北北西に進路を取れ

最近意識して古い映画を見ているのですが、どれも古いなぁという感想を受けます。時代とともに新しい手法が開発され、映像、ストーリー、ストーリーテリング、共に斬新と思える様な物は古い映画には望めないなのだろうなと思います。
今回の「北北西に進路をとれ」に関しても、いつも見るようなテレビドラマを長くしたような感じとでも言うか、退屈だった。

実際の上映時間より長く感じる作と、短く感じる作品があるが、この作品は間違いなく後者に入ると思います。
シナリオは完璧だとは思わないけれども、テンポの良さと役者がそれをカバーしていると思います。

間違いなく名作の１本でしょう。

息をつく間のない展開と次々に起こる意外な事件，これぞ観客のウラをかく Hitchcock お得意のパターン．当代の名優 Cary Grant の起用も相成って当然の如く大ヒットを記録したが，現代にも通用するアクションの数々はまさにハマリ役．謎の美女イヴ（Eva Marie Saint）との恋模様も作品を彩る重要なエッセンス．これぞ娯楽大作！

映画史を語るうえでも、ヒッチコック映画を語るうえでも、この「北北西に進路を取れ」は外せない名作だ。「Ｎｏｒｔｈ　Ｂｙ　Ｎｏｒｔｈｗｅｓｔ」．．．この原題の響きの良さで、今まで何度も再鑑賞の意欲を駆り立てられた。

キャプランという男と間違えられた広告代理業者のロジャー・ソーンヒル（ケイリー・グラント）は、タウンゼントと称する男（ジェームス・メイスン）から、ある仕事に協力しろと脅迫され、国際スパイ事件に巻き込まれてしまう。
殺人容疑まで掛けられたロジャーは、やはり謎の多い女イヴ・ケンドル（エヴァ・マリー・セイント）と恋に落ち、ニューヨーク、シカゴ、サウスダコタのラシュモア山頂などを転々と追われながら、真犯人を追い求めていく．．．。

典型的な巻き込まれ型スリラーで、Ｃ・グラント扮する主人公が殺人犯として警察に追われながら、自分を罠にはめたスパイ組織を追い詰めていく。
その流れが見どころ満載で、畑で殺虫剤をまく小型飛行機に襲われる場面や、ラシュモア山の大統領の顔での乱闘などが、巧妙なカメラ・アングルと編集によって描かれる。
そのヒッチコックの演出の素晴らしさには、ただただ感服する。

ラシュモア山の大彫刻、いわゆる‘大統領の顔’は、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、エイブラハム・リンカーンといった錚々たる名前が並ぶ。
当時としては当然のことながら、撮影は許可されず、ＭＧＭ撮影所内に精巧なレプリカを作って撮影されたという。
ラストシーンのヤマ場に、まさかラシュモア山の‘大統領の顔’が登場するとは、公開当時アメリカの映画ファンは勿論、世界の映画ファンは驚いたに違いない。

この映画を格調の高いものにしている事由のひとつに、テンポの良さとそれを支える効果的な音楽がある。細かい演出とダイナミックな俳優の動きが、圧倒的なサスペンスの連続とアクションで、たたみかけるように迫ってくる。
軽快でテンポのいいバーナード・ハーマンの音楽が実に効果的かつ魅力的だ。

主演のＣ・グラントはヒッチコックのお墨付きで出演している。
（自薦のジェームス・スチュワートや、ＭＧＭ推薦のグレゴリー・ペックは却下された）
謎の多い女を演じたＥ・マリー・セイントは、５４年「波止場」でいきなりアカデミー助演女優賞を獲得したが、本作での確かな演技によって、彼女のその後の女優人生が決定づけられた。

ほかにもＪ・メイスンやレオ・Ｇ・キャロル、フィリップ・オーバー、エドワード・ビンスといった曲者がこぞって出演し、サスペンス映画ファンには堪らない陣営となっている。
特に、当時はまだ若いマーチン・ランドーが悪役で登場し、異彩を放っている。
彼は６６年〜の米ＴＶ「スパイ大作戦」で変装の名人ロリン・ハンドで有名になった俳優だ。

そしてヒッチコックは作品のどこかに必ず顔を出すが、本作では、冒頭のバスに乗り遅れるシーンに登場している。

長々と駄文を書いたが、これは間違いなく極上のエンターテイメントだ。

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大学のレポート課題で、教科書掲載の作品をいくつか見なければならなかったので、いい機会だからとヒッチコックを片っ端から観てみようとレンタルしました。
現代のテンポに慣れてる分、シーンによっては間延びして感じる箇所はあったけれど（泥酔運転シーン、最後の崖逃亡のシーンなど）退屈せずにハラハラ見てられました。
個人的に外国の方の顔を覚えるのが苦手で、しょっぱなから登場人物が多くて理解が難しいかな、思ってましたが、理不尽な巻き込まれ形だったので、主人公目線で見ることができたのもわかりやすかったかも。
プロペラ機のシーンは、風景から飛び出てくる脅威っていうのが、面白くって、1カット鳥瞰的な視点が入るのも、いいな、と思いました。
さ、レポート書かなくては。