妖精たちの森

本作は、怪奇小説の古典中の古典と言われる、ヘンリー・ジェイムズ作「ねじの回転」の前日譚を描いたものだ。
いちおう僕はそちらも読んだが、知らずに観てもまったく問題はない。むしろ余計なバイアスがかからない方が、楽しめるくらいかと思う。そもそも怪奇映画でもないし。

両親を事故で亡くした幼い姉弟が暮らす、田園地帯の大邸宅が舞台。ここに住む野卑な下男クイントと、家庭教師ジェスルの倒錯した愛欲が物語の軸になる。
マーロン・ブランド演じるクイントは、無学ではあっても、一種の哲学者と言えるだろう。しかし、愛や性、死に対するラジカルな考え方は、やがて彼を慕う無垢な姉弟に危険な影響を与えていく…。

決して完成度が高いわけではないのだが、異様な魅力を感じる一作。むしろ演出の不安定さゆえに、話がどこに向かうか予想できず見入ってしまった。

本作をジャンル分けするとすれば、官能スリラーか？いや、言い切れてない気がするなあ。
60年代後半〜70年代にかけての映画には、こういった分類不能な、いい意味で「変な」作品が多いので、発掘するのがけっこう楽しかったりする。

ヘンリー・ジェイムス原作「ねじの回転」の前日譚を描いた作品。
「ねじの回転」には「上流階級の幼い兄妹に憑りついた使用人・クイントの悪霊」
「家庭教師・ジェスルの幽霊」が出て来ます。
本作はクイントとジェスルの生前の姿と、彼らが命を失う顛末が描かれています。

原作の緊張感のある意識の流れや品の良さが、わけわからんながらも好きだったので
期待して視聴しました。
しかし、登場人物の名前を借りただけのオリジナルな作品でした。
1971年制作にしては、SM、近親相姦的遊戯など攻めた内容となっています。

幼い兄妹は、姉弟に改変され、原作とは違って、愛らしさのかけらもない邪悪な性格。
言動からすると、年齢は改変されていないようですが、姉は高校生、弟は中学生くらいに見えます。
まあ、原作通りの10才前後の子役にセックス絡みの遊びなんてさせられないもんね…
ほんとキモいわー…

クイントは、野卑な下男。
子どもたちと毎日のように遊び、彼らに「天国も地獄もなく、死んでも皆とここにいる」と吹き込む。
彼は、美しい家庭教師・ジェスルと階級差を意識しつつ関係している。
クイントが二人の関係を真剣なものにしようとした時、彼女に茶化されてブチ切れるシーンは
恐ろしくも哀れだった。

クイントを演じるのはマーロン・ブランド。
フェロモンがすごいです。一見の価値がありました。
スター俳優なのは知っているけど「地獄の黙示録」くらいしか見たことがなかったので、衝撃！
家庭教師・ジェスルが「階級が下」のクイントに、どうしようもなく惹かれてしまうのも仕方ないｗ

イントロダクションにあるように映画「回転」にリンクする話ですが、これはこれ単独でも充分に鑑賞価値がある作品です。　マーロン・ブランドの下品極まりない下男役も、男性ならついつい憧れてしまう位の存在感。　やはり、役者がうまいと映画は引き立ちますね。　映画として、それなりの古さを感じてしまうぐらいですが、映画マニアなら途中で飽きることはないでしょう。

役者として成長過程が良い人と、熟年になって良くなる人、最初が良かった人等
様々だと思いますが、
マーロンブランドの最初の頃は　元々の生い立ちと自分の性格から
悪さが出ていて大変良かった　　その後色々あって最終的にゴッドファーザーでも大変良かったですが
この映画はその丁度間にあって　折角肌も若くて綺麗なのに　でぶでぶと太って　下男の役だからしようがないですが
髪も伸びてだらしなく　ブランド本人に思い入れが無ければなかなか入って行きにくい映画です

妖精の森とはつまり子供の事で
親が死んだ為に引き取られてきた子供たちが
その家の下男と家庭教師の言うなれば不倫…ではないがあまり褒められたものではない恋愛関係を
あの世で成就させようと二人を天国に送るという話で
性のモラルがまだ残っていた昔から全く無くなった（と言っていいでしょう）現代の丁度間に位置する
何か後ろめたさの漂うドロドロ映画

中年で腹も出てふてぶてしさも一級品のブランドが
肌の艶もまだあるのに汚らしくて豚みたいで
中年受けならでも多分するのかもしれない
昔ミッキーローク等が流行った様に
汚れ系の不良中年が受けるというのは　女性も貞操感や対面に疲れていた時代という事も出来るかと思います
今みたいに何でもカンデもアッパッパになったらもう何も歯止めになるものもないし
所詮歯止めという概念すら無いし
そう言う意味で現代には珍しい一本かも。

人間の欲望の原点をマーロンブランドを使って表現した映画
子供の映画と思ってはいけないです
個人的にもう少しマーロンブランド本人のイカすところが見たいと思って借りたので失敗の一本でした
女性的意見ですみません

チャールズブロンソンの御用達監督になる前のマイケルウィナー監督のかなり異色作である。彼jはこの頃は「脱走山脈」も良かったし
才能があったと思う。段々安手の商業監督に成り下がってしまった。本作はマーロンブランドが出た事で重みが出た。
全編を妖しい雰囲気が漂う閉ざされた世界である。見せ場は使用人のブランドと家庭教師のステファニービーチャムが昼間と立場が
逆転をしてSMプレイをするエロいシーンである。このステファニービーチャムという女優は有名ではないが裸になると巨乳・肉感的で
そそる体をしている。公開当時、激しいシーンとして話題になった。(今観たら大した事ないのだが.。)
筆者は昔このエロいシーン観たさに本作の中古ビデオを購入したのだが、このシーンが見事にカットされていて憤慨した記憶がある。
この女優は他には未見だがクリストファーりーのドラキュラ映画に確か出ていた記憶があるのみだが、おそらくリーに血を吸われて吸血鬼になってしまう女性の役でもやっていたのだろう。本作を観たベルナルドベルドリッチが「ラストタンゴインパリ」にブランドの起用を決めたとの事で「ゴッドファーザー」もこの直後でもあるし、ブランドの第２黄金期の幕開けともなった作品であった。