ハリーの災難

ヒッチコック監督の言葉だそうな。
数ある監督作品の中でも、かな〜〜りな異色作品でしょう。
８割方見ていますが、何故か、不思議に心の片隅に残る１本。
紅葉のあのカラーが、まるで絵の様なんですね。
全く平和そのもの。事件なんて無縁？何て感じる程の穏やかさ。そんな森の中で死体と遭遇した沢山の人々。
その反応の滑稽さ。
その微妙な笑いが、永延とラストまで繰り広げられていきます。
ちょっとクドイ？と感じなくもないのだけれど・・・
皆さん、書いてらっしゃる通り、シャーリー・マクレーンのデビュー作品。軽妙なのりが、さすが！と、５０年経った今も感じます。
１０数年前にBS録画したテープ、何故か消さずに保存。今回、見ながらDVDにダビングしましたが、やっぱり引き付けられた。
たまには、こんな軽めな作品も楽しいもんです。
いや〜しかし、ほんに、ハリーさん、お疲れ様！！

子供の頃にテレビで観たと思う。
美しい紅葉の風景の中に1人の男の死体があって、
その死体を巡って色々な人物が現れたり去ったり・・・
覚えているのはそれだけ。
結末がどうだったかなんて覚えていない。

それでも、ずっと記憶に残っていたのだから、
子供心にも惹きつけられる何かはあったのだろうか？
「ハリーの災難」をちゃんと確認してみたくなった。

一種のドタバタギャグとも言えるコメディ風スリラーだけど、
そこはヒッチコック。
その男を殺したのは誰か？
何が死因になったのか？
最後まで判らない。

死体を見た登場人物の反応が、
不謹慎なくらいに、まるで「モノ」扱い。
死体を埋めたり掘り返したり
埋葬を繰り返すのだ。

死体を描いたスケッチを見た保安官代理の反応が
まさにヒッチコック？という気配を漂わせたものの
本作に限っては、いつものヒッチコック路線を貫くことはなかった。
ハリーにはお気の毒さま。ということで・・・（笑）

本作でデビューというシャーリー・マクレーンが、
とてもキュートで魅力的だ。
「アパートの鍵貸します」の5年前ということで
なかなか初々しい。

ストーリー展開の主たる場となるハリーの死体のある場面は撮影中に紅葉が散ってしまってスタジオに落ち葉を持ち帰ってセットで撮影したというエピソードを見て何となく納得したのは、あの場面と他の場面が全く別の映画を観ているように違和感があったからです。ロケかセットかの違いだけでなく、バーモントの美しい田園風景やシャーリー・マクレーンの生き生きした表情と、死体をめぐる学芸会のようにお粗末なドタバタ喜劇が大変なミスマッチで、それをヒチコックの意外な「味」と評価するか、「失敗作」と断じるかは分かれるところでしょう。シャーリーのファンである私は勿論ストーリーはどうでもよく、やっぱり女優を美しく撮る監督は偉いと単純に評価しています。

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ドリフのコントみたいです。特に死体のある場所でのやりとりが。ヒッチコックに
こんな作品があるなんてかなり意外でした。シャーリー・マクレーン見たさの鑑
賞だったがちょっと得した気分。完全なるコメディではあるけど根底はブラック。
そう考えるとどの台詞もかなり洒落が効いている。

シャレたとぼけ味のサスペンス大好きです。もっとお気に入りなのはロケ地のバーモント州の秋景色なのです。紅葉の中天に伸びた尖塔のある白い教会のシーンから始まります。秋色に染まった小高い丘が豊かに連なります。船長の家が建つ湖畔の美しさにため息をもらしました。ヒッチコックもニューイングランドの秋を自作品に籠めたかったに違いありません。というわけでこんな映画の楽しみ方もあります。