細雪 / 佐久間良子
全体の平均評価点: (5点満点)
(29)
解説・ストーリー
谷崎潤一郎の同名小説を名匠・市川崑監督が映画化したドラマ。ある旧家の4姉妹それぞれの一年間の物語を、三女の縁談話を中心に、四季折々の風物を織り交ぜて描く。昭和13年の春。京都嵯峨の料亭。旧家・蒔岡の4姉妹が花見の宴で一同に会する。長女・鶴子と次女・幸子はいまだ未婚の三女・雪子と末娘・妙子の結婚を気にかける毎日。おとなしい雪子は親類の勧めで次々と見合いをするが本人の気が進まず一向にまとまらない。一方、奔放な妙子も恋人が急逝し酒浸りになる……。
谷崎潤一郎の同名小説を名匠・市川崑監督が映画化したドラマ。ある旧家の4姉妹それぞれの一年間の物語を、三女の縁談話を中心に、四季折々の風物を織り交ぜて描く。昭和13年の春。京都嵯峨の料亭。旧家・蒔岡の4姉妹が花見の宴で一同に会する。長女・鶴子と次女・幸子はいまだ未婚の三女・雪子と末娘・妙子の結婚を気にかける毎日。おとなしい雪子は親類の勧めで次々と見合いをするが本人の気が進まず一向にまとまらない。一方、奔放な妙子も恋人が急逝し酒浸りになる……。
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「細雪」 の解説・あらすじ・ストーリー
解説・ストーリー
谷崎潤一郎の同名小説を名匠・市川崑監督が映画化したドラマ。ある旧家の4姉妹それぞれの一年間の物語を、三女の縁談話を中心に、四季折々の風物を織り交ぜて描く。昭和13年の春。京都嵯峨の料亭。旧家・蒔岡の4姉妹が花見の宴で一同に会する。長女・鶴子と次女・幸子はいまだ未婚の三女・雪子と末娘・妙子の結婚を気にかける毎日。おとなしい雪子は親類の勧めで次々と見合いをするが本人の気が進まず一向にまとまらない。一方、奔放な妙子も恋人が急逝し酒浸りになる……。
「細雪」 の作品情報
「細雪」 のキャスト・出演者/監督・スタッフ
細雪の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
140分 |
|
1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
|
レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TDV3207R |
2004年10月08日
|
在庫枚数 |
1位登録者: |
2位登録者: |
5枚
|
0人
|
1人
|
細雪の詳細
収録時間: |
字幕: |
音声: |
140分 |
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1:ドルビーデジタル/モノラル/日本語
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レイティング: |
記番: |
レンタル開始日: |
|
TDV3207R |
2004年10月08日
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在庫枚数 |
1位登録者: |
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5枚
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|
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ユーザーレビュー:29件
〜『化粧』させて撮り、『素肌』を映し出す〜 市川崑の卓越した手法
美しい の、ひとことにつきます
艶-あで-やか、華-はな-やぎ、雅-みやび- …。溜息が、見終わってからも、しばらくは、漏れるほど。
傑作と言っていい。間違いなく、市川崑という映画監督を代表する作品だろう。
「ビルマの竪琴」('56) 〜 「東京オリンピック」('65) 〜 「犬神家の一族」('76)と、実はここで、私の市川崑体験は止まっていた。興味を失ったのだ。
その他にも、また、その後の作品も、幾つか観てはいる。だが、とらえ所がなかった。
「太平洋ひとりぼっち」('63)、「トッポジージョ」('67)、「股旅」('73)等、社会派ドラマからキッズアニメ、刃傷もの('72のTVシリーズ「木枯らし紋次郎」もある)まで並ぶし、「古都」('80)や、「竹取物語」('87)などはもろにファンに媚びたアイドル路線だし、'85にリメイクされたビルマの竪琴などは、同じ監督がほとんど変わらない脚本でわざわざもう一度撮り直す意味が、私にはまったく理解できず、不可解としか言い得なかった。
ジャンルと言うよりは、作品世界の詰めの甘さと言うか、雑多さ、猥雑さと言うべきか。何か腑に落ちない、どこかに誤魔化しがある、そういう感じなのだ。例えて言えば、宮殿の美しさにほだされてふらふらと迷い込んでみると、通路には縁日のテキ屋が並び、行き着いた先はなんとラブホテルだった、と、そんなイメージ。最後には何か“だまされた”と感じるものが、いつもあった。
「鍵」('59)があまり好きでなかったせいもあり、同じ谷崎潤一郎作品の「細雪」はもう観る気が起きなかった。今回、亡くなったということで、まさに追悼の意味、これが最後というつもりで触れたのだった。
だが、観てみるものである。今回は驚いた。他の作品と明らかに違う。初めて市川崑をいいと思った。
ほんの少しだが理解できたと感じたのは、市川崑という人は、おそらく、「覆い隠し、化粧ずる人」だということ。女性のメイクアップが、地肌を塗り込めた上に彩色されながら、しかしそれは隠蔽ではなく、むしろ女性本来の美しさを引き出しているように、市川崑監督は、むしろ本質を引き出すために塗り籠め、装飾していたのではないか?と、そのように思われてきたのだ。
そう思って振り返れば、それは、確かに彼の全ての作品に通底する特質のように、今は感じられる。
「細雪」という文芸作品は、そのような市川監督に格好の素材を提供したのかも知れない。
春雨に煙る京都のさくら。画面いっぱいの花の風景から叙情豊かに描き出され、最後はタイトル通り「細雪」で締めくくられる。様々様々、色々色々、いやらしさも、えげつなさも、悲しみも、にくしみも、あらゆる人間的な醜さを花が覆い、降り積もった雪が隠す。見えるのは京都の町の美しいたたずまい。
美人四姉妹のむせ返るような人間臭さも、伝統西陣の和服と、優雅な物腰、柔らかな京都弁(大阪弁?)に覆われて、艶やかさばかりが印象に残る。
こんな典雅な世界のずっと向こう、−そこは、監督の意図どおり、決して網膜に映らない−対極の人間世界では、大東亜戦争(第二次世界大戦)が、いましも始まろうとしていたのだ!。
なんという見事なコントラスト。まさに白眉。あっぱれである。
谷崎文学の芸術性が、市川崑の監督力を昇華させたと言っては失礼かも知れないが、少なくとも、市川崑という映画監督は、「細雪」という文芸の作品世界を下敷きにすることによって初めて、このような、素晴らしくも特異な自己の感性の形象化を実現し得たのだと、私には思える。
“見散らかす”のはもったいないです。画面の前に落ち着いて、ゆっくり“匂いに浸る”ことをお勧めします。
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★★★★ 女優を魅せる映画だが、真の主役は大阪弁
投稿日:2007/06/17
レビュアー:ガラリーナ
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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4人の女優陣をこれでもか、と美しく見せるカットのオンパレード。着物を脱いだときの襟足、はだけた着物から覗く足首など、着物での立ち居振る舞いから日本女性の艶めかしさが匂い立つような映像が続く。そして、はっとしたり、振り返ったり、泣いたり、笑ったりする女優たちの顔、顔、顔…。どれもこれもが美しい。
四姉妹の中で特に印象深いのは、つかみどころのない三女・雪子を演じる吉永小百合。姉の言うことなら何でも聞く大人しそうに見える女性だが、次から次へと湧いてくる見合い話にも一向に首を縦に振らない頑固さがある。また、おしとやかで潔癖に見えるのに、義理の兄の前で着物をはだけたりして無防備な一面もある、実にミステリアスな存在。清純そうな彼女が時折見せる微笑がやけにセクシーなのだ。
しかし、この映画の真の主役は四姉妹が話す「大阪弁」ではないかと思ってしまう。大阪弁と言えば、今ではお笑いブームもあって「えげつない関西弁」というイメージが強いが、この船場の四姉妹が話す大阪弁の何と艶やかなこと。そのおっとりした語り口は京都弁を想起させるが、船場のええとこのお嬢さんが話すと大阪弁でもこんなにはんなりするものなのかと驚く。
この大阪弁のニュアンスを楽しめるかどうかは、この映画の大きなポイントだと思う。雪子の結婚がようやくまとまりそうな予感を見せる「あの人ねばらはったなあ」「ん、ねばらはった」と言うおねえちゃんとなかんちゃんのラストの会話。「ねばった」という事実には、なかなか見合いを決めなかったことへの非難が込められているが「〜しはった」という敬語がそれを和らげている。そして、「〜しはったなあ」と感心していることで、ねばって意中の男を射止めたことを称えてもいるのだ。雪子の見合いに翻弄されてきたふたりの姉妹の悲喜こもごもが込められた、いかにも関西弁らしい会話だと思う。
このように、「含み」を持たせた大阪弁がこの作品の中にはふんだんに盛り込まれていて、本家や分家という立場の違いで本音が言えない部分だとか、夫への文句を言いたいがストレートに言えない部分などで実に効果的に使われている。そして、その「含み」のあるのんびりした大阪弁が四姉妹そのものをも魅力的に見せている。生粋の大阪人である私も、あのような大阪弁をしゃべれば、「ちょっとは、おんならしい、見えるのんとちがうやろか」と思った次第です
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16人の会員が気に入ったと投稿しています
うつくしいもの
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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4姉妹がひたすら美しい。
谷崎作品の美しさを寸分と失わず、しかも女優たちの豪華さ。
今の若い女優さんでこの4人ほどの迫力を持つ女優さんがいない気がする。
阪急沿線に住んでいたわたしとしては、
うふふと思う風景がたくさんありました。
京都、芦屋、箕面の滝、道頓堀など。
こいさんやきあんちゃんとかなかんちゃんとか上方言葉もいいものです。
響きがとてもステキなので、今は使われていないのが、残念です。
このレビューは気に入りましたか?
11人の会員が気に入ったと投稿しています
環境映像として楽しむ
髪を七三に分けた名探偵・金田一耕助がいて、シリーズの中の犯人が二人もいるこの映画。
日本家屋の部屋の光と影をおりなす照明が金田一シリーズを彷彿とさせます。
女優さん達の競演が華やかで楽しいです。
長女役の岸惠子さん、最初この役には山本富士子さんをキャスティングされていたと聞きましたが、どう見ても船場で育ったとうさんには見えない。栗毛色の髪と着物の粋な着付け方、襟の開け方がちょっと気になる。
次女役の佐久間良子さん、四人のなかで所作が一番女らしく美しい。
三女役の吉永小百合さん、声のトーンを抑え気味で言葉少ない役柄。冷静に物事を見据え自己を全うする芯の強さを見せる。何を考えているか分からない恐ろしささえ感じ、決してお近づきになりたくないタイプの女性。
四女の古手川祐子は、どうでもよいです。
彼女たちの身に着けている数え切れないほどの衣装は本当に目の保養になります。特に三女の為に父親が作らせたという婚礼の衣裳には目を奪われました。
出演者達の立ち居振る舞いも含めてこの美しい風景映画は、環境映像として流していてもいいかなとも思えました。
舞い散る白い粉雪がいつしかピンクの桜の花びらに変わり、満開の桜の下を、美しい着物で満面に笑顔を湛え姉妹達がスローモーションで歩くラストシーンは本当に美しく、感動ものでした。
「船場の吉兆でご飯食べよ」と、トレンドの言葉にはビックリ。
懐かしい上原ゆかりが見られました。
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10人の会員が気に入ったと投稿しています
美の競演
監督:市川崑(1983年・140分)
原作:谷崎潤一郎『細雪』
四季折々の自然、蒔岡家の四姉妹、船場言葉の嫋やか(たおやか)な美しさに、
目も耳も心も奪われました。(笑)
昭和13年、かつては大阪の船場で古い暖簾を誇っていた旧家の蒔岡家でしたが、
父亡き後は、没落の翳りが見えています。
しかし、「蒔岡家の娘」であることがブランドであるかのごとく、
美しい四姉妹は、それをアイデンティティーとして誇りに思っているようです。
四姉妹を演じる女優陣は、まさしく“美の競演”でした。
長女・鶴子を演じるのは岸恵子さん。着物の襟元をゆったりと着ていました。
夫・辰雄(婿養子・銀行員)を演じるのは、懐かしい伊丹十三さん。あんなに大柄な人だったのですね。
次女・幸子役に佐久間良子さん。長女とは真逆に襟元をきちんと合わせた着こなしでした。(艶やかで貫禄ありました。)
幸子の夫・貞之助(婿養子・百貨店勤務)は、石坂浩二さん。
家族に揉め事があると、いつも穏やかに取りなします。
三女・雪子役は吉永小百合さん。小説では、この三女が一番の美人の設定らしいです。
四女・妙子を演じるのは、古手川祐子さん。
跳ねっ返りの現代っ子です。
姉妹と言えども、本家と分家の立場の微妙さがありました。
独身の雪子と妙子は、本来なら嫁ぐまでは本家で暮らすのが普通の様ですが、
訳あって二人は分家の幸子の元で暮らし、生活費、お小遣いは本家から出ていました。
物語のほとんどは、三女・雪子の縁談、お見合いの様子が綴られていました。
姉たちは、二人の妹を嫁がせて肩の荷を下ろしたいのですが、
雪子がまず嫁がないことには、妙子が結婚できないようです。
演じているのが吉永小百合さんなので、それほど艶めかしくはないのですが、
多分、設定的には“魔性”を持ち合わせた女性なのでしょう。
肌蹴た着物の裾を直しながら、幸子の夫の貞之助に送った視線には、(少しだけ)ドキリとしました。
この雪子は、電話にも出られないほど内気なのに、そのくせ妙に意固地で捉えどころがありません。
やっと雪子の結婚が決まり、亡き父が用意したという婚礼衣装の数々が、出番を待っていたかのように披露されます。
その美しく豪華なこと。溜息が出ました。
着物や帯が披露されるシーンは他にもあり、羽織の裏地の模様が蒔岡家の家紋だったのは流石でした。
終盤、鶴子と幸子の姉ふたりの、
「雪子ちゃん、粘りはったなあ」「うん、粘りはったなあ」という会話に
雪子の本性というのか、打算と言うのか、狙いが見えた気がしました。
家族中が雪子に振り回されている陰で、末娘の妙子は、誰にも頼らず自分の道を歩み出していました。
物語冒頭は、桜吹雪が舞う中に浮かび上がる四姉妹の華やかな笑顔と、艶やかな和服姿でした。
それから一年後、細雪がチラつく駅のホーム。
東京へと旅立つ長女夫婦を見送る中に妙子の姿はなく、
今年の“姉妹花見”は無理だろうと言う鶴子の言葉が、寂しく聞こえました。
戦争の足音が聞こえて来そうな時分の、「蒔岡家最後の平安の一日」という気がしました。
船場言葉と絢爛たる衣装や帯、品よく美しい四人の姉妹たち。
この先、本作ほど美しい四人を揃えることは難しいのではないでしょうか?
春の桜、夏、岩に打ち付ける滝の流れ、秋の紅葉、冬の細雪。
市川監督こだわりの映像美を堪能しました。
このレビューは気に入りましたか?
8人の会員が気に入ったと投稿しています
ユーザーレビュー
〜『化粧』させて撮り、『素肌』を映し出す〜 市川崑の卓越した手法
投稿日
2008/03/11
レビュアー
モリカ
美しい の、ひとことにつきます
艶-あで-やか、華-はな-やぎ、雅-みやび- …。溜息が、見終わってからも、しばらくは、漏れるほど。
傑作と言っていい。間違いなく、市川崑という映画監督を代表する作品だろう。
「ビルマの竪琴」('56) 〜 「東京オリンピック」('65) 〜 「犬神家の一族」('76)と、実はここで、私の市川崑体験は止まっていた。興味を失ったのだ。
その他にも、また、その後の作品も、幾つか観てはいる。だが、とらえ所がなかった。
「太平洋ひとりぼっち」('63)、「トッポジージョ」('67)、「股旅」('73)等、社会派ドラマからキッズアニメ、刃傷もの('72のTVシリーズ「木枯らし紋次郎」もある)まで並ぶし、「古都」('80)や、「竹取物語」('87)などはもろにファンに媚びたアイドル路線だし、'85にリメイクされたビルマの竪琴などは、同じ監督がほとんど変わらない脚本でわざわざもう一度撮り直す意味が、私にはまったく理解できず、不可解としか言い得なかった。
ジャンルと言うよりは、作品世界の詰めの甘さと言うか、雑多さ、猥雑さと言うべきか。何か腑に落ちない、どこかに誤魔化しがある、そういう感じなのだ。例えて言えば、宮殿の美しさにほだされてふらふらと迷い込んでみると、通路には縁日のテキ屋が並び、行き着いた先はなんとラブホテルだった、と、そんなイメージ。最後には何か“だまされた”と感じるものが、いつもあった。
「鍵」('59)があまり好きでなかったせいもあり、同じ谷崎潤一郎作品の「細雪」はもう観る気が起きなかった。今回、亡くなったということで、まさに追悼の意味、これが最後というつもりで触れたのだった。
だが、観てみるものである。今回は驚いた。他の作品と明らかに違う。初めて市川崑をいいと思った。
ほんの少しだが理解できたと感じたのは、市川崑という人は、おそらく、「覆い隠し、化粧ずる人」だということ。女性のメイクアップが、地肌を塗り込めた上に彩色されながら、しかしそれは隠蔽ではなく、むしろ女性本来の美しさを引き出しているように、市川崑監督は、むしろ本質を引き出すために塗り籠め、装飾していたのではないか?と、そのように思われてきたのだ。
そう思って振り返れば、それは、確かに彼の全ての作品に通底する特質のように、今は感じられる。
「細雪」という文芸作品は、そのような市川監督に格好の素材を提供したのかも知れない。
春雨に煙る京都のさくら。画面いっぱいの花の風景から叙情豊かに描き出され、最後はタイトル通り「細雪」で締めくくられる。様々様々、色々色々、いやらしさも、えげつなさも、悲しみも、にくしみも、あらゆる人間的な醜さを花が覆い、降り積もった雪が隠す。見えるのは京都の町の美しいたたずまい。
美人四姉妹のむせ返るような人間臭さも、伝統西陣の和服と、優雅な物腰、柔らかな京都弁(大阪弁?)に覆われて、艶やかさばかりが印象に残る。
こんな典雅な世界のずっと向こう、−そこは、監督の意図どおり、決して網膜に映らない−対極の人間世界では、大東亜戦争(第二次世界大戦)が、いましも始まろうとしていたのだ!。
なんという見事なコントラスト。まさに白眉。あっぱれである。
谷崎文学の芸術性が、市川崑の監督力を昇華させたと言っては失礼かも知れないが、少なくとも、市川崑という映画監督は、「細雪」という文芸の作品世界を下敷きにすることによって初めて、このような、素晴らしくも特異な自己の感性の形象化を実現し得たのだと、私には思える。
“見散らかす”のはもったいないです。画面の前に落ち着いて、ゆっくり“匂いに浸る”ことをお勧めします。
★★★★ 女優を魅せる映画だが、真の主役は大阪弁
投稿日
2007/06/17
レビュアー
ガラリーナ
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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4人の女優陣をこれでもか、と美しく見せるカットのオンパレード。着物を脱いだときの襟足、はだけた着物から覗く足首など、着物での立ち居振る舞いから日本女性の艶めかしさが匂い立つような映像が続く。そして、はっとしたり、振り返ったり、泣いたり、笑ったりする女優たちの顔、顔、顔…。どれもこれもが美しい。
四姉妹の中で特に印象深いのは、つかみどころのない三女・雪子を演じる吉永小百合。姉の言うことなら何でも聞く大人しそうに見える女性だが、次から次へと湧いてくる見合い話にも一向に首を縦に振らない頑固さがある。また、おしとやかで潔癖に見えるのに、義理の兄の前で着物をはだけたりして無防備な一面もある、実にミステリアスな存在。清純そうな彼女が時折見せる微笑がやけにセクシーなのだ。
しかし、この映画の真の主役は四姉妹が話す「大阪弁」ではないかと思ってしまう。大阪弁と言えば、今ではお笑いブームもあって「えげつない関西弁」というイメージが強いが、この船場の四姉妹が話す大阪弁の何と艶やかなこと。そのおっとりした語り口は京都弁を想起させるが、船場のええとこのお嬢さんが話すと大阪弁でもこんなにはんなりするものなのかと驚く。
この大阪弁のニュアンスを楽しめるかどうかは、この映画の大きなポイントだと思う。雪子の結婚がようやくまとまりそうな予感を見せる「あの人ねばらはったなあ」「ん、ねばらはった」と言うおねえちゃんとなかんちゃんのラストの会話。「ねばった」という事実には、なかなか見合いを決めなかったことへの非難が込められているが「〜しはった」という敬語がそれを和らげている。そして、「〜しはったなあ」と感心していることで、ねばって意中の男を射止めたことを称えてもいるのだ。雪子の見合いに翻弄されてきたふたりの姉妹の悲喜こもごもが込められた、いかにも関西弁らしい会話だと思う。
このように、「含み」を持たせた大阪弁がこの作品の中にはふんだんに盛り込まれていて、本家や分家という立場の違いで本音が言えない部分だとか、夫への文句を言いたいがストレートに言えない部分などで実に効果的に使われている。そして、その「含み」のあるのんびりした大阪弁が四姉妹そのものをも魅力的に見せている。生粋の大阪人である私も、あのような大阪弁をしゃべれば、「ちょっとは、おんならしい、見えるのんとちがうやろか」と思った次第です
うつくしいもの
投稿日
2009/02/04
レビュアー
ykk1976
※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。
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4姉妹がひたすら美しい。
谷崎作品の美しさを寸分と失わず、しかも女優たちの豪華さ。
今の若い女優さんでこの4人ほどの迫力を持つ女優さんがいない気がする。
阪急沿線に住んでいたわたしとしては、
うふふと思う風景がたくさんありました。
京都、芦屋、箕面の滝、道頓堀など。
こいさんやきあんちゃんとかなかんちゃんとか上方言葉もいいものです。
響きがとてもステキなので、今は使われていないのが、残念です。
環境映像として楽しむ
投稿日
2008/06/02
レビュアー
おうち大好き
髪を七三に分けた名探偵・金田一耕助がいて、シリーズの中の犯人が二人もいるこの映画。
日本家屋の部屋の光と影をおりなす照明が金田一シリーズを彷彿とさせます。
女優さん達の競演が華やかで楽しいです。
長女役の岸惠子さん、最初この役には山本富士子さんをキャスティングされていたと聞きましたが、どう見ても船場で育ったとうさんには見えない。栗毛色の髪と着物の粋な着付け方、襟の開け方がちょっと気になる。
次女役の佐久間良子さん、四人のなかで所作が一番女らしく美しい。
三女役の吉永小百合さん、声のトーンを抑え気味で言葉少ない役柄。冷静に物事を見据え自己を全うする芯の強さを見せる。何を考えているか分からない恐ろしささえ感じ、決してお近づきになりたくないタイプの女性。
四女の古手川祐子は、どうでもよいです。
彼女たちの身に着けている数え切れないほどの衣装は本当に目の保養になります。特に三女の為に父親が作らせたという婚礼の衣裳には目を奪われました。
出演者達の立ち居振る舞いも含めてこの美しい風景映画は、環境映像として流していてもいいかなとも思えました。
舞い散る白い粉雪がいつしかピンクの桜の花びらに変わり、満開の桜の下を、美しい着物で満面に笑顔を湛え姉妹達がスローモーションで歩くラストシーンは本当に美しく、感動ものでした。
「船場の吉兆でご飯食べよ」と、トレンドの言葉にはビックリ。
懐かしい上原ゆかりが見られました。
美の競演
投稿日
2019/07/30
レビュアー
kazupon
監督:市川崑(1983年・140分)
原作:谷崎潤一郎『細雪』
四季折々の自然、蒔岡家の四姉妹、船場言葉の嫋やか(たおやか)な美しさに、
目も耳も心も奪われました。(笑)
昭和13年、かつては大阪の船場で古い暖簾を誇っていた旧家の蒔岡家でしたが、
父亡き後は、没落の翳りが見えています。
しかし、「蒔岡家の娘」であることがブランドであるかのごとく、
美しい四姉妹は、それをアイデンティティーとして誇りに思っているようです。
四姉妹を演じる女優陣は、まさしく“美の競演”でした。
長女・鶴子を演じるのは岸恵子さん。着物の襟元をゆったりと着ていました。
夫・辰雄(婿養子・銀行員)を演じるのは、懐かしい伊丹十三さん。あんなに大柄な人だったのですね。
次女・幸子役に佐久間良子さん。長女とは真逆に襟元をきちんと合わせた着こなしでした。(艶やかで貫禄ありました。)
幸子の夫・貞之助(婿養子・百貨店勤務)は、石坂浩二さん。
家族に揉め事があると、いつも穏やかに取りなします。
三女・雪子役は吉永小百合さん。小説では、この三女が一番の美人の設定らしいです。
四女・妙子を演じるのは、古手川祐子さん。
跳ねっ返りの現代っ子です。
姉妹と言えども、本家と分家の立場の微妙さがありました。
独身の雪子と妙子は、本来なら嫁ぐまでは本家で暮らすのが普通の様ですが、
訳あって二人は分家の幸子の元で暮らし、生活費、お小遣いは本家から出ていました。
物語のほとんどは、三女・雪子の縁談、お見合いの様子が綴られていました。
姉たちは、二人の妹を嫁がせて肩の荷を下ろしたいのですが、
雪子がまず嫁がないことには、妙子が結婚できないようです。
演じているのが吉永小百合さんなので、それほど艶めかしくはないのですが、
多分、設定的には“魔性”を持ち合わせた女性なのでしょう。
肌蹴た着物の裾を直しながら、幸子の夫の貞之助に送った視線には、(少しだけ)ドキリとしました。
この雪子は、電話にも出られないほど内気なのに、そのくせ妙に意固地で捉えどころがありません。
やっと雪子の結婚が決まり、亡き父が用意したという婚礼衣装の数々が、出番を待っていたかのように披露されます。
その美しく豪華なこと。溜息が出ました。
着物や帯が披露されるシーンは他にもあり、羽織の裏地の模様が蒔岡家の家紋だったのは流石でした。
終盤、鶴子と幸子の姉ふたりの、
「雪子ちゃん、粘りはったなあ」「うん、粘りはったなあ」という会話に
雪子の本性というのか、打算と言うのか、狙いが見えた気がしました。
家族中が雪子に振り回されている陰で、末娘の妙子は、誰にも頼らず自分の道を歩み出していました。
物語冒頭は、桜吹雪が舞う中に浮かび上がる四姉妹の華やかな笑顔と、艶やかな和服姿でした。
それから一年後、細雪がチラつく駅のホーム。
東京へと旅立つ長女夫婦を見送る中に妙子の姿はなく、
今年の“姉妹花見”は無理だろうと言う鶴子の言葉が、寂しく聞こえました。
戦争の足音が聞こえて来そうな時分の、「蒔岡家最後の平安の一日」という気がしました。
船場言葉と絢爛たる衣装や帯、品よく美しい四人の姉妹たち。
この先、本作ほど美しい四人を揃えることは難しいのではないでしょうか?
春の桜、夏、岩に打ち付ける滝の流れ、秋の紅葉、冬の細雪。
市川監督こだわりの映像美を堪能しました。
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細雪