俺達に墓はない

この映画、高校生のとき、松田優作ファンの友達と見に行きました。２本立てだったけど、もう１本は何だったかなあ。舘ひろしの「薔薇の標的」だったような気もするけど、違うかも知れません。それで、その友達というのが不良で、映画館でタバコ吸ったりしてましたね。当時はあまりうるさくいわれなかったです。カッコいい松田優作を見に行ったのに、映画は何だかゆるーくてお笑いでごまかしたようなアクションで、がっかりしたのを覚えています。でも、岩城滉一や滋賀勝の名前を覚えたのもこの映画だし、「桃尻娘」竹田かほりを見てドキドキしたのもこの映画。岩城滉一が豚小屋を這い回る場面などはショッキングでした。思い出がありすぎて冷静には見られません。今見ると、当時はゆるいと思っていた澤田幸弘の演出も軽快で楽しめるかも知れませんが、自分では見ない方がいいような気もしています。なんといってもタイトルがいいですね。「俺達に墓はない」。優作には立派な墓が立てられましたが。

松田優作さんと岩城滉一さんのコンビだというのに
ストーリーが悪すぎる
この顔合わせが実現した喜びと
今年４月に亡くなられた志賀勝さんの
形容しようのないケンカ殺法の演出プランとオーラ
そして形容しようのない青剃りヘアースタイルと
ぼそぼそツッコミの松田さんと
洒落てるスコアだけが見どころ聴きどころで
あとはな〜〜んにも
じゃれ合ってるようにしか見えない
アクションシーンの拙さは
この時代のあるあるなので
発展途上と受け止めることはできます。
が、脚本は言い訳しようのない仕上がり
これをどう面白がれと言うのか
キャストにおんぶに抱っこで
そのキャストのファンが
出演作完全制覇のために見るような
それぐらいの作品でした。
これはすぐ忘れるでしょう。
遊戯シリーズや
野獣〜などの
記憶に残るようなシーンもありませんでした。

あ、別の松田さん主演作にも出てましたが
岡本麗さんが若かりし頃
セクシー担当だったということに
今回も驚きました。
そして妙にセクシーでした。
その印象が何よりも強いです。

松田さんの存在は
それ自体がボケと言ってもいいもの
見つけてくれと言っているような服装で
コソコソしてたり
アドリブのようなセリフを発したり
いつも思うことですが
松田さんは
お笑いが好きだったんじゃないかなぁ
ボケたがりに見えます。

松田 翔太も、 松田 龍平もすごい役者だけれども、
やっぱり優作はスゴイ。この時代の優作は、ハードボイルド系1本で、
キャラの広がりはないけど、ストイックに演技を突き詰めてた。
どこか数％だけ、まぬけな部分を残してるのもカッコイイな。

今では見れないカワイイ岩城滉一もみどころ。

松田優作、岩城晃一共演ということで今では驚き。

「探偵物語」が好きな人は見てください。松田優作が好きな人は見てください。映画としてどうか？普通なのかもしれません。でもこれは松田優作を見る映画です。そして彼を中心に「映画とは勢いで作るもの！」ことを感じる映画です。僕は好きです。ただ、シネマテックというか、映画でなければ出来ない世界ではなく、ある意味、「探偵物語」の一エピソードに留まるようなお話です。この頃、小生少年時代。怖かっただけの大人の世界がかっこよく見え始めたときでした。