ダーククリスタル

森の造形が，生きものが美しい。
様々な植物や小動物の命の、臓器の重さが感じられて、
そこに生息している自然なリアルさがあります。
ひとつひとつの名前を知りたくなるほど、魅了的な命達です。

人形と分かっていても、動かしている糸や人が見えたとしても
その命を感じる事ができるのが、人間の想像力の素晴らしさと思います。
使わなければ干からびていく想像力。
それを目いっぱい刺激してくれる本作の、キャラクター達。
ストーリーは単純明快。
争いが絶えないのは、割れたまま分裂したままだから。
繋ぎ合わせるためのかけらを持って、探し飛び回っているかもしれない彼らを空想すると、
見つけてあげなければいけない、あきらめたらだめだと
淡い期待と希望を持たせてくれるファンタジー映画の名作です。


「もちろんよ。----あなたは男だもの。」

単純明快なファンタジーで、大人も楽しめるが子供にも理解出来る筋なので、親子で観れば楽しめる作品だろう。

やはり、昔のファンタジーものの造形にはすばらしいものがある
この作品は特に突出しており、追求したが為に５年という歳月を費やしたそうだ
特典を観ると、こだわりや苦労がすごく伝わってくる
空間の表現もすばらしく、細かいところまで芸が細かく関心させられる
キャラクターも皆愛嬌があり、悪役のスケクシス族もどこか憎めないのがいい
マペットやかぶり物なのに表情豊かですばらしく、まさに命を吹き込むという表現がピッタリである。

そこに心血を注ぎ過ぎた訳ではないだろうが、ストーリーにはちょこちょこ粗が目立つが、分かりやすくし物語の世界に浸かってほしかったのだろう
そのおかげで、ジェンとキーラが手を取り合って冒険する様は、健気で微笑ましい限りで、まるで生身の様にも感じられるから不思議だ。

是非この作品は小さな子供さんに観せてあげてください
二人の相手を思いやる姿は、幼い心にも響くこと間違いなしです。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

割と好きな作品です。
ＢＤの「再現力」によって人形本来の「持ち味」が増強されています。
内容的には某国営放送の長編人形劇の延長線に過ぎない気もしますが独自にデザインされたキャラの「立ち方」は素晴らしく、その「個性」は現在に至っても他の追随を許さないでしょう。
各々キャラの操演者はキャラの個性を出す為に特定の人間が行う事になっており、主人公のジェンはジムヘンソン本人が(俯瞰撮影に使う子供は違いますが)演じている様です。
この辺りがCG怪物にはない「妙な」暖かさと人の存在を感じる部分なのでしょう。
テーマは「人が喰う為に行うエゴからの解脱」と言ったところなのでしょうか？。
ストーリーは単純明快でジェンの体型と運動能力を考慮すれば旅の行程は「市内観光」程度の距離でしょう。
「初めてのおつかい」に登場する程度の「距離感」の舞台が、世の全ての命の起源に触発する大事件に広がる気は「全く」感じる事は出来ません。
この辺りが比較的限られた空間でしか演出が出来ない「人形劇」の限界なのかも知れませんね。
ガーシムやランドストライダーなど人間を「動力」として用いた秀逸なデザインのクリーチャーも登場します。
このデザインラインは日本のアニメクリエイターにも多大な影響を及ぼし、独特な「有機質」の再現は今見ても新鮮です。
アバターの「動物君」達の表現は確かに科学的裏付けも考察出来る緻密さでしたが、ヘンソンの「手作り幻獣」の存在感は圧倒的です。
細かい部分にマペットと操演物の配した独自の「嘘」リアリティーは「味」が有ります。
「演算」がファンタジーを構築する為の必須条件ではない事を明確に示すエポック的な作品だと思います。
心を子供の頃の「隣町までは大遠征」と言う感覚まで巻き戻すと作品の近接感を強く感じる事が出来るかも知れませんね。

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

セサミストリートで御馴染みのマペットの大家「ジムヘンソン」が制作したファンタジー。
公開当時全く流行らなかったが「御家芸」とも言えるマペットを多様した特異なキャラを生き生きと動かし、生き物が常に求め続ける「己の半身」を光と闇、静寂と混沌とに分け、完璧なモノになろうとする「限り有る命のあがき」を描き綴っている。
主人公のゲルフィン族のジェンとキーラのキャラは俯瞰で動く時のみ人間、アップになるとマペットと言う通常のSFXとは逆の構成で異界の住人らしさを全面に押し出すと言う徹底ぶり。
他にも日本のアニメに大きく影響を与えた甲殻生物「ガーシム」や人間を「動力」として上手く取り入れた「ランドストライダー」等、現在では見ても遜色の無いユニーク且つ存在感の大きなキャラクターが数多く登場する。
ストーリーは割と一本調子だが皮肉屋の古き魔女「オーグラ」の登場やスケクシー族の侍従長の暗躍など紆余曲折は有って画面からは目が離せない展開も有る。
現在のCGには無い「ローテク」だからこそ表現出来る圧倒的なマペットの魅力が理解出来る人には「それなり」に楽しめると思う。

暗黒に支配されそうな世界を，
ゲルフリン族の生き残りが救う冒険ファンタジー。

試練をくぐり抜け，成長してゆくRPGの原点のようなストーリー。

ジム・ヘンソンの手で息吹を与えられたマペット達が魅力たっぷり！

操っている苦労を微塵も感じさせない動きが見事。
生きてます。　画面の中でたしかに息づいています。

善の，ゲルフリン族，ミスティックス族，
悪の，スケクシス族などの対照が印象的。

ミスティックスの，命の歩みを通して，
ひとつの心から生まれる善悪について考えさせられる。

全編を支配する，もの悲しく重苦しい空気が，
最後に光へと変化してゆく展開が感動的！