マネーボール

マー君が大リーグに行ったのと
フィリップ・シーモア・ホフマンが天国に逝ったのと（R.I.P）
そんなんで、そういや劇場でみたな・・・なんて

スポーツ映画、特に実話ベースのスポ根ものって
なんでこなに感動するんでしょうね♪
最近のものでも、『しあわせの隠れ場所』『インビクタス』『ザ・ファイター』
などなど、思い出しただけでも鳥肌ものの骨太ぞろい
公開中の『ラッシュ』も、サイコーに燃え上がりました！
スポーツ観戦するだけで熱くなるのに
その内側における、人生の軌跡を覗かせてくれるスポーツ（実話）映画は
わたしにとってはテッパンなのです♪

で、この映画

いかにも、アメリカ！な野球映画なのに
たぶん
観客を感動させるストライクゾーンはめちゃめちゃ広い
それはたぶん
娘の歌が、その内容も、挟んでくるタイミングも上手いこと
そして、ストーリー自体が
野球一色というより、「過去の呪縛からの解放」って部分が
どちらかというと大きいからかもしれません

栄光って、怪物だな・・・

そいつの人生を、喰っちまうことだってあるんだからな・・・

ホフマンのデ〜〜ンと踏ん反り返った監督姿も上手いし
なんといっても、ジョナ・ヒルが（笑えるくらい）ハマッてる♪

ドラフトとか、トレード合戦とか、そんなのに全く興味が無くても（＝私のことｗｗｗ）
めちゃめちゃいい試合を観た後の爽快感のような
そういうのを、目一杯感じさせてくれる映画ですね

見晴らしがとてもいい♪

ブラピがペッペペッペと紙コップにツバを吐くのが気になるけどねｗへへ
（噛みタバコは不採用でもよかったかもｗ）

これまで、色々な野球をテーマにした映画はありましたが、
これはちょっと変わり種の、野球そのものではなく裏側メインのお映画です。

長嶋巨人軍終身名誉監督が飽きるほど口にしていた「勝利の方程式」。
これは、多分、監督独特の第六感が優先されてた感があるんですが、
この映画での「勝利の方程式」とは『セイバーメトリクス』という、
ある意味、長嶋流とは全く逆の、科学的(？)数学的(？)統計的(？)に、
選手の能力を判定し、起用する。起用だけではなく、雇用、解雇まで…。
(長嶋監督もそこまで考えて起用してたのなら謝ります。
すみません。あまり詳しくはないもので…)

オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーン(ブラッド・ピット)という男が、
この『セイバーメトリクス』理論で、貧乏球団で最強軍団を作ろうと奮闘する話です。
しかも実話です。
そんな理論なので、選手は消耗品の様に解雇され、トレードされ…
となると、GMはもちろん異端児扱いされ、
当然、監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)とも衝突するのです。
しかし、イェール大学卒のピーター(ジョナ・ヒル)を右腕に、その理論を貫こうとする。
でもそれには、GM自身の境遇からなる哲学や信念があるからこそ。
その辺の描写が何とも絶妙で、普通なら単なる情け容赦無い嫌なヤツなんですが、
全くそうは思わせない、むしろ応援したくなります。
理論的なんですが、実はGMが一番感情を押し殺してるからでしょうか？　←なのか？

なんか一見眠くなりそうなテーマの映画ですが、最期までビッチリ釘づけでございました。
大満足の映画です。

ところで、序盤、劇中のテレビで一瞬マリナーズ時代のイチローが写るのでテンション上がっちゃったりします。
そんなイチロー選手ですが、最近はもろ『セイバーメトリクス』の中にドップリ漬けられているような気がするのが、
なんとも皮肉ですな。いや、それでもスゲーんだけど。

今まで僕の見てきた
ハリウッド製スポーツ映画の中では
白眉といっていい出来だと思います

ま、一種のサクセスストーリーではありますが
なんて言うんだろう、渋みがあって
大リーグの裏側！みたいな切り込み方もあり
スポーツ映画であると同時にビジネス映画でもある

楽しめました

ただ、例によってへそ曲がりが頭をもたげるんです

見るスポーツというのに決定的な不信感があるんですね
僕は

一流のアスリートがごく細いラインの上でどちらに転ぶか…というギリギリの競技をしている
それをショウとして扱い見る側は届きもしないレベルに自分を仮託して興奮し大声を上げる
ニッポンチャチャチャって

居酒屋でやったこともない競技の専門家のような評論をする
あそこで交代はないよな、監督采配ミスだねって

スポーツのキモは
指のマメがつぶれてボールの縫い目についた血の跡
こぶに突入したとき雪面から膝の関節を破壊しそうに伝わってくる衝撃
籠手を着けているのに腕に残る竹刀のあと
そんな瞬間にしか存在しないと
実感するのです

だからと言ってスポーツを見ること自体を否定はしません
でも見ることによってでしか成立しないスポーツは認められない

ショウビジネスとしてのスポーツの極致はオリンピックですよね
選手には感情移入しても
結果で一喜一憂はしない

選手に対してはこの上ないリスペクトだけです
猫ひろしも含めて

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当時、ア・リーグ西地区の雄にして貧乏球団オークランド・アスレチックスが大リーグ随一のお金持ち球団、ヤンキースに破れ、２００１年のプレーオフに敗退したところから始まります。

イチロー選手がメジャーに入ったのが２００１年、シアトル・マリナーズが大リーグ記録に並ぶ勝率をあげてぶっちぎりのア・リーグ西地区優勝を果たした年でした。
２位に甘んじたA’s（アスレチックスの略称）ですが、東地区のヤンキース、中地区のインディアンズより、勝率は高くワイルドカード※でプレーオフに進出しました。

※プレーオフは東・中・西地区の各優勝チーム＋ワイルドカード（勝率のいい２位チーム）の4チームでリーグ優勝を争う。その後ア・リーグ、ナ・リーグの優勝チームでワールドシリーズを行う。

当時のA’sですが、いい印象はなかった。映画ではフィリップ・シーモア・ホフマン監督を演じましたが、実際の監督は神経質そうな細身です。きっと架空の監督なんでしょう。
この監督、オープン戦のイチロー選手を見て、走りながらバッティングをするような選手はメジャーでは通用しないとはっきり言ってた（怒怒怒！）。
また、GMのビリー・ビーンもいいこと言ってなかったような記憶があります。

ざまぁみろと思ったのは、地元シアトルにA’sを迎えたイチローデビューの開幕試合。
当時屈指の左投手ハドソン（映画にも出てきました）にイチローは完全に押さえ込まれていました。
ハドソンが降りて、代わった投手から４打席目にしてようやくヒットを放つ。
ここからがアメリカのファンの野球感を変えたと言われるイチロー伝説が始まるのです。
A’sの監督、イチローは通用しないと言ったのは、内心の戦々恐々を隠すためだったんですね。
塁に出たイチローを気にするあまりピッチャーはストライクが投げられない。内野手も数珠繋ぎでエラーを重ね、結局、A’sは負けます。

アジアのわけのわからん野手に高額入札金１４億円を用意してイチローを獲得したシアトルですが、スター選手の移籍で、
翌年のA’sの状況よりひどいチーム状態で、下馬評はダントツのビリッケツでした。
この年、大リーグ記録を打ち立てる勝率を上げ、優勝するなんで誰が想像したでしょう。
統計学からみても、絶対、証明できないことだと思います。
翌年、A’sがリーグ記録の２０連勝を打ち立てましたが、これこそは統計学からみても、肉眼で見ても考えられることだと思います。
当時のA’sは大リーグ屈指の投手三本柱のマルダー、ハドソン、ジトといった先発投手陣がいました。
打撃陣も、若いテハーダ、チャベツといった生きのいい若い選手が仰山いましたから。

野球を知らない人間が考えたという統計野球のマネーボールは確かに驚きました。
私は古いタイプなので、野球は知らなきゃ！と映画を観ても思ってます。

しかし、グランドの監督とは別に、各球団とも新しい感覚の優秀な人材のGMを求めていることは確かです。
今年、ダルビッシュ投手が行った、レンジャーズはこの数年の西地区の雄です。
万年ビリチームからここまでにしたのは監督ではなく、６年前に最年少でGMに就任したジョン・ダニエル氏の力があってこそです。
近代野球、球場も道具も新しくなり、パソコンは必需品。唯一残っている職人肌の監督もなくなりつつある時代なのかな？
そしても、マネーボールのために各球団とも、選手の売り買いなど、野球以外でも頭の切れるGMの必要性に迫られているのでしょうかね？

すみません！
映画は意外と地味な作り方でした。この頃の大リーグ知っている私は堪能させていただきました。
ブラピも、年は喰っても相変わらず華がありました！

わたしの中でブラピって、ただのハンサムボーイだったんですが、『イングロリアスバスターズ』で俄然すきになって、この『マネーボール』で
「ああ、ほんといい男。」
って、心の底から思いました。
なんかちょっと、ぷくぷくしてて可愛いところもすき。


以前、戦力外通告を受けた野球選手の生活を静かに追ったドキュメンタリーを見たことがあって、それを思い出しました。
ほんとに電話１本で人生が決まるっていうか、着信音が鳴った時の緊張感がすごくて。
あのシーンは、じぃーーーんときましたねーーー。

今からユニホームが変わる男、今からユニホームが着れなくなる男、若くしてものすごい大きなプレッシャーを背負わされ、つぶれた男の苦しみ。
ゆっくり築き上げる余裕なんて与えてもらえないんだなって。
それがプロなんだなって。

娘の歌には、ブラピといっしょに「ワーオ。」と感動しちゃった。