魔の刻

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昔、坂上忍さんのことが結構好きだったので
公開後最初のＴＶ放映で一度観ました。

岩下志摩さんと坂上忍さんが親子ということで
かなり期待して観たのに、全編暗い雰囲気で
（今考えると、明るい近親相姦って問題ですが）
ラストにも納得がいかなくて、ガッカリしたにも関わらず、
最近、あるレビュアーさんとお話しているうちに
観たくなってレンタルしました。

確か、このキャスティングは
岩下志摩さんが「私の息子役は是非坂上忍さんがいい」
と指名したと記憶しています。

最初岩下さんの、たとえ息子相手でも、弱っちい女の姿は
違和感あるんですが、観ているうちに気にならなくなります。
というか、だんだん強さが隠しきれず出てきて
（そういうシナリオか）なぜか安心します。

坂上さんが、反抗的な態度をとってるくせに
母が他の男と話してるだけでスネた態度をとるのは
すっごくかわいい。もう母親目線ですね。

息子もでき、親子ともどもこのお二人より年上になった今観ると
私も息子を愛してますが、近親相姦は、
倫理はかなぐり捨てたとしても
とてもじゃないけど恥ずかしくてできませんけれど
この二人は絵になると思いました。
個人的見解ですが、色気はあるのにいやらしさを感じませんでした。

あら？何その薬屋とモグリっぽい医者の会話。
このミステリー要素は記憶になかったので、
ちょっと嬉しかったんですが、
喜ぶほどのネタでもなく、ちょっとしたオマケだったかと思ってたら、
これもちゃんと意味のあることで深かったです。

岩下さんが邪魔女を冷たく追い返すシーンはなかなか爽快。
かなりムカついてたんで。

そしてラストは、昔は気に入らなかったのに
「愛するからこそそれしかなかったんだ」と受け入れられました。
母になったからでしょうか。

坂上さんと言えば、
実話を基にした、家庭内暴力のために父親に殺される少年の役を
演じてたこともあったと思います。
ちょっと歪んだ、哀しい少年とか青年の役が
よく似合う俳優さんだったのに。（以下自粛）

リメイクするなら高島礼子さんと亀梨くんを推薦したいです。

岡田裕介(現・東映グループ会長)が、
役者として出演してるのも珍しい。
1985年作品。降旗康男監督・撮影は木村大作。

珍しい母子相姦・・・しかも実の母と息子というタブーを
題材とした映画です。
坂上忍が初々しい。清潔感が溢れているので、ヤらしくなかったです。
岡田裕介の役が、入り婿の薬局店主で，妻と義母の殺人容疑で、
警察に追われている。
岩下志麻と坂上忍の母と息子に、岡田が絡むことで、母と息子の
閉ざされた関係が、露わになることが、逆に、2人の関係を、
終結し、母親の自立と息子の開放に繋がるのは良かった。

この時期の岩下志麻と坂上忍でしか、成立しなかったような映画。
今の坂上忍しか知らない人は観ておくと、いいかもしれませんね。

降旗康男の映画はどれも画面がしっとりと潤っているようで実に美しい。撮影監督木村大作の絵づくりの妙。音楽がまたいいですね。
物語のかなめは「花井薬局」にあるが、世間に背を向けざるを得ない母子と、世間から排除された男の３人がつかの間の共同生活を送る舞台として格好である。罪の匂いが濃厚に漂っている。降旗映画の常の通りロケ地が物語にぴったりで、そういう風景を木村大作のキャメラを通してみているだけでなんだか陶然としてきます。とくに最後の、花井が小舟に乗って海へ乗り出してゆく姿をロングでとらえたシーンは素晴らしい。物語といい音楽といい撮影の美しさといい、まるでヨーロッパの映画のようです。
これだけ危ない話を下品に陥ることなく演じきるにはやはり岩下志麻を措いてほかにはいないでしょう。女のエゴイズムと可愛さと恐ろしさとエロチシズムと思い切りの良さとしつこさと。彼女にとっては『婉という女』、『五瓣の椿』に並ぶ代表作だと思います。やっぱり大女優と言うほかないなぁ。岡田裕介のインテリくずれ風の演技も見応えがあります。

あまり注目を浴びる作品ではないけれど、まぎれもない傑作です。

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あらすじだけを見た時は、それほどの期待はしていませんでしたが、実際に観始めると先が気になって一気に観終えました。
映像についての知識はないので、専門的なことはわかりませんが、純粋に観客としての感想は、「見ごたえアリ」でした。

母子でどうしてこうなるかな・・・と疑問に思う一方で、越えてはならない一線を越えてしまった後の溺れようは、現実にはあり得ないと言いつつも、どこかリアルな気がしてならない。
こんな風になる親子は実際はそうそういないけど、母子ではなく男と女に置き換えると、また違った見方が出来る作品だと思いました。
女の業、情念、母としての純粋な愛。こういった感情の裏にある背徳感と理性が、岩下志麻さんによって丁寧に演じられていましたし、息子役の坂上忍さんもとても良かったです。難しい役だったと思いますが、息子としての揺れる心情を上手に演じられていたと思います。

思い切った内容ですが、やっぱり映画にする以上、こうであって欲しいと思いました。
昔の映画は本当にいいですね。

内容はともかく、岩下志麻が極道の妻の時より数段良い。