ロープ

物語を語るというよりも
完全犯罪を成立させることによって
自分たちを昇華させようとする人間の意識の怖さを
見せる映画。

でも絞殺される人って「ＡＨ〜！！」とは叫ばない気がする。

ラブァース様。また貴方のナワバリでうろうろしそうです。
トリュフォーもそろそろ抑えに入り、次はヒッチコック。
また　ゴチになります。(どっちにしても同じこと？)

１９２４年に実際に起きた「レオポルドとローブ事件」を題材にしたもの。
戯曲化されたのを更に８０分という現実時間そのまま映像にしているので
かなり都合よくテンポがいい。

この作品の内容を知らないで鑑賞して、楽しめた人はすごいなぁと思う。
私は内容を知っていたので、なんて説明不足な作品なんだろうと思いましたけど。

フリップとブランドンという同性愛カップルが、大学の講義で教わったニーチェの「超人思想」に
深い感銘を受け、それを実践しようと人を殺し、死体のあるその場所でパーティを開催し、
スリルや優越感に浸るというもの。
犯人が最初からわかっているので、謎解きではなく、単純にバレないかなぁとヒヤヒヤしながら
この２人の表情をただ見守るのです。
ですがこの作品で、彼らが同性愛だということは語られません。
ニーチェについても、彼らがどれだけ心酔しているのかもスマートな会話すぎて。。
映像特典でこれらに関することが語られていたので、それを観てやっと納得できる感じでした。

もともと同性愛、快楽殺人、現実時間、ワンリールワンカット、当時タブーとされてた要素をどこまで入れられるかなど
いろんな実験目的な映画だったので、内容はこのくらいにしたかったのかもしれないですが。。
そのへんを理解して観るととても面白い映画だと思います。

全編ワンシーンでリアルタイム進行という「実験的な試み」という触れ込みの映画。
「実験的」というとどうしてもクソ映画に成り下がるイメージがあったために
結構懸念してたんですが、なかなかどうしておもしろかったです。

何がよかった、ってまずその実験的な感じがなかったのがよかったですね。
テープチェンジのために背中とかを大写しにしてシーンをつなげたり…という
若干違和感のあるシーンはでてきたものの、
それが逆に「む、なんかの伏線か？」と疑心暗鬼にさせるあたりがナイス。（考えすぎ
「リアルタイム進行」という面は、「昼間の犯行」からラストは夜景になっているあたり、
ちょっと怪しいかなという気はしますが、ただ「全編ワンシーン」という作りのおかげで
何かをカットしてたり、裏で何かが起きてたり、というような類の問題は出てこないので、
非常にわかりやすい話になっています。
ワンシチュエーションもの的に言えば、「十二人の怒れる男」や
「12人の優しい日本人」を観ている感じにすごく似てました。
物語が会話と小道具、心理戦だけで展開するので、置いて行かれる感じがないんですよね。
それに事件自体も時代性を感じさせるものではないので、
かなり古い映画でありながら今観てもまったく違和感がないのが○。

ただ、展開的に少し違和感があるというか、
「ここは普通こうしないんじゃない？」みたいな面も若干見受けられたので、
突き抜けた良さはなかったかな、という感じ。
でもまあ、80分という多忙な現代人に優しい尺の映画なので、
軽くサスペンスでも観たいぜ、なんて時にはいいんじゃないかと思います。

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設定は部屋の中だけなのですが、いつばれるか、とドキドキします。後で考えると、イニシャルの文字が大きすぎないか、と思うのですが、そんなことも忘れてしまうほど、中に入り込めました。まるで、自分もその場に、いあわせているような。

哲学的殺人ですが、いつ見つかるかハラハラし通しでなかなか面白かった。
殺人を犯した後、堂々たる態度の人間と、嘘を突き通せない小心者と、対照的です。
シーンは部屋の中だけなので、舞台劇でやるととても面白そうです