エリジウム

前作『第9地区』で、南アフリカ共和国出身という自身の思いのたけを叩き付けたような熱い物語を作り上げたニール・プロムカンプ。前作ではSFというジャンルで地球に普通に在住するエイリアンの存在を人種差別に繋げたように、本作では貧富の差を主に医療格差として訴えているように感じられました。
しかし前作に有った煮えたぎるような熱さは薄まっていると感じました。ハリウッドの潤沢な資本のためか、初心を忘れ色気が芽生えたためか、ひりひりと焼きつく憤りをフィルムに叩き付ける勢いが薄れているんですね。
その分、計算された面白み(エリジウムの医療技術など)は加えられていますが、思いのたけを未熟ながらも映像化しようと苦闘した前作と比べると、やはり力不足は否めない。格闘技や銃器といった細かなアイデアはぎゅうぎゅうに詰め込んでいるのに(エリジウムに向かう個人コミューターにエットーレ･ブガッティの頭文字「EB」が有ったりする)、肝心のエリジウムや医療制度の説明がお座なりなので、筋書きに消化不良を感じさせる出来栄えとなっています。そして役者は、マットの使い方はまあ許せるとしても、複雑な内面を持つであろうジョディが実にもったいない扱いとなっているのもまた然り、力量不足を実感させられる作品なのでした。
でも、なぜか憎めない、全否定できない、味わいがあるんですわ。SF物としてはディストピアで筋書きに至っては自己犠牲とオーソドックスなのに、人道に訴えかけるところの正統派な作りと妙に「ジャパニメーション」な戦闘描写のミスマッチが、実にイマ風なので、それが新たな味わいを産んでいるのでしょうか。
これはマンガと映画の融合、「ヌーベルヴァーグ」ように全く異なるジャンルの融合のような新たな表現方式なのかもと、大げさなことも感じた作品です。

評価６６点(100点満点)
SF作品というものは当然未来の想定図みたいなものだからストーリーの整合性とリアリティーがあれば、設定そのものの矛盾は気にならないものだが、本作はそれが目についてしまう、
地球は人口増加で環境汚染が進みLAは地域全体がスラム化しており富裕層はエリジウムと呼ばれるスペースコロニーに移り住んでいる。
エリジウムの市民になるにはどんな条件が必要なのかはよく判らないがスラム化した地球とは違って緑あふれる素晴らしい場所みたい。まさしく究極の格差社会が形成されているのだ。
とりわけエリジウムには最先端医療機器が完備しておりそのカブセルの中に入るとどんな病でもたちまち完治してしまう。従ってエリジウムの住民は病気知らずということになる。
ヒーローはマット・ディモン扮するマックス、毎日ロボット工場での重労働、そのあげく致死量に達するレーザー光線を浴びるという不運な事故に遭遇、余命数日となればエリジウムに行って医療カプセルに入るしか助かる道はない。ならずもの組織の介入やエリジウムのシステム管理をしているアーマダイン社のCEOの脳内にある制御プログラムを移行したりといかにもSF的要素は満載なのだがマックスを阻止せんと攻撃してくるエリジウムの防衛隊の傭兵が何故か日本刀の達人。
そしてマックスは自分を犠牲にして地球の人々を救えるのか、でもなんとなくリアリティーに欠けるなぁ。
この作品の製作意図はSFアクションながら現在のアメリカが抱える医療格差や保険制度の問題に焦点を当てたものなのかもしれないなんて思ってしまう。

評判いまいちだったから借りるのもやめようかと思ってましたが普通に面白かったです。
「第９地区」の良さが理解できない人なので、比べたりすることがなかったからかも。

マット・デイモン、安定感あるなあ。
女の人も美しくて強くて好感度大。
子役の子がもうちょっとかわいかったらよかったかな・・。
ディエゴ・ルナは乙女な髪型似合ってた（笑）

ありがちな突飛設定だったけど、描き方が単純なのでわかりやすいです。
突っ込みたくなるところは多々ありますが、マットが真面目に演じてると真実味が増してたいしたことじゃない気がしてくるのはなぜだろう。

評価低めですが、単純にＳＦ娯楽作として映像も新鮮で楽しめました。
１１０分と短めなのもいいです。

今回はレビューとして書かない。最近のレビューは見るに堪えない。何を期待しているのか、自分の狭い偏った感性によってただ酷評してれば一著前だと勘違いしている。
見れば見るほど苛立つ。まともなレビューが書ける諸氏も、文中の一部に周りに媚びる様な酷を混ぜる。作品というものに対して、まず素直にすべてを受け止めて、そして
期待、希望など発展的意見が少なく、作品の精神性や訴えているものを深く理解しようとしていない上っ面だけの格好付けが多い。言葉も汚い！レビューは何のためにあるのか？悲しい限りだ。関係者も参考にならないレビューはもっと削除せよ。ただ埋めればいいのではない。そうすることでレベルは必然的にあがっていく。ユーザーに媚びないで
ほしい。

エリジウム（２０１３年・アメリカ、カラー、１０９分）

「エリジウム」とは、地球の上空４００キロの宇宙空間に作られた人工の居住地の呼び名。
そこは、どんな病気でも瞬時に治る医療ポッドが各家庭にあるという、まさに理想郷の場所です。ところがエリジウムの女ボスがとんでもない悪党で、ジョディ・フォスターが扮しています。その「エリジウム」に向かう青年がマット・デイモンなのですが、頭をツンツルテンに剃り上げ、妙な機械を埋め込んでいます。これは一体何なのか？ 脳内データがどうのこうのと、チンプンカンプンの映画でした。（笑）

２１５４年の地球は、深刻な環境汚染と疫病の発生により、多くの貧困者で溢れかえる荒廃した状態。一方、数少ない富裕層は地球の軌道上に宇宙コロニーを作り、完璧な環境で優雅に暮らしている。ロサンゼルスに住むマックス（マット・デイモン）は工場で働いていたが、通勤途中でロボット警官に因縁をつけられ腕を折られてしまう。仕事に支障をきたすので病院へ行くと、そこで幼馴染のフレイ（アリシー・ブラガ）と再会する。彼女は幼い娘マチルダを連れていたが、マチルダは白血病に冒されていた。翌日、マックスは工場で高濃度の放射能を浴びてしまい、余命５日の宣告を受ける。ショックを受けたマックスはエリジウムの先端技術に望みを求め、エリジウム行きを手配する闇業者スパイダー（ヴァグネル・モウラ）に接触する。同じ頃、エリジウムでは防衛長官デラコート（ジョディ・フォスター）がパテル総裁（ファラン・タヒール）の指示を無視し、クーデターを画策していた。

う〜〜〜ん、やっぱり全体的に面白くないです。
エリジウムを捉えた宇宙空間の映像や、エリジウムと地球との距離間も上手く描かれていて、映像はとても見事なのですが、如何せんハナシが軽いのですね。特に、エリジウムへの道筋をもっているという闇業者の男が出てきてからは、やたら「脳内データ」という言葉が何度も繰り返される。‘脳内データ’、なんやねん、それ！と思ってしまう。
地球からエリジウムへ行くには特殊シャトルで片道１９分、えらい近いなあ。

監督はニール・ブロムカンプですが、０９年「第９地区」はそこそこの評価があったと思うのですが、私は全く面白くなかった。今回は映像の美しさで救われていますが、やはり退屈でした。「第９地区」で主人公だったシャールト・コプリーが、本作ではエリジウムの傭兵に扮しています。ジョディ・フォスターの部下で、秘かに地球で住民の様子を監視している役でした。
爆弾の直撃で顔面がぶっ飛んでしまうのに、エリジウムの医療ポッドで即刻再生するのには笑いました。
荒廃した地球の映像に説得力があると思っていたら、撮影場所はメキシコシティの巨大なゴミ処理場だったのですね。

ジョディ・フォスターは７４年「アリスの恋」でおしゃまな少女を演じた頃は１１歳、本作出演時は５０歳でしょうか、すっかり貫禄めいてます。

ラストは滅茶苦茶のこじつけ感、ハッピーエンドを狙ったのがマイナス効果に感じました。
果たして実際に地球が２１５４年になっとき、病がなんでも完治する医療ポッドは各家庭に普及しているでしょうか？？？