三つ数えろ

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　複雑なチャンドラーの原作を、かのフォークナーやブラケット女史も含めた脚本家、ホークス自身が粉骨砕身して仕上げた本作、物語はやっぱり評判どおりに実に分かりにくい。一応、ボガート扮するマーロウが追う事件は、僕はこういうことだろうと思う・・・・（以下重大なネタバレ。読んでもたぶん鑑賞に影響はないと思いますが、まっさらで観たい人はご注意です）。

　大金持ちの家の美人姉妹（姉Ａ、妹Ｂ）が、恐喝グループに食い物にされていた。妹Ｂに惚れていた雇いの運転手Ｃが、恐喝者Ｄを射殺。その運転手Ｃを恐喝者Ｅが殺害。Ｄの子分が勘違いしてＥを殺害。この一連の事件以前から、大金持ちの家で雇っていたトラブル・シューターＦが失踪していた。姉ＡはＦを殺害した（と思う）人物を守るため、恐喝グループの親玉（らしい）Ｇに協力させられている。

　うーん、書いててもよく分からない。この複雑さに加え、原作以上に分からない点は製作当時のコードの関係。セックス、ポルノ、麻薬、ホモセクシュアルに関してハッキリした描写がなく、登場人物たちの動機がいまひとつピンとこないのだ。
　でもこの映画は、実に面白い。僕は物語至上主義者ではないけれど、物語は映画にとってとても大事だと思う。『三つ数えろ』は筋を懸命に追っているうちに、だんだんどうでもよくなってくる。その場面が面白かったり、美しかったりすれば、つながりはどうでもいいという感じになってくる。実にハードボイルドで格好いいボギー、肩の力が少しだけ抜けてきたバコール、皮肉の効いた台詞、見事なラストカットに９０点。

　遅くなりましたがリナさんコメントありがとうございました。嫌いなんてことはまったくないです（当方の書き方が悪いのかなあ）。ラヴァースさんは別格ですが、リナさんの文章もとても素適で楽しみにしています。『オテサーネク』もタイミングよく、感謝しています。

「タフでなければ生きていけない。優しくなくては生きている資格がない」これは確か生島治郎の訳ではなかったかと思います（ちょっとあやしい）。
「しっかりしていなければ生きていけないし、優しくなくては生きていてもしかたがない」清水俊二の訳はこんな感じだったでしょうか。
確か、原文では「タフ」の部分は「hard」だったと思います。
マーロウが一夜を共にした女から「貴方みたいにしっかりしている人がどうしてそんなに優しいの」と言われて応えた言葉なので、テレ隠しと考えた方がいい言葉です。
冒頭の言葉があまりに有名になってフィリップ・マーロウが誤解されているように感じられるのが残念です。
本を探せる状態ではなく、記憶だけで書いていますので正確さは望めないことをご理解下さい。
以上、この映画とは関係ありませんが、ちょっと言ってみたかったということです。

この映画ですか、いい映画だと思います。
マーロウ物では、ロバート・ミッチャムの「さらば愛しき女よ」もなかなかの傑作だと思います（原作はマーロウ物では一番好き）。

１９４５年のアメリカ映画で白黒のモノラルというから、面白くないだろうと思ったらとんでもありませんでした。確かにサウンドや映像、アクションでは現代の映画はさまざまな技術を動員して楽しませてくれます。しかし、この映画はストーリーの展開が凝っていると思います。サスペンスと謎解き、結果は思わぬ展開になって行くがハッピーエンドが良かった。付録にこの映画のリメイクに関わる逸話が楽しかった。新人の助演女優の評価が当時としては、最悪であったというが、後に大スタートなった話など。私の個人的な好みでは、この映画の中の、この女優さんはとても魅力的に感じましたが、当時としては好まれなかったようです。現代ではこういうクールな挑戦的な女性が、映画の中では好まれるのでしょう。

古い時代の映画はシンプルで解りやすい。
と思ってのんびりみてたら、
ストーリーの詳細がよくわからない。
他の人のレビューをみて、
同じように評されていることにほっとした。
とにかくマーロウはスマートなヤツなのさ。
依頼されたことなって、あっというまに解決し、
美女のために、もうひと仕事。
ウソなんて簡単に見破り、
美女の犯した罪だって、そのために自分が犯した罪だって
まるく収めて、警察のお役にもたっちゃいます。
マーロウのメイクドラマに落ち度はないようだ。

いつも思う事ですけど、ハンフリー・ボガードの格好良さって普通じゃない！
背は低くて、ずんぐりしてるし、オジサンなのにあのセクシーさは、ローレンバコールも夢中になるでしょうよ！
元祖クールビューティーのローレン・バコールのあの、人を見下した視線に、同姓の私でさえ魅入ってしまいます。