ゴーン・ベイビー・ゴーン

確かに、何が正しいのかなんて、この世でははっきりしているわけがない。
時間、環境、状況、人……視点によってまったく変わってしまうことなんて、この世だからそうなのだ。
不遇の当事者が出す回答だって、個人差がある。
この選択が、アマンダにとって正解か不正解かは、未来に彼女が出す答え。
誰も責められない。

4歳のアマンダが誘拐され、私立探偵のパトリックとパートナーのアンジーが、捜索を依頼される。
冒頭のゆらりとした始まりから、すぐにどんどん引き込まれていきました。
原作がしっかりしているのでしょう、次から次へとどんどん視点を移さないとついていけないので、ぐーっと集中して観ました。
ボストンで育ったベン・アフレックが、弟のケイシーを主演にむかえ、町のリアルな感じを大切に撮っています。
役者だけじゃなくボストンの住人を起用しているのは、「ザ・タウン」にも受け継がれてます。
ケイシーは知らない役者だったけど、きれいな顔してて、強さと弱さのバランスも、この役にはぴったりだった。
あとエド・ハリスとモーガン・フリーマンの出てくるシーンは、ぐっと重厚で、当然目が離せなくなる。

子どもが苦しい、悲しい目にあっていることは堪えられない。
だけれど、解決できずに世の中にはびこっている。
何が一番よいのか、やるせない思いを抱えて、仕事として真剣に向き合っている人間がいるなかで、悲しい目に合わせる親も多くいる。
子どもは、抱き留める大人が次々と変わることに、抵抗もできない。
観ていて頭を抱えてしまう。
でも、きっと私がパトリックの立場だったら、同じ選択をしたように思います。
同じように迷いながら……
でも、去っていくほうの人の気持ちにも、共感はできる。
いろいろ考えさせられる、よい作品だと思います。

ベン・アフレック作品、これで3本観ました。
確かに有能だと思います。

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静かな映画ですが、
２転３転するストーリーが面白いのと、
法・道徳・良識それぞれよかれと思って行動をとった
登場人物たちを見て
誰が正義？誰が最善だったかな？？？
といろいろ考えてしまう映画。

結局、法の下でよかれとする結末のように見えたが、
なんか、モヤモヤが残る。。。。

イーストウッドの映画を見ているようだった。

ベンアフレック監督作と気づいてビックリ。
俳優としても決して嫌いじゃないけど、
彼には、またたまに製作側にも回って欲しいと思ってしまった。

ベン・アフレック初監督作品。主演は実弟ケイシー・アフレック。
そして名優モーガン・フリーマンとエド・ハリスが脇を固める正当派作品。
今作品は【考えさせられる】なんてもんじゃない。
【善】が必ずしも【正しい事】ではない。
観賞後にやるせない気持ちになる。答えは出ない。
これこそベン・アフレックの意図した事。
答えが出ないままに考え続ける事。考えている間、我が子に対しての愛情を顧みる事が出来る。
日々の生活で忘れがちだが、我が子がいかに大切な存在であるか。
同じく４歳の娘を持つ母親としては心に痛い作品だった。
終始淡々と物語は進んでいきため息だけが残る。
そんな中、１番心に刺さった言葉。

「寝かしつけた時、お腹が空いたって言ってた」

空腹の娘を寝かしつける母親。
でもひとつだけ言える事は、【その人にとって何が幸せかは誰にも決められない】
たとえ親であっても子供の【幸せ】を勝手に決めてはならないのです。
親といる事が幸せなのか。それだけで幸せなのか。離れているのが幸せなのか。愛情さえあれば実の親はいらないのか。
最後まで答えは出ません。
逆に、答えは出さずに生涯考え続けたい問いでもあります。

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自分で何かを決めなければいけないときは人生で何度か訪れる。
そのとき、いったい何が正しくて何が正しくないのか。
何をもってして、誰の視点からして、どの時点をもって正しいと判断できるのか。
そんなこと誰にも分からない。
じゃあ、何を信じればいいのか。法に従えばいいのか。
そのとき、自分が正しいと思ったことをやるしかない。
やらなければ後悔する。
やって、結果裏目に出るかもしれない。その責任を背負って生きる。

さぁ、パトリック（ケイシー・アフレック）、ドイル警部（モーガン・フリーマン）の決断はどちらが正しかったとジャッジできるだろうか。
ただ２人とも己が信じる道に従っただけ。

ものごとを決断するときのものさしがみんな同じなら簡単だろうに、とは思うがそれは不可能なことで、
だから自分自身で決断しなければいけないときがある。

「正しいことをすれば自分の身を守れるのか」
「お前は狼の中の羊。蛇のように賢く、鳩のように素直であれ」
決断の難しさ、というのを感じました。

ミスティック・リバーに似てるなぁと思ったら、原作者が同じ方でした。

ベン・アフレックの出演作といえば「恋におちたシェイクスピア」「アルマゲドン」「パール・ハーバー」他と話題作が多いですね。ですが俳優としての評価は低い印象があります。

さて初監督作品ですが、地味な演出ながら脚本で勝負したようです。その結果、作品の完成度を高めているように感じました。
スタッフはベテランを揃え、俳優陣もモーガン・フリーマンにエド・ハリス等と演技派の名優が魅せてくれます。
主演はベン・アフレックの実弟ケイシー・アフレックですが、弟を起用したのは正直疑問です。どうしても色眼鏡で見てしまうのは私だけでしょうか。

堕落した育児放棄まがいの母親を持つ幼女が誘拐された。
さて、この女の子が無事に帰ってきたとして、そこに幸せがあるだろうか。
大人は子供のために何が出来るか。何をしなければならないのか。

物語はハッピーエンドで終わらず、それが正しいか否かなんて簡単に答えることができない内容を鋭い切り口で問題提起します。

これが現実と容赦なく突きつけられる作品。