こわれゆく世界の中で

※このユーザーレビューは作品の内容に関する記述が含まれています。

レビューを表示する

　いろんなことがあったなあ、と自分の歩いてきた道を振り返りたくなるような、そういう道のひとつのほんの一部分をご一緒させてくれる作品。

「誰とご一緒します？ 別にひとりじゃなくても良いのですよ。あっちにもこっちにも、ご自分を重ね合わせてみてくださいね。」
　そう映画は語りかける。でもとにかく安心して行こう。どの登場人物に自分を重ねても、誰もが、救われないことなどない。ただ、抱えるものか、傷か、穴ぼこかを、みんなそれぞれに新しく持ったり作ったりして、ぼくらが作品と共にご一緒する時間は終わるのだ。

　象徴的な場面があると思った。主人公の恋人リブの娘が、主人公の仕事場の建設現場で、建設資材の上で遊んでいるときにその建設資材が崩れてしまう場面だ。脆弱な足場の上にいると、突然その足場ががらがらと崩れ去ろうとする。ただそれに巻き込まれつつも、誰かに助けを求め、あるいは誰かが手をさしのべ、命が助かったのなら、なんとか明日へ希望をつながることが出来るだろう。

　世界がこわれ、その様相を変えていくこととはつまり、転んでもまた起きあがって新しい関係性の中で歩き出すこと。みんな長い道のりを歩いてきた。いま、たまたまここで、それぞれの道が交錯しあい、そしてまた（きっと素敵な）ぞれぞれの道は遙か続く、というわけですね。

「いろんなことがあるけれど、ハッピーで行けそうですか？」

暗〜い重〜い作品だった。

ジュリエットビノシュやジュードロウといったカリスマ的俳優が出てなかったら多分最後まで見るのはしんどいと思ったかもしれないな。二人の関係がスタートするのが唐突すぎるようにも思えたけど、アメリカ社会じゃなくてイギリス（ロンドン）の社会問題（移民問題、King Cross地区の開発計画etcとその背景）も垣間見れるところは見ごたえがある。

拾った表現：
A:I'm sorry.（ごめんなさい）
B:NO, I am sorry.(違う、私が悪かったの、ごめんね）
C:I'm sorriest.（一番悪いのは僕だよ）

sorryの最上級でこんな場面に使えるのは面白い発見だった。

レヴューの難しい映画です。
何がテーマなのかも良くわからない。
これといったはっきりとしたものは何も無いのに、やけに心に残る映画です。
決してそんな泣ける映画ではないはずなのに、私は何度か涙してしまいました。人と人のつながりは難しいんだなあ・・・
私が特に感じたのは同棲してるスエーデンの親子。
愛してるのに壁を作ってしまって、苦しむ姿が、なんともどーんと心に重くのしかかってくるのです。
サラエボからの移民の親子の方はわかりやすかったですね。
きっと、こちらの方の関係のほうが映画的には重きを置いてたんでしょうが・・・

何度か繰り返して見たい映画です。

なかなかしぶいテーマに切り込んだ作品だね。原作タイトル名がBreaking and Entering なので何を壊し、何に入っていくかよくわからないが、家族というものを仮に当てはめてみるとどうなるかな？

妻と娘は実に濃密な関係で夫はなかなか彼女たちの世界に入っていけない。それを夫が最後のほうで語っていた。彼女たちの輪の中に入っていけないと・・・・
そんな夫が窃盗犯の少年の母に心を奪われていくのもわかる気がする・・・・・
彼にとっては自分の居場所が家族の輪の中になかったのかも知れぬ。
そして少年の母にその居場所を見つけようとしたのかも知れぬ・・・

ジュリエット・ビノシュのとった行動もわかる気がする。やはり愛人より息子なのだろう。自分の息子のためにはどんな行動もとる・・・
ジュード・ロウの愛情にすがりながら息子を救おうとする執念に母と息子の絆の強さ、家族の絆の強さを再認識した。そして彼女たちも自分たちの家族の住む故郷に戻っていく。

最後の方で妻が抑えきれない感情を夫にぶつけるシーンから彼らの家族も新たな一歩を歩みだすのではないか？
私には夫がやっと家族の輪に入っていけるような気がする・・・・
でもこの解釈には自信はないが・・・・・・・

独断オススメ度　　８２　　　自分の解釈自信なさ感　９６

でも彼って相変わらず超ハンサムさんですよね。

不倫もの。。といっても二人は正式には結婚していないし、不倫相手の女性は寡婦なので、本来の不倫とはちょっと違うけど、全くタイプの違う女性に惹かれていく男心は判らなくもない。
女も小ずるく振舞おうとするが、結局ずるくなれないところが悲しい。結局好きな男のずるさは許せてしまう女って悲しいかな。。
そして、そう、母は子供のためなら命を張ります。
アミラとリブ、それぞれ問題を抱えた子供を育てながらも愛情を限りなく注いでいる姿に共感しました。二人ともステキな女性だと思う。
まあ、どこの国も女性の方がしっかりしている。。てか！