マネーボール

実在する人物を基にしたお話で、貧乏球団のＧＭが新しい理論を取り入れて強い球団に変えていくと言う、ともすればマンガのような本当のお話。
机上の空論も、信じる気持ちの強さによって実現が可能であるということを示唆しております。

個々の選手と人間関係もそこそこ濃密な人物であるにもかかわらず徹底したデータ重視の戦略をとって行くところの描き方がなかなか面白く出来上がっています。
結果としてチームとしての完成度も高かったことを考えると、このＧＭ、意外とコミュニケーション能力も優れていると言うか、その辺の機微は結構長けているように思えますね(笑)

ぼくら日本人がもつ「マネー」に対するイメージってあまりいいものが無い。
「清貧」というような貧しいことを良しとする歴史や宗教観がベースにあるとおり、
どちらかというと「マネー」って負のイメージが多いですね。

対してあちらは、ハレルヤ、金くれ！(笑)というように、キリストを信仰することと、
金を儲けることがシームレスにリンクしている歴史があるので、金に対する意識が
日本人が抱くそれとは違う。
例えば、あのビートルズが綺麗なメロディーにのせて、事務所の金払い悪いのよとか(笑)
人生金が全てなんだよとか歌っていても違和感ないが、それに影響受けた日本のロッカー
達が歌詞に金とかマニーとか入れてシャウトすると妙に卑しい印象を受ける（ギリでセーフが
矢沢永吉ぐらいだろう(笑)）

主人公のブラピがGMするチームが試合に負けた後、他球団から法外な金額で引き抜きの
オファーを受けます。
自分が若い頃大学進学をけって、高校から１位指命でプロに入り、その後鳴かず飛ばずで、
現役を退いた経験から、金で人生の分かれ道を選択するのは止めようと決めていたから、
そんな簡単にはオファーにのるわけではないが、試合に負けた後だし、金額も金額だ。
このチームではたしてまたやっていけるのだろうかという思いもある。
そんな心中を察してか、参謀のぶーちゃんがこう諭すわけです

「そのオファー金額は凄い。でもそれは額そのものが凄いのではなく、
貴方の価値が凄いんです。あなたの価値についた金額なんですよ」
と。
若干脚色したが(笑)そういうことを言うわけです。

いつのまにか、リーマンショックだ、サブプライムだと、価値に見合わない
金のやりとりが発生しだしてからおかしくなったわけだけど、本来は、そう、
つまり、貨幣経済の原則として、マネー＝価値なんです。
だから、マネーってなんら汚くないはずで、本来は尊いものであるべき。
彼らプロ選手が金であちらこちらふりわまされているように見えるけれど、
それは彼らが価値に対して自分を賭けているわけだから、本望なわけです。

この映画はそういうところを描こうとしたんではないかなぁ〜

ちなみに貧乏球団ということだけど、ワールドシリーズの歴代優勝数は３０チーム中
３位ですから、かなりの名門ですよね。
ワンシーンでイチローがモニターに映るんですが、イチローの所属するマリナーズ
（ブラピGMの球団アスレチックスと同じアメリカンリーグの西地区）は一度も
ワールドシリーズ優勝したこともないし、出場したことも無い。

野球だけでなく、サッカーなんかもそうだけど（レアルとかね(笑)）、良い選手が
たくさんいることが優勝の必要十分条件ではないということであって、けして統計理論
先行型野球が良いということを言ってるわけではないように思えました。

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　「マネーボール理論」という野球を統計学で分析して戦う方法を知ることができて面白かったです。
　トレード期限最終日で、いろんな球団と駆け引きして選手を獲得するシーンなんかはとても面白く観れました。ああいう野球の部分を始めて見れて、興味深かったです。
　この映画では、出塁率が高い選手を集めていきますが。それは当然、経験値のあるベテランスカウトたちから酷評をくらいます。

　そして、この映画の面白いところは。周りが誰も上手く行かないといっているチームを作りますが、シーズンが始まっても全く持って上手くいかず。主人公は、追い詰められていくところだと思いました。可愛い娘さんにも心配される始末。
　自分の信念を曲げない主人公がカッコいいです。ってか、ブラピかっけえ。その信念のもとにはっているのは、自分自身が野球選手でありスカウトに潰されてしまった経験があるというのが回想で上手い具合に入ってくる。この説明が上手でした。

　せっかく獲得した選手に、あっけなくトレードを宣告したり。義理人情の日本とは違い、ビジネスとしての考え方も面白かったです。主人公は、その方が選手のためになると言ってパートナーにもトレード通告をさせたりします。

　クライマックスは、連勝記録のかかった試合となりますが。ここの演出が、意外にも淡々と進んでいくので。主人公が獲得した選手が活躍してもイマイチ盛り上がらなかったです。にしても、試合は見ないというジンクスもすごいですが。

　そして、主人公の腕が見込まれて。金持ち球団から誘われますが。「人々は野球に夢を見る」という台詞が出てきますが、貧乏球団で優勝を狙うというカッコいいことをするっつう。金持ち球団で「マネーボール理論」をすれば、当然優勝するけど。このチームでするから、みんなが夢をみることができる。

　それにしても、ゼネラルマネージャーというのはどういうポジションなのかがよくわかりませんでした。獲得した選手を使うか使わないかは、監督やコーチの仕事だと思いますが。それも無理やり変えてしまう。下手したら、相当、現場に嫌われることになってしまいそうです。上手くいけばいいかもしれないですけど、これで弱いままだったらただのわがままにしか見えないと思いました。

そういえば野球映画を見るのは久しぶり。
キアヌの「陽だまりのグラウンド」以来？
続けて見ると飽きるけど、たまになら大抵面白くてハズレの少ないジャンルだと思う。

この映画は最近の話だし、実話なので勝ち負けなどに作りがないとこが面白い。
ただ、そのせいでいまいちスッキリはしないのと盛り上がりには欠ける。

ブラッド・ピットがあのメガネのかけかたなど、さらにロバート・レッドフォードに似てきていてびっくり。
いい感じに年をとって、やっとかっこいいだけじゃない役が続いて波にのっている感じです。

しかし、野球から人間味を抜いたら何か面白いこと残るんだろうか？
数字で勝てるならテレビゲームでいいと思うし、数字じゃ読めないとこが人間の面白さじゃないかと思うんだけど・・。
データは役立つだろうけど、それだけじゃないと思いたい。

このあと、この手法が広まってしまったのでみんな同じことを重視するようになり、過小評価されている選手を安く買うことは難しくなったとのこと。

ブラッドが熱すぎず、時には冷徹にトレードやリストラをする一方で、娘とのふれあいで彼の人間味がにじみ出る。
この対比が良く、女の子の歌が光ってました。

評価７６点(１００点満点)
アメリカ大リーグ、すなわち野球ビジネスの内幕とそこに「セイバーメトリクス」という理論を持ち込み新たなチーム作りを試みたオークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャー、ビリー・ビーンのお話でなかなか面白い作品。
星の数ほど球団がある大リーグ、裕福な球団は金にモノをいわせ、スーパースターを集めて常勝球団となり、貧乏球団は満足な補強も出来ず、場合によっては所属の有力選手さえ資金繰りのために放出しなければならないハメになる。
こんな不公平なビジネス環境こそが問題なのだとビリーは強調する。アスレチックスは限られた予算しかない、そこでビリーはイェール大学卒のピーターを補佐役に雇い弱小球団を革新的球団経営でもって再建しようと試みることになる。
「セイバーメトリクス」と呼ばれる理論、データーを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考えるという分析手法で理論としては野球については素人が以前から発表していたものらしい。それは独自の理論で現行の野球理論とは全く異なる、例えば犠牲バントや盗塁、ヒットエンドランなんかは無意味な作戦であり、ホームラン打つ打者よりも出塁率の高い選手が評価される。ヒツトであれ四球であれ値打ちは同じ、こうした観点からチーム作りを考えると他教団で評価の低い選手も対象になり、大金を払わなくとも選手は集められる。当然保守的な業界内では異端児扱いされ抵抗も大きいがビリーは信念を持ってこの戦略を遂行してゆく。ここらのプロセスや選手を完全に商品化しているトレード話の内幕なんかはなかなか興味深いところ。
かくしてアスレチックスは奇跡の２０連勝を記録するのだが、ちよっとチームの転換期となった要因がはっきりしない。
このビリー・ビーンＧＭは実在し、本作も実話がベースになっているだけに説得力はある。
ブラッド・ピットが変わり者の短気なＧＭ役を好演している。