バスケットケース

終わってから製作年度をみてみると１９８２年。
意外と新しい映画でした。『E.T』と同じ年ですね。
そう思うと手作り感に溢れたとても微笑ましい作品です。
低予算のため、襲われている側が襲われている演技を懸命にしていたり、
一度フレームアウトして再び合われると血まみれになっているなど
随所に工夫の後が見えます。
しかしあまり上手く無い（笑）。
まあそこがこの映画の味にもなっているので、
妙に雰囲気のある映画になっています。

決して傑作映画では無いのですが、
B級映画を愛する人々の心をくすぐる何かを感じる作品なのです。

シャム双生児を扱ったサスペンスとしてはブライアン・デ・パルマ監督の
『悪魔のシスター』がすぐに思い浮かぶのですが、内容は全く違っていました。
こちらは双生児と言っても、容姿も性格も似ていない。
そしてこの違いが生み出す悲劇を扱っています。

悲劇とは言え、なんとも言えずゆるい感じの作品ですので、
捉え方によってはコメディともとれそうです。
安ホテルの住人たちが個性的でとても賑やか。
まるで『めぞん一刻』の住人のよう。

お兄ちゃんがほぼ食欲・性欲などの本能のみで
生きてるような人格になったのは、生まれつきなのか、
それともその境遇のためなのか・・・。
そのあたりの描写を入れていれば、もっと深みのある良い映画に
なっていたように思います。

取りあえず見れば、長く印象に残る映画であることは
間違いありません。

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ちょっと哀しくて切ないホラー。

主人公の青年はいつもバスケットケースを持ち歩く。
ケースの中に双子の兄を入れているが、ジャケのように人間ではないので人前に出せない。
顔に手だけが付いていて怪力だ。人間を襲えば真二つにする事も可能。
１２歳の時に兄を殺そうとした医者らを兄弟で復讐しにＮＹにやって来たのだが・・

縫いぐるみが人を襲う。邦画「赤んぼ少女」みたいな感じだ。
兄弟の絆が固いとは言え、化け物ゆえに今後どう生きて行くのかが気になる所だ。

ご提供して頂きました「ナナメ歩き」殿、誠に有難うございました！＾＾

　切り離された結合性双生児。兄はアンコントロールな「欲望」だけの存在。彼と心を共有
している弟は、その怒りを共に晴らさんと、兄を切り離し、ゴミクズのように捨てた医者を
捜してニューヨークにやってくる‥。

　当時、これを観た友人から話を聞いて、頭の中で勝手に自分流のイメージを作った。
上半身だけの怪物がバスケットケースから這い出し、ずり、ずりと廊下を這ってくる。
足首を捉まれて足元を見やると、そこには異形の殺人鬼が暗い目で見上げている‥
　そんな想像図を抱いたまま、本作を観た時‥その落差に戸惑い、自らの想像力の逞しさ
に、ちょっと感心したものだった（笑）

　ひと頃、ホラーの題材でよく使われた結合性（シャム）双生児モノの、これはかなり
困ったバージョン。まるでもう、日本の怪異譚で古くから素材とされる「人面瘡」の
盛大なヤツ扱い。通常の結合双生児は、二人がほぼ同じ外見として生まれるらしいが、
それとも違う。ブラックジャックで言うところのピノコ（腫瘍の中に人体パーツが
バラバラに詰まっていた！）に近いか。
　もしくは俳優、アンディ・ガルシアのケース。彼の場合は肩部に兄弟が結合したまま
生まれ、そちらはボール大のまま育たなかった為、切り離したということらしいが。

　本作はなんとも陰惨な設定の話だが、他のレビュアーさんが書かれているように、どこか
ほのぼのしたテイストも漂う。兄弟が逗留する「ホテル・ブロスリン」の凸凹な住人達が
何かというと廊下に集まってワイワイ騒いで、それを管理人のオヤジが怒鳴って解散させる
シチュエーションは（むごたらしい殺人が起こってるというのに）どこかドリフ的テイスト。
異形の兄ベリアルの姿も、観進めるうち、どこか愛らしくさえ思えてくる。

　ふと深読みしてしまうのは‥「本当は兄は実在しなかったんじゃないか」という考え。
全てはドゥエインの心が生み出した像であり、あれは自らの心中に巣食う、悪意とリビドーが
彼の想像力の中だけで実体化した姿だったのではないか、と。

　つまり、バスケットケース＝男性の「理性」の象徴であり、その中にはすべからく
凶暴なベリアルが存在しているという‥‥おお！


[これ以下にネタバレ]









　非道の限りを尽くし、弟さえも殺そうとした兄が、最期の瞬間、弟を救おうとする。
あの一瞬、兄の胸に去来した感情は、何だったのだろう。
　ふと、そんなことを考えてしまう、不思議な余韻を持ったラストだ。

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おかしいシーンがいくつもあって、その度笑ってはいけないような自重を強いられる作品でした。
兄弟の復讐劇。
お兄ちゃん（ベリアル）がなかなかバスケットから出てきてくれなくて、
単純な気の持たせ方なんですが、あまりに単純過ぎてもろに手中にはまってしまいました。
ですから、ベリアルのあの姿を見たとたん…（（（爆））））でした。
最初に大笑いしてしまったせいか、そのあと兄弟の悲惨さが骨身にしみました。
肢体不自由な状態でも健全な脳がもたらす生きるための欲の凄まじさが、
リアルな悲劇として生々しく伝わってきてしまいました。
でも、ベリアルが動くたび、一コマ撮影の関節が外れていくようなあのカクカク動き、
小動物のようなかわいい目、やっぱりおかしくて…

互いに成長し父と医者へ復讐を始める兄弟ですが、
生殖本能もその成長に自然に伴うわけで、そこから兄弟の絆が危うくなります。
性器のない性欲。
はけ口のないその欲求を食欲で怒り狂いながら満たすベリアルの姿は、カリスマ指導者のようでもありました。

弟の恋の相手を絞め殺し、そして…赤いシーツの上で性器のない上下運動はおぞましく悲惨で、滑稽で哀れ。
目に焼きつく映像でした。
それを観ている時の自分の顔を絶対、想像したくないシーンでした。

当然、怒りは憎しみへ互いを殺しあう兄弟。
でも最後は兄弟愛でまた一心同体となる感動的なラスト。
これ、笑って終われたらおさまりよかったんですけど、妙な哀愁を漂わせてくれて、顔の筋肉が疲れる作品でした。

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たぶん１０年以上昔に見た映画でその時は何とも思わなかったが今見ると何とも切なく悲しい傑作ホラー

片割れの双子の兄が化け物であるがゆえに切なく物悲しいだけでなく、弟であるがゆえに兄を擁護するが化け物兄貴に縛られて自由に生きられない弟の切なさ悲しさ

化け物の切なさが如実に表現されているシーンが黒人女の部屋に伸びこみ女の体をまさぐるが自分の醜い姿を見られて絶叫されると女の下着を持ち帰ってバスケットケースの中で下着を弄ぶシーン

弟が純心で美しい女性と恋に落ちると化け物である兄は嫉妬心をむきだしにする
弟は化け物兄貴のせいで両想いであるその女性と恋をする事ができずに苦悩し絶叫する

ラストシーンではそれら兄弟双方の確執が爆発し破滅へと行き着くが化け物兄貴は弟を助けようとしていたようにも見えるのが確執がありながら兄弟愛を感じて悲しいシーンでもある

ただ単に化け物というだけでなく切ない化け物のとしての誕生秘話も描かれているところもいい
そして弟の兄弟愛

低予算ながら真面目に作品を作っている製作陣の努力にも拍手を送りたい
化け物はゴム製の人形に手を突っ込んで動かしているし、バスケットケースから這い出て動くシーンはコマ撮り
グロシーンもチープだがそこは製作陣の努力に免じてイマジネーションの色眼鏡をかけて見てほしい

とにかく兄弟の切なさ悲しさが十分に表現されているのでおもしろかった

ナナメさんありがとうございました