乱

時代劇は子供の頃から好きでしたが年をとるにつけますます好きになっていました。この作品も学生の頃の映画です。テレビでちょこっとだけ見たことがあっていつかはじっくりにてみたい作品だなぁ？と思っていました。この作品も影武者同様どの映像からくる迫力、そして色の美しさには驚嘆してしまいます。今ならＣＧで出来てしまうようなシーンもきっちり作られており驚いてしまいます。内容はイントロダクションの通りなのですが、人間は人の本質を見抜けないものなのであろうか？という疑問がわきました。この一文字秀虎も家督さえ譲らねば、また人の本質を見抜くことが出来ていたならば一族郎党滅亡することはさけられたのではないだろうか？一文字秀虎を演じる仲代さんの演技はちょっと恐ろしい物を感じました。彼の演技なくしてはこの映画は成り立たないような気がしました。じっくり時代劇を見たい方にお勧めです。炎上する城の中から出てくる仲代演じる一文字秀虎は意見の価値有りです。

「赤ひげ」以降の黒澤はがっかりさせられるばかりである
今度こそ　今度こそ　と思いつつ　今度と化け物は出た
こと無いの例えどうり出るのは溜息ばかり
黒澤ブランドはまだ人を集める力はある　しかし組織の
弱体化とは無能な人間を集めるということでもあるが
有能な人間を排除してゆく過程でもある　

その際たる物が元フォークシンガーで親の資産を食い潰す
だけの息子の存在　後は黒澤組の老齢化　録音のプロ
矢野口文雄はこの映画の最中になくなっている　黒澤映画の
魅力は雑音の魅力でもあった　
黒澤明はますます天皇になっていく　

俳優もいまどきの俳優を集めているがまとまりが無く　
脇役も魅力が無い
「七人の侍」でタダの通行人に仲代達也　宇津井健　宮口精二
の決闘シーンの見物人に児玉清など綺羅星のごとくもっとも
彼らは当時無名の新劇俳優なのだが

秀虎に最後まで従うのはピーターだけという惨憺たる事態が
現実の黒澤にダブルのは私だけだろうか

言ってしまえば、親として自業自得な話ですよね。
思わず、我が身を振り返ってしまいました。

凄いと思ったのは、
この長さで無駄と感じるシーンがないことと、
シェイクスピア風味を、ここまで時代劇で表現できるのか
ということです。
感動しました。

どこから観ても圧巻と思える作品でした。

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「乱」はそれほど悪くない、少なくともオープニングからしばらくの間はそう思いながら観ていた。が、そんな状態を保てたのは例によって例の如く半分程度までで、「蜘蛛の巣城」を彷彿させるような粗っぽくて粗雑でマンガチックな攻城戦、戦闘シーンを観て前言をあっさりと翻してしまった。まあ、それでも「影武者」の醜悪さと較べればまだましだと言えるかもしれない。
また、この作品も長い、長すぎる(上映時間は3時間近く)。どう考えても半分程度に縮めることができる作品だ。原作が「リア王」だから短くするのは無理だと恐らく黒澤明自身は反論するだろうが、原作が「リア王」であるかどうかは全く関係なく、つまり原作の持つ重みと全く関係のない無駄な部分、冗長な部分、弛緩した部分を削るだけでも半分程度になると思う。

1985年黒澤明監督作品。

「リア王」と毛利元就の「三子教訓状」を原案としている。
極悪非道な戦国の猛将・一文字秀虎(仲代達矢）が、70歳になり三人の息子に、
家督を譲り隠居をしようと目論むものの、長男・次男に裏切られて、精神に異常をきたし、
寝巻きで荒野を彷徨う様は、非常に痛ましい。
因果応報と言うか、悪行の報いは、秀虎に安穏な余生など許さないのだった。
当時製作費26億円の大作で、アカデミー賞の監督賞など4部門ノミネート。
武満徹の作曲した曲を演奏したのは無名の地方オーケストラだった、札幌交響楽団。
黒澤明も実力を目にして「良かった」と深々とお辞儀をしたとのことです。
(嬉しい逸話です）