フェイク

夫がTVで見ようとしていたので、「こっちを見た方がいいよ」と、私の“DVDジョニー・デップコレクション”から貸してあげて珍しくいっしょに見ました。いつもは、全然のってこない彼が、はまって見ていました。口には出しませんが、どこか感動の余韻にひたっているようで、私にはこの事の方がおもしろかったです。

ジョニー・デップの出ている作品の中で、うまく言えないのですが、これは一番普通にちゃんとした映画だと思います。

Al Pacino&Johnny Deppの組み合わせなんて　名前を聞いただけで極上の蒸留酒みたいな芳醇な香りが漂ってきそうです！

同じマフィアものでも　裏社会業界の顔役（ドン）を演じた『ゴッドファーザー』とは180度立場の違う　30年以上も業界に身を置きながら　うだつが上がらない下っ端ソルジャーを演じるAl Pacinoの抑えた渋みと飄々としていながら時折華麗な冴えを煌めかせる謎の新人Johnny Depp　なんて対称的な2人なんでしょう。　個性の強い演技派同士の“骨太”ドラマ！　

哀愁のハードボイルドに相応しい　ラストで昇天しました！　
このラスト　Alain Delon＆Charles Bronsonコンビの名作『さらば友よ』を彷彿させる出来だと思います。


キャッチ・コピーが洒落てます。

　　　　　『真実のラスト─　それは美しい裏切りの瞬間』


今年の漢字【偽】！　来年は【真】の年になりますように。

　
　

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結果、心配無用であった！

面白い！これ面白いよ！

さすがだねアル・パチーノ！
かっこいいねジョニー・デップ！

内容はいわゆるマフィアもので、いわゆる潜入捜査もの。
もう飽きたよ〜と思いきや。面白い！(わかったって。)
バレるバレると冷や冷やしたり、バカな上層部(？)の意味不明な行為にムカムカしたり、理解力の乏しい奥さんにウンザリしたり、マフィアってマフィアだけどそこはやっぱり人間だし、足を洗えたらどんなにと思っているやからもいるのだねと思ったり。
最初はキャンキャン吠えるチワワのように見えたアル・パチーノ演じるレフティが、最後には哀愁漂っちゃってあまりに痛々しくそれはもう疲れきった盲導犬のようでとても見ていられないのだから、アル・パチーノあんた天才だ！
問答無用でオススメしたいわ。
マフィアものが好きも嫌いも関係無し。面白いから観て！

【名作サスペンス再見　その10】

「フェイク」（1997年、アメリカ、カラー、126分）。


原題は「ＤＯＮＮＩＥ　ＢＲＡＳＣＯ」。
再見は、涙腺がゆるい今、控えていたのですが……。

マイク・ニューウェル監督（1942生）。
「フォー・ウェディング」 (1994)、「コレラの時代の愛」（2007)を見ています。
抑制のきいた劇の撮り方をする人です。

ＦＢＩの潜入捜査官ジョー・ピストーネ（ジョニー・デップ）は、マフィアの構成員レフティー（アル・パシーノ）と接触します。
デップ（ドニー・ブラスコ）は、宝石や時計の鑑定技術を習得し、組織の故買屋に食い込もうとし、その格好の標的が、末端のパシーノだった。

二人はコンビを組む。

フラスコ（デップ）は、潜入の発端で、「らしく」見せるため、過激な行動をする。
レフティ（パシーノ）は、それをやっては駄目だ、と、説教ではなく、彼の社会独特の言葉で丁寧に指導する。
クリスマスに家へ招き、老眼鏡をかけて、料理をつくる。

「プロなみだ　パスタなんかじゃねえ　チキンのワイン煮だ　ソースと水煮トマトだ　塩をひとつかみ　……料理は女より男だ
　火星人だって　料理人は　きっと男だ　ほっぺた落ちるぞ」と言って、白ワインをかけると、鍋から炎がたち、嫁さんに「消せ」と言う。
この料理、すこし美味しそうだった。家で作ってみよう！　骨付きチキンですね。

フラスコは、レフティーのことを慕う。レフティーは彼を育てようと一所懸命になる。親子のような想いが通じ合う。

「ゴッドファーザー」のボス役も、この映画の下っ端やくざの役も、パシーノが演じています。
どちらも、血が通っている。

潜入捜査官という仕事は、重度のストレスがかかるはず。
彼は、たまにしか帰宅できない。料理を作っても、三人の小さな娘たちから無視される。
ひたすら掃除機を動かし、洗濯ものを干す。

組織の中で、フラスコは徐々に才覚を発揮し始め、レフティーより高い位置に登る。
そして、組織が摘発されるときが来る。
「その後」のことが、重要です。



★優れたサスペンスの要件「その10」

泣きたいとは思わないが、涙の出る映画は少ない。

実在の元ＦＢＩ潜入捜査官ジョゼフ・Ｄ・ピストーネ原作だけに、マフィア組織の内幕がかなりリアルに描かれています。
それにもってこいの俳優がアル・パチーノとマイケル・マドセンで、両雄とも迫力ある独特の声で迫ります。　部下役のブルーノ・カービイやジェームス・ルッソも抑えた演技でいい味を出してます。

ただジョニー・デップ演じるジョー・ピストーネ（組織潜入での偽名はドニー・ブラスコ）が、私的には‘イマイチ’で迫力不足。もっと腹の据わった強者役者が良かった．．．
家族との関係も必要以上に登場、妻役のアン・ヘッシュとの口喧嘩の多さにはチョット辟易気味でした。（こどもたちは皆可愛かった、３人とも女の子でしたね）

それにしても何年もの間、マフィアに潜入して仲間になりきるなど本当にできるものなのでしょうか。よくもバレなかったと感心します。