紅の豚

何度みてもいいですね。これぞ男のロマン。はじめっから最後まで宮崎さんらしい雰囲気で楽しませてくれます。嫁さんなんかは「かっこいいし、いい作品だけど、やっぱり、豚は豚よね・・・」と言うんですが、そこが女性の考え方なんかなぁ。全てがかっこえぇからえぇってわけやないんよね。

飛行艇って本物をなかなか見ることはないのですが、よくよく考えればボートで飛行機なんだからそら最高ですな。まぁ、どちらも運転は出来ないですが、乗ってみたいもんです。ふわっと水面に降りていくなんていうのを考えたら、あぁ・・・・えぇなぁ。

声優さんたちがいい声ですごくはまっております。おときさんは、実物も個性的で素敵なんですが、この役ははまり役ですね、こんな人ほんまにいてほしいなぁと思ってしまいます。男はバカですな。

宮崎駿は優れた監督である。
優れた作品を数多く世に送り出している。

そんなこたぁわかっている（笑）

いや、わかってるんですけどね。
私も氏の作品を高く評価する一人ですけどもね。

でもが続きますが、でも、
この人の映画って説教臭いんだよ（泣）

そうでなければなんというか、
団塊の世代に似た理屈っぽさというか、
何かに怒ってないといられないパワフルなせせこましさというか。
でも戦前産まれなんだよなぁ……。

でもこの作品にだけは、肩の力を抜いた軽々しさがあると思う。
空飛ぶ豚。
いいじゃないですか。

他の作品でも、シンプルで身近なテーマを扱った作品ほど私は好きですね。
大風呂敷広げるほど（良作なのは理解できても）ちょっと辟易しちゃうという。
損な気になり方だとは思うけど。

いちゃもんついでにもうひとつ因縁をつけます（笑）

毎度のことですが、声優さんを他の畑から抜擢するのはいいとして、
もうちょっと基本ができてる人にしてくれないかなぁ。

演技どうこうの前に、セリフがすごく聞きづらい時があるんですよ。
映画館の大音量の場合もそうだし、
家庭で映画館より質の低いスピーカーで聞くときもそう。
（もののけ姫なんて酷かったなぁ……）

過去にどんな事件があって声優嫌いになってるのか知らないけど、
もし日本の声優事情が気にくわないのなら、
現場で怒鳴りつけるなりして鍛え上げればいい。
宮崎駿ほどの人間であれば、それができるわけですよ。

現状に満足していなくても、それに一石を投じる力があるわけだしね。


などとひどい罵詈雑言を並べ立てておりますが、
それでもこの作品や宮崎駿に対する高評価はみじんも揺るぎません。

存在が巨大だから言える文句だなぁ。

個人的に一番好きな宮崎作品。海と空が美しい。主人公が飛行艇を操縦している描写も細かくて面白いし、飛行艇を作る工場の場面もいい。桂三枝がいい味出してる。歌もすごくいい。あとは「何かお話して」の場面が好き。私もいつか誰かにそう言われたら、さらっと話せるような渋い話のひとつぐらい用意しとかなきゃ…！　と思った。

アイロニカルな言動の主人公のこれまでの来歴を想像してみると、少ししんみり…。声も渋くて素敵。低音の魅力。

見ました。
いいねー、やっぱり。

『かっこいい豚』？
そんなもんいるわけないでしょ・・・

・・・
・・・・
・・・・・
すいません。男の僕でも惚れてしまいます。
声もかっこいいのですが、やっぱ生き様がかっこいい。
顔じゃないのよ、男は。
まぁ、生き様がかっこいいと顔もかっこよく見えたりするんだけど。ヒィオからはきっと豚のままでも彼がかっこよく見えていたのでしょう。

ねぇ神様。顔は諦めますから生き様だけでもかっこよくしてはくれませんか？

リアルタイムで見たときは、涙なんてでませんでした。
スリルと笑いに目を奪われ楽しさだけが残りました。

中年の入口のドアを開けた今。

(顔だけはずっと昔から中年でしたが)

映画の最後に、ピアノ伴奏で加藤登紀子さんの唄が流れると
ジーンとして、あふれるものを止められません。

人は夫々、疾風怒濤時代を持つと聞いたことがあります。
自分もその疾風怒涛時代を想い(単なる負け組みの感傷か？)、
映画と同化をしてしまうのかなぁ。

年齢や境遇に応じて、長く、様々に楽しめる。

それが、いい映画なのかもしれません。

さっ、頑張ろう！疾風怒涛時代はこれからだ！
暗い世の中ですが、前を向こうではありませんか。