チャンプ（ジョン・ヴォイト）

公開されたときから何度も観た。だから最初に観てから30年、何度も観ている事になる。

年月を経て観るうちに、それまで分かっていなかった部分が分かってくるようになる。
父子の愛情物語だと思っている人がたくさんいるようだけど、そうじゃない。
天才子役の演技が素晴らしくて泣ける映画だと思っている人がいるけど、そうじゃない。

この映画のテーマは「愛」なのだ。
フェイ・ダナウェイが自分がママだと言えず、TJを抱きしめたいんだけど出来ない。
忘れられないシーンだ。母親の愛ゆえの苦しみがよく表現されている。
ここの1分33秒目。
http://www.youtube.com/watch?v=-WkoUP-cJcc&amp

フェイ・ダナウェイとジョン・ヴォイトが元夫婦に見えない？
当たり前だ。人間はパートナーによってこんなに変わるんだという意味だ。

ボクシングシーンがゆるい？
ボクシングなんかどうだっていいんだ。これは「戦う男」のメタファーなんだ。別にプロレスだって卓球だって何だって良いんだ。ゼッフィレリはボクシング映画なんか撮らない。

チャンプがTJをママと暮らすように仕向けるシーン。
http://www.youtube.com/watch?v=Z5kZl9MMjE0

何回観ても涙が溢れる。子役が上手いからか？違う。子役が上手いだけでは30年は観れない。
この二人の喋っているセリフが、人を泣かせるのだ。チャンプはもちろんTJを愛しているからウソをついている。愛するが故の嘘。人類の歴史に何度登場するだろう。サティーンがクリスチャンについた嘘。ヴィオレッタがアルフレードについた嘘。みんな愛するが故の嘘なんだ。こんなに美しくて悲しいものが世の中に他にあるだろうか！それは永遠の真実だ。だから泣けるのだ。

チャンプは今まではTJの愛称だった「Pain in the ass」をこの場面で正反対の意味に使う。TJに「行かなきゃならない理由」を問われ、うまいウソを考えられなくなって「おまえはPain in the assだからだ！」と叫ぶ。
TJは気に入ってもらおうと「僕、もうご飯を余計に食べたりしないよ、僕、、」と懇願する。ここで泣けない奴は人間ではない。

30年の鑑賞に堪える映画はそうたくさんは無い。
色んなセリフが気に入ったが、いま一番この映画で好きなセリフはこれだ。
TJ「チャンプ、あの女の人、好きだったの？」
C 「誰？」
TJ「アニー・・・」
C 「もちろんさ、だからお前ができたんだ」

壊れた愛、苦い思い出の愛、本当に愛し合っていた頃をもう思い出せないかもしれない愛。だけれど、この子を授かったときは真実の愛だったはずだ。そのことを胸を張ってこの子には伝えてやりたい、という父親の気持ち。

よくできた映画だ。私はこの映画の事は100%理解している。特典映像など観なくてもすべてを分かっている。

安っぽいお涙頂戴映画じゃない。私の生涯好きな映画に入っている。

先日ＢＳでやっていたので、懐かしくてみてしまいましたが、今みるとかなりお涙ちょうだいですね。若い頃にみたときには、号泣した記憶があるのですが。
フェイ・ダナウェイの衣装がものすごく古臭くて、しかも太ってみえる。ジョン・ボイドともあまり釣り合ってないし。
子役のリッキー・シュローダーのかわいさだけでひっぱられる映画って感じです。そりゃ、あんな目をして見つめられたら、泣いてしまいますよ。

私は昔の映画館で観ました。
まだ子供だったので、リッキーの愛らしさにすっかり魅せられて
恋をしてしまったものです。

映画が終わった後に、映画館の壁に貼ってある
名シーンの写真を見ていると映画館のチケット売り場の男性が
「あげるよ」と目の前で写真を取って手渡してくれました。

シネマコンプレックスでは考えられない事です。

その後、リッキーが来日して、新聞の夕刊に
インタビュー記事と一緒に、メダルを持った
これまたかわいい写真が掲載されていました。

両親が「新聞社に電話すれば送ってもらえるよ」
と教えてくれたので、早速電話して料金を支払うと
すぐに写真が送られて来ました。

作品とはそれましたが、「チャンプ」の鑑賞によって
子供心にも、人の優しさをたくさん受けた喜びが
思い出されます。

この「チャンプ」という作品ですが
私に言える事は「どうぞ観て下さい」
それだけです。

歳を重ねて、観る度に涙があふれるシーンが多くなって
困るほどです。「she's a lady」との出会のシーンでも
リッキーの愛くるしさに、ぽろぽろ涙が出てしまいます。

実はサントラ盤LPとVHSを持っているのですが
いぬこさんのレビューを読んで
リッキーとジョンの解説がある事を知ってレンタルしました。

ご指摘の通り、大変興味深い内容となっています。
全編をとおして２人が語り合っており
リッキーが何度も泣いていました。
この解説を観れば、すべてが分かります。

俳優陣も音楽も監督も脚本も、何もかもがすべて満点です。
もっとTVでも放映して欲しいですね。
時代を超えて永遠に愛されるべき作品です。

そして、リッキーが「天才子役」というプレッシャーを乗り越え
現在も優れた演技を魅せてくれる事が本当に嬉しいです。

妻に逃げられ飲んだくれている元チャンピオンが
再生していくストーリー・・・ということなんでしょうが
そこには、あんまり感動はなかったです。

結局、私が涙を流すことになったのも
リッキー・シュローダー演じるT・Jのラストシーンだけ。

リッキー・シュローダーは本当に可愛いですね。
ルックス的にもキレイなブロンドに女の子でも通用しそうな
つぶらな瞳のキュートな顔。
役柄的にも、健気で素直で・・・

ラストは他に選択肢はなかったのかな？
安易なお涙頂戴的な流れになってしまった気がして
惜しいなぁ、と思います。

どうぞ泣いてくださいという映画です。結構そういう映画は、泣かないのだが、我慢できなかった。この時のリッキー・シュローダー以上の子役は、後にも先にもいないだろう。明石家さんまもお勧めの映画。