泥棒成金

いうまでもない名作。ヒッチコックの作品の中でも、とびっきり豪勢な主役二人が、モナコ、南仏ニース、カンヌ周辺でくりひろげる、おしゃれなおしゃれな泥棒物語。

よく、「誰かに生まれ変わるとしたら、誰になってみたい？」なんていう質問があったりしますが。

私は迷わず
グレース・ケリーです。

えっと、ずっと生まれ変わるのはいやです。
グレース・ケリーを生きるってすごく大変そうだから＞笑
そうだなあ、２週間ぐらいでいいです。
あんな風に生まれつくって、どんな気持ちなんだろう。

オードリー・ヘプバーンとかジーン・セバーグなんかも大好きなんだけど、グレース・ケリーはちょっと特別な存在です。
そんなグレース・ケリーのとびっきりのファッションショーも楽しめる、サスペンスも含んだ豪勢なお話。

映画の黄金期だなあ、と思います。
こうして、安心して楽しめながら、きちんと気品があってスター性もある映画って、最近はあまりないんだよな。ヒッチコックもバスの乗客でちょろっと出演しています。
正しく、女の子目線で楽しみました！

アルフレッド・ヒッチコック監督の豪華サスペンスラブストーリー。出演者も豪華のひと言。なんたってケイリー・グラントとグレイス・ケリーですからね。当時はファンがキャーキャー言ったことでしょう。ケイリー・グラントのいいとこ全部引き出しましたね。さすがヒッチコックおじさん。劇中「キャット」の異名を持つケイリー・グラントが実に軽やかに屋根を伝うシーンがありますが、実はこの人過去にアクロバットやってたんですよ。だから軽快なんです、動きが。彼の動作は本当にきれい。どの映画を観ても動きが洗練されています。大きな画面の映画ではそういうこともとても大事な要素ですね。相手役のグレイス・ケリーのきれいなこと！ファッションも素敵です。若い人にはこの時代の一連の有名作品はみんな観てもらいたいです。映画とはこういうものなんだと知って欲しい。ないですからね今の時代こういう作品は。また、ヒッチコック監督は必ず自分の作品のどこかに顔を出すことで有名です。見つけてくださいね(^_-) 。

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　泥棒映画が好き、と別のところで書いたら観たくなりました。一見のんびりしているけれど、細部の演出がひじょうに魅力的なヒチコックのロマンチックなラブ・サスペンスです。大人のための楽しい映画で、この映画も、後に続くいろいろな作品の下敷きになっていると思います。
　泥棒シーンというものは実はほとんどなくて、始まって１時間20分くらいは「足を洗った元泥棒」と「お金持ちのお嬢様」のラブコメみたいなもの。それまでお澄まししていたグレース・ケリーが、ホテルの部屋の扉のところでふいにケーリー・グラントに口づけする瞬間の変貌が、どきりとさせます。
　美しい南仏はニースなどの風景がうまく作品に生かされています。海をのぞむ道路でグレース・ケリーがハンドルを握り、尾行車をまくためにどんどんスピードを上げていく。ケリーはいたって楽しそうなのに、助手席のグラントが恐れをなしているのがおかしいです。この後の断崖の上でのランチのシーンは、高所・食欲・恋愛が絡み合った、とても面白いシーンになっています。
　冒頭、グラントの屋敷に警察がやってきてから海辺のレストランまではほとんど台詞もなく、サイレントのようです。レストランは元レジスタンス仲間が集っているのですが、グラントの過去をしっている彼らとの緊迫した雰囲気もいい。ケリーの母親役のジェシー・ロイス・ランディスの可笑しな感じもこの映画の大きな魅力。
　海水浴場のフロートの上で別の女の子と話しているグラントの脇に、すっとケリーが泳いでくる場面の演出も、とても面白いです。本当ならケリーが近づいてくることに気づかないことはまずないでしょうが、その「あり得ないこと」をあり得るように見せるのが映画の、ヒチコックのマジックではないでしょうか。
　ヒチコック自身、『映画術』などで「お話は大したことがない」としていますが、随所でひじょうに面白い演出が積み重ねられて、「大したことがないお話」がとても魅力的な作品になっています。現在の映画とはずいぶんリズムが違いますが、屋根の上のクライマックスまでさまざまな要素を堪能できる秀作ではないかと思います。75点。

　余分な追記。過去のレビューに「あり得ない設定」「音楽のつけ方が古臭い」というものがあり驚きます。まず「打算を含まない、50歳と20歳のように歳が離れた恋愛」は現実に僕の周囲でもあるので、あり得ないことではありません。ご自分の周囲にないからといって、否定するのはどうでしょうか。また、「あり得ないこと」に現実味を持たせるのが映画というもののひとつの魅力です。設定から否定しては始まりません。「音楽のつけ方」云々は、映画の時代性と劇伴の特徴というものをまったく無視し、現在の流行の枠組みのみに囚われているとしか思えません。サイレント映画の名作をいくつかご覧になってはいかがでしょうか。他の芸術同様、映画には映画の歴史があり、流行があります。たとえば18、19世紀あたりの絵画や音楽に「古臭い」とあえていう意味はどこにもないでしょう。

監督：アルフレッド・ヒッチコック（１９５５年・米・１０６分・テクニカラー・ビスタビジョン）
原作：デイヴィッド・ドッジ『To Catch a Thief』　※Thief（泥棒）

ヒッチコックは、「身に覚えのない事件に巻き込まれる主人公男性」というテーマのサスペンスがお得意で、その最たるものが『間違えられた男』だった。『北北西に進路を取れ』も本作『泥棒成金』も同様のテーマでありながら、ロマンス色が強いように思う。

ジョン・ロビー（ケーリー・グラント）は、「猫（The Cat）」の異名を持つ宝石泥棒だったが、それは過去のこと。現在は、南仏リヴィエラの高台の屋敷で花を育て、悠々自適の生活を送っていた。
そんな彼がまた宝石泥棒を再開したのではないか？と疑惑を持たれたのは、最近、連続して発生している宝石泥棒事件の手口が「猫」の手口とそっくりだったからだ。
夜間、音もなく忍び込み、時には眠っている枕元からも難なく盗み取るなど、何の痕跡も残さない見事なものだった。
警察はジョンを疑い、すぐにジョンの屋敷にやってきた。身に覚えのないジョンは、屋敷を抜け出し逃亡するが、昔の仲間たちもジョンの仕業だと思い込み、助けにはならなかった。そこでジョンは、自分で「猫」を捕まえて正体を暴こうと「猫」が狙いそうな高価な宝石を持つ富豪のリストを保険会社のヒューソン（ジョン・ウィリアムズ）から手に入れる。社交界に潜入するため、ジョンはアメリカから来た材木商・コンラッド・バーンズという偽名を名乗る。
そのリストの中にあった富豪の一人がジェシー・スティーヴンス夫人（ジェシー・ロイス・ランディス）で、夫人にはフランシー（グレース・ケリー）という美しい娘がいた。

ケーリー・グラントとグレース・ケリーでは年齢が父娘ほど違うのに、本作といい、この前年の『裏窓』といい、ケーリー・グラントの役得ではないかと思ってしまう。（笑）
グレース・ケリーは、クール・ブロンドのヒロインを演じ、ヒッチコックの理想の女性像に最も合致する女優だったらしい。ヒッチコックは彼女のイメージを「雪をかぶった活火山（外側は冷たいが、内面は燃えたぎっている女という意味）」と表現したそうだけれど、本作や『裏窓』でも積極的に犯人逮捕に協力しようとしていた。とは言え、ヒッチコックはお気に入りの女優を美しく着飾らせるのも好きで、本作でも数々のドレスやドライブ時の飾らない服装まで、彼女の魅力をスクリーンで存分に見せてくれた。
私は部屋で花火を観るときの白いドレスと、仮面舞踏会でのゴールドのドレス姿のケリーが好きだった。
母親役のジェシー・ロイス・ランディスも、笑顔の素敵な女優さんで、とても美しい人だと思った。その明るい表情に見覚えがあって調べてみたら『北北西に進路を取れ』では、ケーリー・グラントの母親役を演じた人だった。
それから、よく話題になるヒッチコックの登場シーンだけど、本作は探すまでもなく堂々と顔をさらしていた。（笑）

グレース・ケリーが出ているので観た。

ヒッチコックを続けて観ているのだが、評判ほど面白くない。理由は「音楽がうるさ過ぎる」ことと「設定が非現実的過ぎる」ことにある。

「裏窓(1954)」ではグレース・ケリー（24歳）が21歳年上のカメラマンに惚れていた。それは有り得ない。

「めまい(1958)」ではなんと昔の恋人に再会してセックスまでしているのに同一人物だと気がつかないという設定をしている。そんなの絶対有り得ない。

この作品ではグレース・ケリーが大金持ちの独身の妙齢のブロンドの水上スキーのチャンピオンでリビエラに遊びに来ているアメリカ人…て、そんな奴はおらん。当時はそういうアメリカ人女性が男の憧れだったんだろうなぁ。「裏窓」や「めまい」の有り得なさ度に比べれば『お話用のキャラクタ』だからということで大目に見よう。

ストーリーの凡庸さに比べてこの映画は映像が奇麗だ。難しい事は知らないが屋外での舞踏会は屋外なのにドレスがちゃんと明るく発色していて奇麗だ。相当明かりをたいているのだろう。グレース・ケリーのお着替えを観る映画である。