろうか。その時もいい映画と思ったけれど、すぐに傑作と思ったわけではなかった。けれど繰り返し観ているとより面白くなり、そのたび新たな発見があるような気がする作品なのだ。
アナ(アナ・トレント)は、映画との出会う。彼女は移動映画館でジェイムズ・ホエールの『フランケンシュタイン』を観て、姉イサベルに尋ねる。「どうして少女は殺され、怪物も殺されたのか」と。後で教えてやるといったイサベルは、精霊について適当な嘘をつく。それを信じたアナは、村はずれの廃屋に隠れている「怪物」と実際に出会う。アナは、映画を実体験するのだ。そして、アナは「死」を知ることになる――いや、ラストの精霊への語りかけからすれば、「生と死のあわい」を知ることになるというほうが正確かもしれない。それにしてもこの時のアナ・トレントは、引き込まれるような瞳をしている。
少しだけ大人のイサベルは、映画なんて嘘だと思っている。彼女にとっての「死」は、官能的なものになりつつある。何でも信じてしまうアナをからかって死んだふりをしたり、炎の上を飛ぶ遊びに興じたり、猫の首を絞め、自分の血で唇を赤く塗る様からそれが見て取れる。妹に対する意地悪な表情とともに、終盤、何か分からない体験をしてきた妹に見せる好奇心と不安の入り混じった様子もまたいい。
映画上映とカットバックで描かれる養蜂家の父は、映画を観ない(音声を聞くだけだ)。彼はフィクションを信じないのかもしれない。科学的な知識を持った裕福な男らしく、地元の名士、素封家であるのかもしれない。彼は現状に満足しているか、人生を諦める術を知っている。
母は誰かに手紙を書いている。そこからスペイン内戦の影が浮かぶ。母の手紙には絶望が滲み、失われた過去への憧憬がある。おそらく虐げられた誰かに手紙を認めては、自転車に乗って駅まで投函しにいく(汽車に備え付けのポストがあるのだ)。過去は語られないが、アナが見る両親のアルバムの写真の、若々しく幸福感に満ちた様子が印象的だ。
この一家の空気は静謐というよりは、いささか重い。家族そろっての幸福感に満ちたシーンはない。夫婦が口もきかず背を向けて寝るのは、内戦の経験が影響しているのだろうか。みな、何かを胸に秘めて、押し殺しているのだ(汽車の窓からのぞく兵士の顔も)。ひそひそとささやくような会話。
『フランケンシュタイン』と「共和派」という二つのフィクション――あるいは「秘密」が交錯する物語を、映画は美しいショットの数々で紡ぐ。
蜂の巣上の窓を通して蜂蜜色に輝く屋内と対照的に、白いコートを着たアナとイザベルが廃屋に向かって走る荒野の寒々しさはどうだ。母の自転車が長い道を走っていく、手前から奥への構図の美しさ。あるいは屋内のいくつものドアを縦にとらえたショットも実に映画的だ。僕がいつも目を瞠るのは何度か登場する汽車だ。アナとイサベルが線路に耳をつけて汽車は、外界からやってくる荒々しく恐ろしいものとしての汽車をよく表している。その汽車に乗って、「怪物」はやってくるのだ。
台詞の少ない本作でもとりわけ印象的なのは、「怪物」が警察に射殺された後に描かれる食卓のシーンだろう。父親が懐中時計を取り出し、カフェオレボウル(スペインだからただしくはカフェコンレチェかな)に顔を埋めていたイサベルとアナをカメラは切り返す。アナの表情、父親の目線が豊かに物語る、サスペンスフルな一瞬だ。90点。
(その95はブニュエル『銀河』です)
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11人の会員が気に入ったと投稿しています
現実と幻想の間で。
現実と幻想の境界が曖昧な、幼少期の目で見たある季節の出来事。
物語にはいろんな政治的メタファーが散りばめられているらしいですが、僕はスペインの政情とかに詳しくないので、そっちの視点では鑑賞できていません。
観てる最中、コレととてもよく似た映画を知ってる気がしてたんだけど、後で気付いたら『となりのトトロ』でした。
大人の事情はあまり説明されないとことか、幼い姉妹の「あるある」感たっぷりの瑞々しい描写とか、目線の置き方みたいなものがとても近い気がします。もちろんフランケンシュタインとトトロという、「精霊」の存在が物語の軸になっているのが、何よりの共通点ですけど。
宮崎駿監督が本作をモチーフにしたかどうかは分かりませんが、同じような素材でも、作家が何を伝えたいかで、こんなにも肌触りが違ってくるんだと興味深く思いました。
2つの作品の決定的な違いは、描かれている世界が、幻想の世界と地続きかそうじゃないかということ。本作は後者なので、世界に精霊や優しいファンタジーは存在しません。でも不思議と、ビターなばかりじゃなく、やわらかで懐かしい空気も同時に感じます。「あれ?幼いころ、僕も同じ体験をしなかったっけ?」なんて、遠い記憶をくすぐられるような、輪郭がハッキリしない夢みたい。
心地よさとちょっとした不安が入り混じった、幼少期特有のウズウズした感覚を、久しぶりに思い出しました。
このレビューは気に入りましたか?
9人の会員が気に入ったと投稿しています
アナはフランケンシュタインに語りかける
少女の空想と現実が入り混じった物語と聞いていて、漠然とファンタジーだと思っていました。
しかし、私が感じたのは絵画的、文学的、かつ哲学的という印象で、好きな雰囲気を湛えてはいるけれど難解でした。
その“難解”というのは、正解がないという意味に近いかもしれません。
時代背景としては、スペイン内戦後の疲れ果て躓き倒れたような不安な時代であることが、テレサの書く手紙の内容から推し測れます。
昔のまま残っているのは家の壁だけ。中味はどこへ行ってしまったのだろう。というテレサの言葉が重苦しく伝わって来ました。
テレサの夫フェルナンドは、養蜂家かと思いましたが、彼の書斎の蔵書や彼の書く文章から推察して研究家かもしれません。
フェルナンドとテレサの間には、イザベルとアナという姉妹がいて、姉のイザベルは「映画の中のことは全部嘘」だと理解しているのに対し、妹のアナは現実と虚構の区別がまだつかない年齢です。
ある日、巡回でやって来た映画『フランケンシュタイン』を観たのをきっかけに、アナの疑問と、それに答えたイザベルの言葉が、混沌としたアナの幼少期の精神世界をからかい半分に掻き乱していきます。
イザベルは、アナに「フランケンシュタインの正体は精霊」だと教え、彼が身を潜めている場所を教えます。
イザベルが指し示したのは、広大な畑の向こうに小さく見えている古い井戸のある廃屋(倉庫?)です。
この精霊が住む場所は、まるで絵画のような風景です。
その廃屋を目指して歩いていくアナとイザベル。その二人の姿がだんだん小さくなり、やがて豆粒ほどに見えるようになるまでは、不安になるほど美しく古い井戸の存在が怖く感じられました。
精霊の存在をアナに信じさせたのは、まさしくフランケンシュタインのものと思われる大きな足跡でした。
何度となくその場所へ通うアナの前に一人の脱走兵が現れ、映画で観たフランケンシュタインと少女のような時を過ごします。
ある夜、廃屋を包んでいた暗闇に数回閃光が走り、アナのフランケンシュタインは姿を消しました。
一度観ただけでは、見落としたものが沢山あるような気がして、5回ほど繰り返して観ました。
観るたびに欠けていたピースが見つかって、パズルが少しずつ出来上がっていく感じがしました。
でも、私にはこのパズルを完成させることはできないだろうと思いました。
1つ発見だと思ったのは、オープニングの子供が描いたような絵でした。
あれらの絵は、この作品の要約にもなっているのです。
頭からネット付きの帽子を被った父と蜂の巣から家までつながるミツバチたち。
手紙を書く母。
煙を吐いて通り過ぎていく黒く大きな汽車。
太った黒猫。
焚き火を飛び越えるイザベルや年長の少女たち。
水辺の少女とそれを木陰から見つめる男の姿。
しかし、何よりもこの作品の印象を表しているのは、ジャケット写真のアナの大きく澄んだ目です。
このアナの瞳が見つめているものこそ、多くの大人たちが、かつて見つめて、今は忘れてしまった幼い日の混沌の姿なのかもしれません。
イザベルに教えられたように「私はアナ。」と精霊に語りかけるアナですが、精霊は現れません。
この日が幼少期との境界線だった気がします。
このレビューは気に入りましたか?
6人の会員が気に入ったと投稿しています
中世絵画のような光と影!
6歳の少女の瞳に「世界」はどう映っていたのだろう?
会話は最小限です。静謐な映画。
パンフルートのようなBGMが、ほんの少し流れるだけ・・・。
アナの大きすぎる瞳。見開くと「世界」が、見えているのでしょうか?
ストーリーは、まとまりも無く、淡々と提示されます。
「核」となるストーリーは、
アナが、出会う廃墟の倉庫跡の逃亡兵。
アナはリンゴをあげる。そして父親のコートを運びます。
そして、次のシーンでは、真っ暗闇に轟く銃声。
アナが翌朝行くと倉庫にはおびただしい血痕が、
そして迎えに来た父親を振り切って、アナは逃亡兵のように、
逃げて行くのです。
少女は、いったい何を感じたのだろう?
「死」の感触だろうか?
ざわざわと「死」を身近に感じたのだろう?
この映画は、ストーリー・ウンヌンより、
絵画のような美しさ!
室内に差し込む自然光と照らし出される人物像。
フェルメールの絵画のようです。
何回もアナの大きな瞳に、吸い込まれそうになりました。
このレビューは気に入りましたか?
4人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
まさに天使のような
投稿日
2012/12/22
レビュアー
JUCE
とても深い作品です。といっても別にとっつきにくい作品と言うわけでは無く、一度観ただけでもそれなりに面白い作品なのですが、この作品観れば観るほど違った角度から様々な発見が生まれそうな映画です。
そもそも『ミツバチのささやき』という邦題の如く、「ささやく」ようにしかセリフでの状況描写、説明はされません。例えば微妙な空気が漂う夫婦の関係。妻が手紙を出す相手。背景となっているスペインの内戦についても、この映画の重要なキーにはなっているのですが特に説明がされるわけではありません。
ポイントはやはり主人公少女アナの可愛らしさと、その水準に立った映画の目線でしょう。その無垢な眼差しの先に見えているものをこの映画は生き生きと描写しています。本当に彼女の眼差しが素晴らしいのです。
姉イサベルとアナの対比はとても興味深いです。姉妹の間にはある境界線が存在します。その境界線のギリギリのところに姉妹は対峙しているとも言えます。無垢なままの少女、そして少し成長して現実社会が見え始めた少女。この境界線を越える違いはあまりに大きく、それがこの映画の大きなテーマだろうと思います。そんな二人の違いは焚き火を超える姉とそれを見守る妹。自分の指から流れる血で紅をひく姉。など様々な場面で描写されるのですが、なんと言っても面白いのが冒頭から劇中劇として引用される『フランケンシュタイン』への反応でしょう。ちなみにこのフランケンシュタインは1931年にジェームズ・ホエールが監督した作品です。
アナの目線で『フランケンシュタイン』を観ると、そこにあるのはモンスターへの恐怖では無く、何故フランケンシュタインが少女を殺してしまったのか、そしてフランケンシュタイン自身も殺されてしまったのかが理解できないのです。彼女はこの映画の出来事がフィクションであることが理解できません。姉はこの映画がフィクションであるということを理解したうえで妹に対して「フランケンシュタインは妖精で村の外れに住んでいるのだ」という嘘を教えます。その嘘を信じるアナ。そしてこの嘘が物語り後半の人民戦線の負傷兵とアナの出会いに繋がっていくのです。
これが初監督作品とは思えないヴィクトル・エリセ監督の緻密さ。物語の構成力、画作りなど、とても完成度の高い作品です。
また姉妹が寝室で「ささやく」ように語りあうシーンの愛くるしさが特筆ものです。
僕の素晴らしい映画その94
投稿日
2012/12/19
レビュアー
よふかし
シンプルな子ども映画に見えて、多面的で豊饒な傑作だ。
初めて観たのは大学生の頃だったろうか。その時もいい映画と思ったけれど、すぐに傑作と思ったわけではなかった。けれど繰り返し観ているとより面白くなり、そのたび新たな発見があるような気がする作品なのだ。
アナ(アナ・トレント)は、映画との出会う。彼女は移動映画館でジェイムズ・ホエールの『フランケンシュタイン』を観て、姉イサベルに尋ねる。「どうして少女は殺され、怪物も殺されたのか」と。後で教えてやるといったイサベルは、精霊について適当な嘘をつく。それを信じたアナは、村はずれの廃屋に隠れている「怪物」と実際に出会う。アナは、映画を実体験するのだ。そして、アナは「死」を知ることになる――いや、ラストの精霊への語りかけからすれば、「生と死のあわい」を知ることになるというほうが正確かもしれない。それにしてもこの時のアナ・トレントは、引き込まれるような瞳をしている。
少しだけ大人のイサベルは、映画なんて嘘だと思っている。彼女にとっての「死」は、官能的なものになりつつある。何でも信じてしまうアナをからかって死んだふりをしたり、炎の上を飛ぶ遊びに興じたり、猫の首を絞め、自分の血で唇を赤く塗る様からそれが見て取れる。妹に対する意地悪な表情とともに、終盤、何か分からない体験をしてきた妹に見せる好奇心と不安の入り混じった様子もまたいい。
映画上映とカットバックで描かれる養蜂家の父は、映画を観ない(音声を聞くだけだ)。彼はフィクションを信じないのかもしれない。科学的な知識を持った裕福な男らしく、地元の名士、素封家であるのかもしれない。彼は現状に満足しているか、人生を諦める術を知っている。
母は誰かに手紙を書いている。そこからスペイン内戦の影が浮かぶ。母の手紙には絶望が滲み、失われた過去への憧憬がある。おそらく虐げられた誰かに手紙を認めては、自転車に乗って駅まで投函しにいく(汽車に備え付けのポストがあるのだ)。過去は語られないが、アナが見る両親のアルバムの写真の、若々しく幸福感に満ちた様子が印象的だ。
この一家の空気は静謐というよりは、いささか重い。家族そろっての幸福感に満ちたシーンはない。夫婦が口もきかず背を向けて寝るのは、内戦の経験が影響しているのだろうか。みな、何かを胸に秘めて、押し殺しているのだ(汽車の窓からのぞく兵士の顔も)。ひそひそとささやくような会話。
『フランケンシュタイン』と「共和派」という二つのフィクション――あるいは「秘密」が交錯する物語を、映画は美しいショットの数々で紡ぐ。
蜂の巣上の窓を通して蜂蜜色に輝く屋内と対照的に、白いコートを着たアナとイザベルが廃屋に向かって走る荒野の寒々しさはどうだ。母の自転車が長い道を走っていく、手前から奥への構図の美しさ。あるいは屋内のいくつものドアを縦にとらえたショットも実に映画的だ。僕がいつも目を瞠るのは何度か登場する汽車だ。アナとイサベルが線路に耳をつけて汽車は、外界からやってくる荒々しく恐ろしいものとしての汽車をよく表している。その汽車に乗って、「怪物」はやってくるのだ。
台詞の少ない本作でもとりわけ印象的なのは、「怪物」が警察に射殺された後に描かれる食卓のシーンだろう。父親が懐中時計を取り出し、カフェオレボウル(スペインだからただしくはカフェコンレチェかな)に顔を埋めていたイサベルとアナをカメラは切り返す。アナの表情、父親の目線が豊かに物語る、サスペンスフルな一瞬だ。90点。
(その95はブニュエル『銀河』です)
現実と幻想の間で。
投稿日
2013/10/26
レビュアー
ゆういちろう
現実と幻想の境界が曖昧な、幼少期の目で見たある季節の出来事。
物語にはいろんな政治的メタファーが散りばめられているらしいですが、僕はスペインの政情とかに詳しくないので、そっちの視点では鑑賞できていません。
観てる最中、コレととてもよく似た映画を知ってる気がしてたんだけど、後で気付いたら『となりのトトロ』でした。
大人の事情はあまり説明されないとことか、幼い姉妹の「あるある」感たっぷりの瑞々しい描写とか、目線の置き方みたいなものがとても近い気がします。もちろんフランケンシュタインとトトロという、「精霊」の存在が物語の軸になっているのが、何よりの共通点ですけど。
宮崎駿監督が本作をモチーフにしたかどうかは分かりませんが、同じような素材でも、作家が何を伝えたいかで、こんなにも肌触りが違ってくるんだと興味深く思いました。
2つの作品の決定的な違いは、描かれている世界が、幻想の世界と地続きかそうじゃないかということ。本作は後者なので、世界に精霊や優しいファンタジーは存在しません。でも不思議と、ビターなばかりじゃなく、やわらかで懐かしい空気も同時に感じます。「あれ?幼いころ、僕も同じ体験をしなかったっけ?」なんて、遠い記憶をくすぐられるような、輪郭がハッキリしない夢みたい。
心地よさとちょっとした不安が入り混じった、幼少期特有のウズウズした感覚を、久しぶりに思い出しました。
アナはフランケンシュタインに語りかける
投稿日
2013/12/14
レビュアー
kazupon
少女の空想と現実が入り混じった物語と聞いていて、漠然とファンタジーだと思っていました。
しかし、私が感じたのは絵画的、文学的、かつ哲学的という印象で、好きな雰囲気を湛えてはいるけれど難解でした。
その“難解”というのは、正解がないという意味に近いかもしれません。
時代背景としては、スペイン内戦後の疲れ果て躓き倒れたような不安な時代であることが、テレサの書く手紙の内容から推し測れます。
昔のまま残っているのは家の壁だけ。中味はどこへ行ってしまったのだろう。というテレサの言葉が重苦しく伝わって来ました。
テレサの夫フェルナンドは、養蜂家かと思いましたが、彼の書斎の蔵書や彼の書く文章から推察して研究家かもしれません。
フェルナンドとテレサの間には、イザベルとアナという姉妹がいて、姉のイザベルは「映画の中のことは全部嘘」だと理解しているのに対し、妹のアナは現実と虚構の区別がまだつかない年齢です。
ある日、巡回でやって来た映画『フランケンシュタイン』を観たのをきっかけに、アナの疑問と、それに答えたイザベルの言葉が、混沌としたアナの幼少期の精神世界をからかい半分に掻き乱していきます。
イザベルは、アナに「フランケンシュタインの正体は精霊」だと教え、彼が身を潜めている場所を教えます。
イザベルが指し示したのは、広大な畑の向こうに小さく見えている古い井戸のある廃屋(倉庫?)です。
この精霊が住む場所は、まるで絵画のような風景です。
その廃屋を目指して歩いていくアナとイザベル。その二人の姿がだんだん小さくなり、やがて豆粒ほどに見えるようになるまでは、不安になるほど美しく古い井戸の存在が怖く感じられました。
精霊の存在をアナに信じさせたのは、まさしくフランケンシュタインのものと思われる大きな足跡でした。
何度となくその場所へ通うアナの前に一人の脱走兵が現れ、映画で観たフランケンシュタインと少女のような時を過ごします。
ある夜、廃屋を包んでいた暗闇に数回閃光が走り、アナのフランケンシュタインは姿を消しました。
一度観ただけでは、見落としたものが沢山あるような気がして、5回ほど繰り返して観ました。
観るたびに欠けていたピースが見つかって、パズルが少しずつ出来上がっていく感じがしました。
でも、私にはこのパズルを完成させることはできないだろうと思いました。
1つ発見だと思ったのは、オープニングの子供が描いたような絵でした。
あれらの絵は、この作品の要約にもなっているのです。
頭からネット付きの帽子を被った父と蜂の巣から家までつながるミツバチたち。
手紙を書く母。
煙を吐いて通り過ぎていく黒く大きな汽車。
太った黒猫。
焚き火を飛び越えるイザベルや年長の少女たち。
水辺の少女とそれを木陰から見つめる男の姿。
しかし、何よりもこの作品の印象を表しているのは、ジャケット写真のアナの大きく澄んだ目です。
このアナの瞳が見つめているものこそ、多くの大人たちが、かつて見つめて、今は忘れてしまった幼い日の混沌の姿なのかもしれません。
イザベルに教えられたように「私はアナ。」と精霊に語りかけるアナですが、精霊は現れません。
この日が幼少期との境界線だった気がします。
中世絵画のような光と影!
投稿日
2015/11/01
レビュアー
カマンベール
6歳の少女の瞳に「世界」はどう映っていたのだろう?
会話は最小限です。静謐な映画。
パンフルートのようなBGMが、ほんの少し流れるだけ・・・。
アナの大きすぎる瞳。見開くと「世界」が、見えているのでしょうか?
ストーリーは、まとまりも無く、淡々と提示されます。
「核」となるストーリーは、
アナが、出会う廃墟の倉庫跡の逃亡兵。
アナはリンゴをあげる。そして父親のコートを運びます。
そして、次のシーンでは、真っ暗闇に轟く銃声。
アナが翌朝行くと倉庫にはおびただしい血痕が、
そして迎えに来た父親を振り切って、アナは逃亡兵のように、
逃げて行くのです。
少女は、いったい何を感じたのだろう?
「死」の感触だろうか?
ざわざわと「死」を身近に感じたのだろう?
この映画は、ストーリー・ウンヌンより、
絵画のような美しさ!
室内に差し込む自然光と照らし出される人物像。
フェルメールの絵画のようです。
何回もアナの大きな瞳に、吸い込まれそうになりました。
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