座頭市千両首

勝新太郎も若山富三郎（この映画では城健三朗とクレジット）も、その体型から分からなかったけど、身が軽いんだよね。この映画で驚いたのはクライマックスでの両者の対決。若山が落馬するのだが、頭から落ちているのだ。一瞬、首を骨を折ったのではと思った。スタントマンではなく、若山自身が演じているのは、顔をはっきり写しているので分かる。その後、「椿三十郎」みたいにバサッと決める。見事な殺陣なのだ。

シリーズ６作目
今回はこれまでの作品に比べて
少し面白味に欠けた印象でした。
座頭市というキャラクターのみで成立する物語なのに
国定忠治という有名な侠客も登場させたせいで
なんだか少しノレまでんでした。
忠治がカッコよくキメようとしてるのが
妙にツボにはいって可笑しくなってしまい
さらに自分にこと「忠治は」って言うから
余計可笑しくて・・・・
いらないキャラでした。
これまでのシリーズは１９６２年と６３年に公開されたもので
この作品から６４年のものになるのですが
ここからガラリと演出が変わっています。
冒頭の出演者のテロップは
これまで味わいのある手書きフォントのような字を使用していましたが
きちんと整ったものになってるし
オープニング映像のような手法を取り入れているし
座頭市シリーズではほとんどなかった
「血」をちゃんと登場させています。
編集や撮影方法にも変化が見られ
ターニングポイント的な作品だったのではと思いました。
そんな中
勝さん演じる座頭市は
今回も素晴らしい
シリーズを通して楽しいのは
座頭市のつぶやき＆ぼやき節です。
カッコよくキマるセリフもあれば
皮肉ってるセリフや滑稽なもの
ツッコんでおとすものまでバリエーション豊かで
目という表現方法を失っているとは思えないほど
表情も饒舌だったりします。
もちろんキレッキレの殺陣も健在で
出し惜しみなし
今回は４作ぶり二度目のシリーズ共演となる
兄の若宮富三郎さん（当時は城健三朗さん）との対決も楽しめ
刹那の一瞬で明暗を分ける命のぶつかり合いに興奮します。

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　お百姓さんが一生懸命集めてお代官様への上納金が何者かに盗まれて、座頭市に濡れ衣がかけられて、真犯人を探す話。

　何と言っても宮川一夫キャメラマンの独特の映像美が冴えわたっていて、冒頭の座頭市の舞台装置みたいな場所での殺陣や山の中を駆けまわるたくさんの提灯などヴィジュアルがカッコいいです。

　お百姓さんが一生懸命貯めた上納金が浪人たちに襲撃されて盗まれるところから始まります。お百姓さんたちが「上納金」と書いてある大八車を運んでいるのが笑えます。盗んでくださいと言わんばかりのアピール。

　最初は受け入れられていた座頭市が上納金を盗んだ下手人だと言われて、みんなから罵倒されて哀しい表情するのが座頭市のアウトローさをあらわしててよかったです。
　地元の人たちがお世話になっている国定忠治も疑いをかけられて、座頭市が動きますが。ここらへんのエピソードとか尻つぼみになってしまうのが残念でした。ヒロインたちも序盤に出てきた人が消えてしまうのも構成としてヘンテコでした。
　そもそも座頭市が斬ってしまった男のお墓まいりをするところから始まりますが、何故自責の念にかられるのかがわからなかったです。めっちゃ人斬ってるので、他の人たちを斬っても何の気持ちも変化ないのかと疑ってしまいます。

　カタキ役の浪人は若山富三郎さんで片手でムチを振り回しながら座頭市に襲い掛かってくる姿が熱かったです。クライマックスでも座頭市を追い詰める、かなりの強敵。
　国定忠治のところのお子さんと山を駆ける座頭市のときの子どもの声が完全に女性のアテレコで驚く映画でもありました。

座頭市シリーズ、
まだ数は見ていませんが、これはあたりですね！

市の殺陣もたくさん見れますし、
カメラワークやアングルも凝ってるし、
勝新がイキイキしています。

小太りなのに、
なんなの、あの動きのキレと速さは！

そして何より、
兄・富三郎との共演に萌えます！

そこはかとなく似てるんだ、これが。

ムチを左手で華麗に操る姿や、
勝新の猫背に対して
しゃんとした背筋、
富三郎もかっこいいですー！！！

シリーズをどれから見ようか迷っている方は、
この作品から入ったら
楽しいかもしれません。