誓い

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オーストラリアの人の耳には今でも「ガリポリ」の名は哀しみと同義に響くという。
私には、ガリポリという戦場が不条理と同義に響いた。

ＡＮＺＡＣ（アンザック、オーストラリア・ニュージーランド軍団）はイギリス国王への忠誠の名のもと
1915年、大戦に参加、同盟国側（独・墺）についたトルコ軍との戦いに投入される。
（このガリポリの戦いは当時、海軍相だったチャーチルが周囲の反対を押し切って決行、
　大損害を出し失敗に終わった為、引責辞任させられます）

オーストラリアという国は今なお英連邦の一員であるという意識が強いといわれますが
それは遠くオセアニアにあればこそ、という気がします。

当時、祖国（英国）の為にとの思いから義勇兵となった若者も多かったであろうに
イギリス本国人からの蔑視という現場での温度差も激しいところ。
（文句のつけようもない程、一つ一つの描写が美しい作品ですが
６割方あった戦場への道程を一部減らし、そこを掘り下げても良かったと思います。）

本作は豪州出身、ピーター・ウィアー監督の初期作品。
原風景たる豪州の大自然を映した前半とオーストラリア軍にとって原体験となったであろう戦場という後半のコントラスト。

英軍の捨て駒にオーストラリア兵が敵の砲火のなか一塊に放り込まれる終幕からラストのフリーズショット。
全てはあの一極に集中させる為だったと思わざるを得ない。
幕が下りてからの余韻が何とも言えない。前半部分がそこではじめて活きてくる。

クレジットの文字の色は鮮血にしか見えない。
アルビノーニのアダージョが最大の効果をあげる。

「マッドマックス」直後のメル・ギブソンが眩しいほど若い。
監督が「磨かれる前のダイヤモンド」と評したそうだが頷ける。

それほど意地を張る事もなかったが「パトリオット」で泣かなかった私が
この映画で観るたび心を打たれるのは命をも超えた人間愛。
（人間愛なんて何て陳腐な表現！だけど友情なんてもんじゃない）

＜人命を超えた偉大な任務＞という意識が備わっていなければ
あの極限状態で友を思い遣ることなど出来ないだろう。
とても真似の出来ない行為である。

太平洋にあるオーストラリアの青年が、イギリス女王の名の下に、トルコ戦線へと送り出される。何千人という人間が無駄に命を落としていくというのはもちろん悲しい話なのだけど、まったく関係のない国で死んでいくという滑稽さを強く感じる映画だった。戦争というよりは、国と人の関係について考えさせられた。歴史を知っていると、もっと面白く見ることができるだろう。

ハリウッドの派手な戦闘シーンを見慣れているせいか、爆音や銃撃戦が日々の生活に溶け込んでいるような描写は新鮮に感じた。面白いと思うかどうかは個人個人によるだろうが、見所は数多くあると思う。音楽が秀逸。

初めて観たのはもう２０年近く前になります。
第１次大戦当時の宗主国である英国と同盟国であるオーストラリアとの関係を背景にして、その時代に生きるオーストラリアの青年たちの国を思い友をいたわる純粋な感情が綴られます。

今では押しも押されもせぬ名優であり名監督でもあるメル・ギブソンの若き日の姿もいいです。

しかし何といってもあのラスト数分間の息苦しくなるほどの緊迫感、ラストシーンの無残さ、そして感動・・・

私のこれまで観た映画の中で、最も深い感動を与えてくれたうちの１本です。
お勧めというより、まさに『観るべき作品』です。

メンフィスベルを少し重くしたかんじかな。いい作品だと思うけど２人の友情に素直に感情移入できなかったな。７０点。

第６８回アカデミー賞５部門を受賞し、監督としての評価も高いＭ・ギブソンのオーストラリア時代の出演作。
動作の所々に、現在の彼のクセのようなものが見られて懐かしい。ラストに近く懸命に走る彼と、死の突撃を開始する親友とのシーンは感動ものである。