八つ墓村

確か小学校５年生の時、当時の横溝映画ブームに乗って製作された映画だったのですが、１３歳年上の姉に無理矢理映画館に連れていかれて「とても恐かった」という記憶が残っていますＡ＾＾；

市川監督の「犬神家」の影響からか、TVシリーズ等も金田一のイメージが定着してしまった感がある中、渥美清が演じる“スーツ姿の金田一耕助”は、とても違和感が有りながらも何故か新鮮に映りましたね♪
（過去には高倉健も「悪魔の手毬唄」でスーツ姿の金田一だったそうですね）

ストーリーに関しては、もう往年の松竹映画そのまんま！って感じで、ドロドロした面が美しい風景とのギャップで更に際立っています。
最近の日本映画に物足りなさを感じる方にこそ、観ていただきたいと思います(^o^)b

やっぱり古過ぎる映画は色々設定に無理があるなぁと思いました。

邦画史上屈指のヒット作をＤＶＤで久々に鑑賞。
この映画のおもしろさ、出来栄えの良さなどはもう定評となっているので改めて書くこともないだろう。
私があえて書くのは、この映画のテーマとされている「祟り」とか「怨念」「因縁」といったオカルトチックなものについてだ。
都会ではこうしたものは「ばかばかしい」と一笑に付されることが多いかもしれない。しかし、地方部では今も高齢者たちのなかに、これらを軽視できない重い事柄として恐れる人がけっこういると思う。

私の両親は東北地方の寒村の出だが、母の出身の村でこの多治見家と同じような恐ろしい因縁めいた家があったと聞いたことがある。
その村には非健常者の出生が何代も続いている家があって、なんでもその原因が昔あった家どうしの泥沼化した諍いにあるというものだった。
詳細は忘れたが、その村のＡ家とＢ家の間になにか争いごとがあって、その結果一方の家が没落するに至ったらしい。その没落した家の当主が今際の際に「○○代まで（あの家を）祟ってやる」と言い残した。そしてその後、存続し続けた家の子孫には非健常者の出生が続いたというのである。母が若い頃に聞いた話だというから、両家の争いがあったのは近世後半か近代に入ってからのことだと思う。

もちろん今なら、これは遺伝学による説明によって済む話かもしれない。しかし、単に偶然の出来事とは思えない不可思議な事象は確かにあるのである。
キリスト教では、神の前に「すべての人は罪人である」という前提がある。人間なら誰でも罪を犯してしまうということだ。
学校なら「イジメ」、実社会なら「パワハラ」と、その当人が法の裁きを受けない悪事はつねにある。実害の発生はなくても、相手の気持ちを考えずに悪態をつく、陰で悪口を言う、悪意の謀をするといった人が少なからずいるはずだ。また、心ならずも相手に悪いことをしてしまったということは誰でもあるはずだし、過去のそうした言動を忘れてしまっている人も多いだろう。

これまでの経験則で、「因縁」「因果応報」といったものは実際“ある”と私は信じている。
この映画を観るとき、私はいつもその思いを固くするのだ。

７０年代後半から市川昆監督は横溝正史原作の金田一耕助シリーズ５作をヒットさせており、同名の作品も製作されている。本作は寅さんの渥美清を金田一に起用して、野村監督が松竹映画で撮ったものであるが、渥美のシリアスな演技が、もう一つピシッと来ない感じで、やや戸惑うが観れないものではない。
市川作品のようなおどろおどろした映像美とは、ひと味違う仕上がりになっている。
８人の尼子家の落ち武者たちが、懸賞金目当てに村人たちに惨殺される凄惨なシーンは目を覆いたくなる・・・怨念が眠る八つ墓村を舞台に奇怪な殺人事件が起きていく・・
演出のもたつきを気にしなければ結構面白いです。