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昭和32年頃に関西で連続して起きた凶悪事件を題材に、大島渚監督が人間の中に潜む悪魔と不思議な生命力を描いた問題作。神戸で女中奉公しているシノのところへ突然現れた英助は、彼女に包丁を向けて縛り、失神させ犯し…。
昭和32年頃に関西で連続して起きた凶悪事件を題材に、大島渚監督が人間の中に潜む悪魔と不思議な生命力を描いた問題作。神戸で女中奉公しているシノのところへ突然現れた英助は、彼女に包丁を向けて縛り、失神させ犯し…。
製作年: |
1966年 |
---|---|
製作国: |
日本 |
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
99分 | 1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語 |
|
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
DA9925 | 2006年04月27日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
6枚 | 0人 | 0人 |
収録時間:
99分
字幕:
音声:
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
レイティング:
記番:
DA9925
レンタル開始日:
2006年04月27日
在庫枚数
6枚
1位登録者:
0人
2位登録者:
0人
DVD
収録時間: | 字幕: | 音声: |
---|---|---|
99分 | 1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語 |
|
レイティング: | 記番: | レンタル開始日: |
DA9925 | 2006年04月27日 | |
在庫枚数 | 1位登録者: | 2位登録者: |
6枚 | 0人 | 0人 |
収録時間:
99分
字幕:
音声:
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
レイティング:
記番:
DA9925
レンタル開始日:
2006年04月27日
在庫枚数
6枚
1位登録者:
0人
2位登録者:
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二十歳、シノ(川口小枝)。白昼、白いシーツ、白いシャボン、洗濯。女中する豪邸、男があらわれる。同郷の幼なじみ、風来坊、エイスケ(佐藤慶)。《犯人は犯行現場にもどる》シノを縊り失神させる。だが、犯さない。主人の妻を強姦、殺害する。「白昼の通り魔」の犯行、はじめての殺人、刑事が断言。シノ、犯人について白をきる。まず、しらせるべきひとがいる。つたなく、断片の手紙をかく。回想、森の中、ふりおちる光。刑事にくっつく。エイスケをおうのだ。
マツコ(小山明子)、ふたりの恩師、エイスケの妻。エイスケ、あなたの夫は白昼の通り魔です。手紙をにぎりつぶす。ほんとうか。村の青年による勉強会、コミューンじみた、かつて理想をともにしたゲンジ(戸浦六宏)の墓前で問いかける。白昼、霊があらわれる。対話。
突如、風来坊、エイスケが帰郷する。マツコを抱こうとしない。《犯人は犯行現場にもどる》手紙が真実としる。極悪人の妻、中学教師の職もうしなうだろう。幻滅しゆく理想、「無償の愛」。マツコ、西へきえたエイスケをおう。修学旅行の引率者という最後の役割、白いスーツ。生徒たちの白いシャツの群れ。対話すべきあいて、シノが大阪でまっている。
回想の交錯、シノ、エイスケ、マツコ、ゲンジ、青春の光と影が露わに、白日となる。なにがおきたのか、それははっきりしている。
理想家ゲンジは大人(現実)になれなかった。理想もうせた。もうひとりの理想家マツコはゲンジを嘲笑する。シノはゲンジの懇願で心中してやる。マツコは精悍な野獣エイスケをとめに走らせる。森の中へ、縊るふたり、シノは落下、仮死、エイスケはそれを犯す。第一の犯行。
ゲンジの葬儀、シノは村をでる。さわるだけ、さわるだけよ。喪服のマツコ、藪の中、エイスケに犯される。第二の犯行。マツコはエイスケを夫とする。理想、ごまかし。エイスケ、一年後、白昼の通り魔と変貌、待つ女の理想も幻滅した。
大阪、夜の街頭、彷徨うような、あやしくもらうタバコの火、マツコとシノ、諍いする。新幹線、高速の移動に身をまかせ、ふたりはすれちがい、むかいあい、嘲弄、嫉妬、罵倒、慰め、ディスカッションのはて、ことばはもうつきる。生徒、「先生、いまどこを走っているの」マツコ、「だれにもわかんないとこ走ってるの」犯人はエイスケだと刑事につげる。
東京、引率者マツコは生徒たちに告げる。さようなら。そして走る。ことばは使い尽くした。身体がのこっている。これも使いきるのだ。新幹線のごとく渾身で。丸の内から銀座、マツコは走る。ヒール、右に身をかたむけ。シノが追跡。ふたりは力つきる。
エイスケは逮捕され、死刑判決。じぶんは生まれながらの犯罪者、と告解。だが、告白などふたりの答えではない。映画の答えではない。
マツコとシノはむかう、あの森の中へ、ふたりの女がエイスケをうんだのだ、死刑執行のとき、心中という儀式、そしてふたたび、シノだけが生き残る。毒を嘔吐。シノはマツコの遺骸を背負う。ヒールの洋装で力強く森をくだってゆく。
シノという名は不吉だ。死の、と呼びかけるようなものだ。ゲンジも、マツコも、そしてエイスケも死んでいった。そう呼ばれたシノひとり生き残る。二十歳、敗戦後に生まれた女。ゲンジもマツコも理想と現実にひきさかれた、戦後民主主義、社会主義の幻滅体。いっぽうエイスケ、野獣のごとき過剰な暴力者もまた法に捕縛、死す。《一度しった快楽はつぎからは苦役となる》エイスケは、シノ、マツコのもとへ苦役のすえ、帰ろうとした。女のそこへ。女たちは身をもって了解する。
全編をつらぬくハイキーでフラグメントな暴力。それはエイスケという謎。かれはなぜ犯行にめざめたのか、その了解、たとえば法の、たとえば文学の言葉での囲い込みはいくらでもでき、たえずやぶれる、「藪の中」。
東京でマツコにみすてられ、引率者の手をはなたれた白き生徒たち、集団就職、都会で断片として彷徨、そのものたちのなかに、ゲンジ、マツコ、エイスケも再生されよう、白昼の通り魔が、そして、
ハイキーでフラグメントなショット、繊細で大胆なカッティングの驚くべき集積は、「白昼の通り魔」の冒頭タイトルの前後、二度くりかえされる白いスクリーンと一体となったかのような、光そのものであるかのようなまっ白、説明不可能な「藪の中」、表象不能な零度、そんな光の奈落へと近接しつつも、ラスト、ひとつの「羅生門」を明確にしめす。
シノのごとく、タフで優しく、汚辱をうけて潔白に、遺骸を背負って孤独にいきてゆくのだ。敗戦後二十年めの「白痴」。奔放なるドグマティックな大島映画の、その表出の極限でのひとつの表現、美しき像、ハイキーでフラグメントな意志、エイスケではないシノという、
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モデルになった事件は昭和32年12月に神戸で起きた強盗殺人事件。主婦とお手伝いさんが殺され金が奪われた。続いて同様の事件が起こり、「白昼の通り魔」と怖れられるが翌年犯人の男36歳が逮捕される。罪状は1府10県にわたる強盗殺人、強盗傷害、強姦、強姦未遂、窃盗、恐喝等、起訴されただけで35件に上った。国選弁護人にまで死刑やむなしと見放されたこの男には、しかし小学校教師の妻があり、この事件以前に既に何度か罪を犯し刑務所に入っていた彼の更正に心を砕いていた。自分ほど家庭環境に恵まれた犯罪者はいないと、刑務所仲間に語っていたそうである。にもかかわらず悪心を抑えられないのだとも。昨今の孤立のはての同種犯罪とはどこか違う、人間にひそむ根源的な悪のマグマ、理性を超え出た禍々しい力の存在を感じさせる、いかにも武田泰淳が好みそうな人物。
映画はこの事件を大胆に翻案する。時代は下って0系新幹線の営業した頃。舞台は長野の農村。昔の「山村工作隊」のイメージでもないだろうが、養豚の共同経営で社会主義的なコミューンを目指していたのが、挫折しそれぞれ孤立へと投げ返された4人の男女。村の有力者の息子で気の弱い源次、貧しいがたくましく生きるしの、インテリで理想主義者の中学校教師松子、そして通り魔に変貌する不気味な凶暴さを湛えた英助。4人の間に愛憎が交錯し松子と英助は結婚するが、源次は早々と自死して退場する。源次の遺体の前で失神したしのを強姦したことが、英助の変貌のきっかけとされるが、さほど説得力はない。実際の事件がそうであったように、謎であり闇として不気味にわだかまる。
それより興味深いのは共同経営へ団結を訴える源次のリーダーシップも、「恋愛は無償の行為」と説く松子の理想主義も、英助の禍々しい衝動の前では、なすすべなく崩れ落ちることだ。公民館で英助を迎え入れようとする松子に浴びせられる「偽善者め!」の一言。無償の愛と自己の情欲を区別できないお嬢さんの幻想を打ち砕く。夫が通り魔だと知らされつつ教室で板書する「自由、平等、権利、愛、人類」 この状況でこれほど虚しいことばはない。
コミューンの失敗から始まり、公民館にはもう誰も集まらなくなり、「大勢の人間が力を合わせること、私自身がもう信じられなくなったんよ」と松子に言わしめる、そこには戦後のひとつの挫折がある。民主主義の、理想主義の挫折の寓話が織り込まれているかのようである。
映画はその挫折を一片の感傷もなく、観念劇の白々しさで描いていく。敗北したインテリたちの対極に英助が居り、しのがいる。前者は人間の悪への激しく抑えがたい衝動の象徴として、そして後者は、これこそが武田泰淳の愛した人間像だと思うが、善悪を超えた素朴な生命力の象徴として。しのは、これから一緒に死のうと松子に誘われた車中で駅弁を二つ平らげる。これが奏して毒が吸収されず息を吹き返した。松子の亡きがらを背負って山を下るシーンは力強く圧倒的だ。
大島渚が愛したのは、しかし、しのではなくて、松子の方ではないかという気が、私はしている。自分の信条に殉じようとする、それがたとえ虚妄であっても、小山明子はすこぶる美しい。白磁の水差しのようである。映画自体が美しい陶器片の輝きのようだ。最後まで輝きは失せない。佐藤慶の英助は亡き緒方拳の榎津に匹敵するはまりぶりです。
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入力内容に誤りがあります。
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ユーザーレビュー:8件
投稿日
2008/07/17
レビュアー
kobarou※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
二十歳、シノ(川口小枝)。白昼、白いシーツ、白いシャボン、洗濯。女中する豪邸、男があらわれる。同郷の幼なじみ、風来坊、エイスケ(佐藤慶)。《犯人は犯行現場にもどる》シノを縊り失神させる。だが、犯さない。主人の妻を強姦、殺害する。「白昼の通り魔」の犯行、はじめての殺人、刑事が断言。シノ、犯人について白をきる。まず、しらせるべきひとがいる。つたなく、断片の手紙をかく。回想、森の中、ふりおちる光。刑事にくっつく。エイスケをおうのだ。
マツコ(小山明子)、ふたりの恩師、エイスケの妻。エイスケ、あなたの夫は白昼の通り魔です。手紙をにぎりつぶす。ほんとうか。村の青年による勉強会、コミューンじみた、かつて理想をともにしたゲンジ(戸浦六宏)の墓前で問いかける。白昼、霊があらわれる。対話。
突如、風来坊、エイスケが帰郷する。マツコを抱こうとしない。《犯人は犯行現場にもどる》手紙が真実としる。極悪人の妻、中学教師の職もうしなうだろう。幻滅しゆく理想、「無償の愛」。マツコ、西へきえたエイスケをおう。修学旅行の引率者という最後の役割、白いスーツ。生徒たちの白いシャツの群れ。対話すべきあいて、シノが大阪でまっている。
回想の交錯、シノ、エイスケ、マツコ、ゲンジ、青春の光と影が露わに、白日となる。なにがおきたのか、それははっきりしている。
理想家ゲンジは大人(現実)になれなかった。理想もうせた。もうひとりの理想家マツコはゲンジを嘲笑する。シノはゲンジの懇願で心中してやる。マツコは精悍な野獣エイスケをとめに走らせる。森の中へ、縊るふたり、シノは落下、仮死、エイスケはそれを犯す。第一の犯行。
ゲンジの葬儀、シノは村をでる。さわるだけ、さわるだけよ。喪服のマツコ、藪の中、エイスケに犯される。第二の犯行。マツコはエイスケを夫とする。理想、ごまかし。エイスケ、一年後、白昼の通り魔と変貌、待つ女の理想も幻滅した。
大阪、夜の街頭、彷徨うような、あやしくもらうタバコの火、マツコとシノ、諍いする。新幹線、高速の移動に身をまかせ、ふたりはすれちがい、むかいあい、嘲弄、嫉妬、罵倒、慰め、ディスカッションのはて、ことばはもうつきる。生徒、「先生、いまどこを走っているの」マツコ、「だれにもわかんないとこ走ってるの」犯人はエイスケだと刑事につげる。
東京、引率者マツコは生徒たちに告げる。さようなら。そして走る。ことばは使い尽くした。身体がのこっている。これも使いきるのだ。新幹線のごとく渾身で。丸の内から銀座、マツコは走る。ヒール、右に身をかたむけ。シノが追跡。ふたりは力つきる。
エイスケは逮捕され、死刑判決。じぶんは生まれながらの犯罪者、と告解。だが、告白などふたりの答えではない。映画の答えではない。
マツコとシノはむかう、あの森の中へ、ふたりの女がエイスケをうんだのだ、死刑執行のとき、心中という儀式、そしてふたたび、シノだけが生き残る。毒を嘔吐。シノはマツコの遺骸を背負う。ヒールの洋装で力強く森をくだってゆく。
シノという名は不吉だ。死の、と呼びかけるようなものだ。ゲンジも、マツコも、そしてエイスケも死んでいった。そう呼ばれたシノひとり生き残る。二十歳、敗戦後に生まれた女。ゲンジもマツコも理想と現実にひきさかれた、戦後民主主義、社会主義の幻滅体。いっぽうエイスケ、野獣のごとき過剰な暴力者もまた法に捕縛、死す。《一度しった快楽はつぎからは苦役となる》エイスケは、シノ、マツコのもとへ苦役のすえ、帰ろうとした。女のそこへ。女たちは身をもって了解する。
全編をつらぬくハイキーでフラグメントな暴力。それはエイスケという謎。かれはなぜ犯行にめざめたのか、その了解、たとえば法の、たとえば文学の言葉での囲い込みはいくらでもでき、たえずやぶれる、「藪の中」。
東京でマツコにみすてられ、引率者の手をはなたれた白き生徒たち、集団就職、都会で断片として彷徨、そのものたちのなかに、ゲンジ、マツコ、エイスケも再生されよう、白昼の通り魔が、そして、
ハイキーでフラグメントなショット、繊細で大胆なカッティングの驚くべき集積は、「白昼の通り魔」の冒頭タイトルの前後、二度くりかえされる白いスクリーンと一体となったかのような、光そのものであるかのようなまっ白、説明不可能な「藪の中」、表象不能な零度、そんな光の奈落へと近接しつつも、ラスト、ひとつの「羅生門」を明確にしめす。
シノのごとく、タフで優しく、汚辱をうけて潔白に、遺骸を背負って孤独にいきてゆくのだ。敗戦後二十年めの「白痴」。奔放なるドグマティックな大島映画の、その表出の極限でのひとつの表現、美しき像、ハイキーでフラグメントな意志、エイスケではないシノという、
投稿日
2008/12/01
レビュアー
港のマリー※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
モデルになった事件は昭和32年12月に神戸で起きた強盗殺人事件。主婦とお手伝いさんが殺され金が奪われた。続いて同様の事件が起こり、「白昼の通り魔」と怖れられるが翌年犯人の男36歳が逮捕される。罪状は1府10県にわたる強盗殺人、強盗傷害、強姦、強姦未遂、窃盗、恐喝等、起訴されただけで35件に上った。国選弁護人にまで死刑やむなしと見放されたこの男には、しかし小学校教師の妻があり、この事件以前に既に何度か罪を犯し刑務所に入っていた彼の更正に心を砕いていた。自分ほど家庭環境に恵まれた犯罪者はいないと、刑務所仲間に語っていたそうである。にもかかわらず悪心を抑えられないのだとも。昨今の孤立のはての同種犯罪とはどこか違う、人間にひそむ根源的な悪のマグマ、理性を超え出た禍々しい力の存在を感じさせる、いかにも武田泰淳が好みそうな人物。
映画はこの事件を大胆に翻案する。時代は下って0系新幹線の営業した頃。舞台は長野の農村。昔の「山村工作隊」のイメージでもないだろうが、養豚の共同経営で社会主義的なコミューンを目指していたのが、挫折しそれぞれ孤立へと投げ返された4人の男女。村の有力者の息子で気の弱い源次、貧しいがたくましく生きるしの、インテリで理想主義者の中学校教師松子、そして通り魔に変貌する不気味な凶暴さを湛えた英助。4人の間に愛憎が交錯し松子と英助は結婚するが、源次は早々と自死して退場する。源次の遺体の前で失神したしのを強姦したことが、英助の変貌のきっかけとされるが、さほど説得力はない。実際の事件がそうであったように、謎であり闇として不気味にわだかまる。
それより興味深いのは共同経営へ団結を訴える源次のリーダーシップも、「恋愛は無償の行為」と説く松子の理想主義も、英助の禍々しい衝動の前では、なすすべなく崩れ落ちることだ。公民館で英助を迎え入れようとする松子に浴びせられる「偽善者め!」の一言。無償の愛と自己の情欲を区別できないお嬢さんの幻想を打ち砕く。夫が通り魔だと知らされつつ教室で板書する「自由、平等、権利、愛、人類」 この状況でこれほど虚しいことばはない。
コミューンの失敗から始まり、公民館にはもう誰も集まらなくなり、「大勢の人間が力を合わせること、私自身がもう信じられなくなったんよ」と松子に言わしめる、そこには戦後のひとつの挫折がある。民主主義の、理想主義の挫折の寓話が織り込まれているかのようである。
映画はその挫折を一片の感傷もなく、観念劇の白々しさで描いていく。敗北したインテリたちの対極に英助が居り、しのがいる。前者は人間の悪への激しく抑えがたい衝動の象徴として、そして後者は、これこそが武田泰淳の愛した人間像だと思うが、善悪を超えた素朴な生命力の象徴として。しのは、これから一緒に死のうと松子に誘われた車中で駅弁を二つ平らげる。これが奏して毒が吸収されず息を吹き返した。松子の亡きがらを背負って山を下るシーンは力強く圧倒的だ。
大島渚が愛したのは、しかし、しのではなくて、松子の方ではないかという気が、私はしている。自分の信条に殉じようとする、それがたとえ虚妄であっても、小山明子はすこぶる美しい。白磁の水差しのようである。映画自体が美しい陶器片の輝きのようだ。最後まで輝きは失せない。佐藤慶の英助は亡き緒方拳の榎津に匹敵するはまりぶりです。
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白昼の通り魔