ＢＯＹ　Ａ

この主人公は可哀想なのか、自業自得なのか。
非常に難しい判断。
実際俺も社員の採用で、出所したばかりの人を面接もせず電話口で断ったことがある。
どうしても罪を犯す人＝人としてのルールさえ守れない人と言うレッテルを真っ先に貼ってしまう。
偏見かも知れない。
だがその偏見と戦っていくことも又、罪を犯した人の宿命だと思う。
冷たいかも知れないが、罪を犯してしまった自分を一生背負って暮らしていって欲しい。

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罪を犯した少年が、時を経て青年となり、ジャックと名前を変えて社会に出る。日本で言えば保護観察官かな？テリーの世話で得た仕事も、間借りした下宿生活も順調。職場では友人もでき、好きな女の子とは両思いに。
が、自分が過去にしでかしてしまったことを、いつまでも恋人や友人に隠しておくのは後ろめたい。仲良くなればなるほど、親密になればなるほど、秘密にしておくのが辛くなる。テリーからは絶対に喋るな、自分たちだけの問題じゃなくなるから、と諭されるのだが、思わぬところからジャックの罪が暴かれてしまう。

少年犯罪を犯した少年は、社会復帰もままならんのか、という話なんですけど。なんかもう、最後は切なくなってしまいましたよ。
新しい名前を決めて社会の出る時のジャックの不安でいて嬉しそうな戸惑いの表情。友達と遊びに行く、そんな普通の行動にはしゃぐ姿。人命救助をした誇らしさ。恋人との蜜月。
それらが全て壊されてしまったときのジャックの絶望感。想像もつかないです。やっぱり別の人間として生きていくことはできないんだ、過去の罪を一生背負っていかなければいけないんだと悟ってしまった瞬間の心境は？
人並みの生活をしようと、真面目に暮らしていたジャック。悪夢にうなされるという形で過去が明らかになっていきます。世間からは過剰に憎まれ、罪を償い時を経ても決して許されない罪。
ジャックの決断が不憫で不憫で。でも、世間からあんなふうに見られてしまっている人を、愛してるからといった感情だけで受け入れることはできないでしょうね、個人レベルでは。大多数の人は殺人犯だというレッテルで見てしまう。罪を憎んで人を憎まずとはいうけれど、実際は難しい。世の中から差別や偏見はなくならないから。

罪を犯したことに変わりはないので、あまり主人公に肩入れしてもアレかな、とは思いますが。友達を助けるため、相手に暴行を加えるシーン、少し精神バランスが不安定なのかな、と思った。テリーと、息子の関係性も結構時間を割いて描かれてるけど、実の息子を持て余している人にジャックのケアとサポートはできるのか？と疑問に思わないでもない。
青年ジャックを演じたアンドリュー・ガーフィールド。
繊細な感じが出ていて、見てるこちらも感情移入しまくり。先が楽しみな若者やねぇ。

主人公が”ジャック”と名のり出所するところから始まります。普通の生活が出来るようテリーが愛を持って支え助けます。まだ青年になったばかりで遊びたい盛りのジャックですが、テリーの教えを忠実に守ります。仕事も一生懸命頑張り、仲間で親友と呼べるクリスとも出会います。ある日、ふたりで転落した車の中から少女を救い皆から称賛されます。一番嬉しい事、それは愛する人ミシェルにめぐり逢えたことでした。立派に更生していくジャック、根が真面目なのがよくわかります。ジャックが刑務所に入っていたことはテリーとテリーの妻しか知りません。しかし、マスコミは出所した事を新聞に載せていたのです。少年の頃犯した罪は同級生の少女殺害なのです。しかし、真実が徐々に解って来ます。ジャックともう１人主犯的存在の少年Bがいたのです。少年Bは手が付けられない程の狂気の持ち主です。少女の罵声で挑発に乗って殺人を犯してしまったのです。ジャックもカッターナイフで加担してしまうと言った内容でした。この事件は2人の少年が少女を殺害したと言うショッキングな事件で報道されたのです。それを考えると10余年も刑に服し人生の勉強もして来た事と思いますし、将来は充分明るかったと思います。しかし、ジャックはマスコミの行き過ぎた報道によって、生きて行くことに絶望し自殺をするのです。
ラストシーン、ジャックは列車に飛び乗り終点まで行き着きます。優しそうなおばあさんに『終点ですよ』と声を掛けられます。その時思わずこんなことを思いました。『おばあさん彼をあなたの家に連れてって』と。しかし、ジャックはその海辺の町に高い塔を見つけてしまうのです。少し歩くと白い服のミシェルが現れた。「愛してる」と言葉を交わしたがスッと消えてしまった。テリーとクリスに今まで有り難うとお別れの電話をかけた。そして・・・。
何処の国でもマスコミの報道には問題がありますね。この映画はイギリスで制作されたものですが、ヨーロッパでは過去にパパラッチなどの行動も問題がありましたね。なにしろ1人の人間の生死まで左右するのですからね。報道の自由もほうどう(報道）ほうどう(報道)にして欲しいものです。シャレを言っている場合じゃありませんね^_^;　

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罪を犯し、服役していた少年A・エリックが社会復帰するにあたり、今までの名前を捨て、
ジャックと名前を変えて新しい生活を始めるところから物語は始まります。

彼がどんな罪を犯したのか、それは明かされぬまま、ジャックが新しい生活に戸惑いを感じつつも、
新しい友人と夜遊びしたりドラッグをやってみたり、普通の若者らしい毎日を経験し、素敵な女性と
出会い恋をして、いつしか本当に愛し始めるという、ありふれた日常が描かれていくのですが、
いつも自分の過去に怯え、世間の目に怯え、自分の存在に苦悩しているジャックの姿が、
本当の彼の姿であり、表面的なジャックと真実に苦しむエリックの内面を繊細に描写しています。

彼がなぜ少年Aとなってしまったのか、過去の回想を交えながら、真実が明らかになり、
真実を知った世間の人々は彼をどう受け止めるのか、そしてジャック自身がどういう答えを出すのか。
ここで重要なのは、それぞれの受け止め方なのかなぁと思いました。

犯罪者がすぐ傍で何食わぬ顔をしている、それが隣人であったり、友人であったりしたら、
やはり恐怖や嫌悪感を抱かずにはいられないのかもしれません・・・例え服役して罪を償ったとしても。
それを広い心で受け止めろっていうのは酷ですよね。非道なことをしたのは彼自身なのですから。

でも、彼の命に懸賞金を掛けたり、サイトが炎上する程バッシングする行為はやはり規制すべきで、
間違い殺人が起こってしまう現実には、恐ろしさを感じました。
少年Aの情報を世間に広める媒体はやはりここでもメディアであり、真実を追求した報道ではなく、
ただ闇雲に世間を煽る報道にこそ、問題があるのだと思います。

現在のジャック自身を見ていたら、そんな罪を犯すような人間には到底思えないし、
少年の頃に成り行きで犯罪を犯してしまったわけですから、ジャックの本来の人間性を
例えば保護監察官テリーのように温かく見守ってあげることができたなら・・・
今のジャックを見る限り更生していると思うし、そんな彼の今の姿を色眼鏡なしで見てあげる
人間が多くなれば、きっと少年Aたちは社会の中で生きていくことが出来るんぢゃないかなぁと思います。

ジャックの犯した罪。彼の真意や事件そのものは深く描かれないため、
彼の置かれた現在の状況だけに目を向けることができて逆に良かったです。
ジャックが抱える絶望感と、冒頭から伺える終末感がじりじりと
あたしの心に侵食してきて、ラストは重たい重たい余韻が残りました。
ジャックが保護監察官テリーと友人クリスへ宛てた言葉がすごく切なかったです。

ジャックが幸せになることは永遠に許されないのでしょうか・・・
あたしには、最後まで、そして今も答えが出せないでいます。

感想･総評：つい主人公の側に立って考えてしまうが、冷静に考えると・・・。日本にも当てはまる話

対象年齢：高校生以上（残酷さはあまりない。Ｈ場面あり）

食事中に見られるか：無理ではないでしょう