恐喝こそわが人生

　深作欣二の作品を現在借りまくってるが、DVDが出回ってる時代、あんまりこーゆー見方はよくないなあと思う。過去の傑作と現代の傑作をピックアップして見続けているもんだから、傑作マヒしてもうて、そいつが当たり前になって、少しでもアベレージ以下の作品に出会うと、つい攻撃してしまう。なので、俺の評価も割引して読んでおくれ。

　こういう現代物は、見ていて、時代遅れの表現があるだけで微妙に違和感を感じて評価が、まず落ちる。
　若き松方は甘さがありすぎ、目黒祐樹と混じったような感じになり、つい「仁義なき」と比べたりして、違和感が残る。
　うーん。やっぱり深作はバイオレンスが無いとなあ・・・上から「豚と狼と人間」で観念的すぎたそうで、娯楽路線を厳命されたそうだ。そこで松竹に行き「黒蜥蜴」と本作を撮ったそうだ。でも「仁義なき」を知っている我々には「豚と」の方がおもしろい。役者さんも大きく関係していると思うんだけど。佐藤友美さんもかすれた声で大人の女の方が全然いい。

　もっと生きていて「バトルロワイアル」的作品を作ってほしかった。文芸作品なんていらんよ。などと言うてもなあ。

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　ドブネズミみたいな生活をしていた主人公たちが恐喝屋となって生計を立てるけど政治家をゆすろうとして戦う話。

　ストップモーションなどを利用した独特の演出が印象的でした。今の時代に見ても全く古臭さを感じなかったです。松竹映画だけど完全に東映映画のようなテンションなのも面白かったです。

　主人公たち若者たちが政治家やマスコミなどの巨大権力に戦いを挑もうとするけど、仲間が殺され、相手が悪いと去りとどんどんと不利になっていく。

　ただただ若者たちが無軌道に巨悪に挑んでいって負けていくというだけのひねりのない展開だしラストもあっけなくて不完全燃焼だったのが個人的には残念でした。

　とはいえ、スタイリッシュでエネルギッシュな映画で楽しめる90分でした。

松方弘樹が、26歳くらいの作品のようですが若くていい男です。笑うと可愛いし、体格も良く健康的で明るい印象なのに、危ない何かを持っている感じがします。この時代は高度経済成長期で、もはや戦後ではないと言われた時代で、日本は豊かになりました。しかし、同じ好景気でもバブル時代のような脳天気なものでなく、暗さや白けた空気があったように思います。木枯らし紋次郎や眠狂四郎みたいに、決して単純明快なヒーロー像ではなく暗い部分や、悪の部分も併せ持つ男達が魅力だったのでしょうか。

天知さんを見たくて借りたのですが、たったワンシーンだけの登場でがっくり…(涙)でも、すっごく素敵でした。もっとストーリーにからんでくれたら良かったのに。この映画の中で唯一のまっとうな社会人でした。

本編の面白さは他のかたもレビューしていらっしゃる通り。
個人的にはアクション映画というより、青春パンク映画といった感じです。高度経済成長期の勢いと、深読みすれば、若かりし団塊世代の捻じれを感じます。

70年代にはパンクが台頭しますが、本当にカッコいいのはピストルズではなくて、MC5だったりイギー・ポップだったりします。
体制や既成概念にツバをはくことは誰にでもできるのです。しかし、それに代わるシステムを作ることは容易ではない。わかったか民主。菅直人は学生運動あがりです。
流行やファッションになったらおしまい。メッセージや精神性を欠いたパンクはただの負け犬です。

ピストルズは金のために再結成しましたね。金が大好きだとうそぶき、パンクのアイコン、シドの墓石にまでツバを吐いて金を稼ぎました。じつに汚い「犬」っぷりです。
この映画の松方弘樹は金に執着し、とりまき達も金こそ自分の社会的地位を向上させる手段だと思っています。反社会的な手段をもちいて金を稼ぎ、成り上がろうとします。

その姿が、ピストルズにダブりました。刹那の行き着く先は破滅。なんといっても、ラストの松方弘樹が良いです。

特典映像をしっかり見てほしいと思います。
貴重なインタビューで撮影秘話が語られます。

そう、この映画は東映三角マークじゃなくて、松竹なのですよ。
そのへんの事情が語られますので、わっくわくする訳です。

テンポがいい!そして懐かしい昔の東京風景。役者も懐かしい顔ぶれ。