アマデウス　ディレクターズカット

役者の魂をも吸い取る、まさにモーツァルト評伝としては決定版ともいえるでしょう。Ｆ・マーリー・エイブラハムは、サリエリ役としてオスカーまで受賞しながら、その後あまりにイメージが浸透しすぎて、その後は正直いって？？？な役者人生ですし、トム・ハルスなんか「アニマル・ハウス」出て派茶滅茶やっていたのに、モーツァルト役を射止めた際にはその驚きの出世と、実際に映画の中での快演ぶりで、その後が楽しみな役者さんだったのに、今はいずこ。ミスキャストという前評判を打ち破り、いずれも一世一代の入魂の演技を注ぎ込んだ二人の役者が、いつまでも色褪せない命をこの映画に与え続けています。実際のサリエリは、この映画で付いてしまったイメージを払拭させようとする有志が、彼が遺した曲を再評価しようという人々によって、現代に再びその調べを奏で始めているようです。

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クラシックに詳しいわけではない私ですが、始まりから音楽の壮大さにグッときました。サリエリの神父への回想と告白で物語が進み、そこにモーツァルトの曲が山盛りてんこ盛り。物語をドラマティックにする役というより、当然言えば当然ですが音楽が前面にある作品。「うあ！今の曲なんて曲だろう？」という瞬間が何度もありました。
知っている人は知っているというモーツァルトの「才能と、振る舞い・容姿等の不一致」を見事にトム・ハルスがやってのけてました。あの高笑い、うーん・・・夜中聞こえてきたら震えるわ。
物語では「私が殺した」とサリエリが言うけど、殺したとまで言うほどではなく・・・。このサリエリのクソ真面目さが、またここにも。実際、このサリエリが自分で、あのモーツァルトを目の前にしたら、腹が立つと思いました。天才って、こーいうもの？
やたらサリエリが不憫に思えてしまった。誰よりも才能に気付いた彼、後世になって本当に有名になる天才に気付くということは、かなり凄いことですよね。
最期なんて、少し分かり合えかけてた。
神を強く信じて、捨ててもなお、彼は彼の中の神に取り憑かれていたようです。
映画の中と私の中でも、どんどんサリエリの悲哀が沈殿していった。
噂どおり長いですけど、おもしろかったです。

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禁欲主義者であるはずのサリエリがスウィーツを盗み食いしているとモーツァルトがあらわれコンスタンツェに「ここはすべてさかさま」といって逆さ言葉を連発する。
禁欲であることによって偉大な作曲家であろうとしたサリエリがコツコツと築き上げてきた世界を下品で無礼で好色な小男の道化師がいともやすやすとひっくりかえしてしまう。
これではサリエリでなくとも誰だって打ちのめされてしまうでしょう。
けれどもこのストーリーを嫉妬にかられたサリエリの復讐劇というような卑小なものとは思いたくない。
汚物が清らかなものに、下賤なものが高貴なものに置き換わる「逆の王国」のカーニバル的バカ騒ぎのあとしまつにスケープゴートとして焼き捨てられるわら人形にモーツァルトをみたてることはできないだろうか。
その意味においてこの映画は「カッコーの巣の上で」のヴァリエーションであろうとおもう。
フランス革命という逆の王国が現実のものとして進行中にこの稀代の道化は穢れたものとして埋葬されたのだ。

映画館で観て、ビデオにダビングして擦り切れそうな程観て
DVDも買って観ました。

モーツァルトをここまでおちゃらけにしてくれて
始めは戸惑いましたが、真剣な時のまなざしや苦悩が
手に取るように伝わってきました。
慣れてくると、あの笑い声が楽しくてたまらないです。
子供の頃に読んだ伝記の本、あれはいいとこばかりだった。

私はサリエリ派なのです。彼もそれなりに独特の
あたり障りのない愛らしい曲を作曲していたけれど
相手が悪かった。

DVDでディレクターズカットを観たのですが
カットの多さに驚き。
ここはカットすべきではないだろう場面も多々あり。
後につながり納得するシーンもあります。

モーツァルトといえばマリナー・アカデミー室内管弦楽団ですが
選曲が最高です。良い演奏でこうも使われていたら
クラシックをあまり聴かない人でも長時間飽きさせない。

サリエリと話していくうちに、神父さんの表情が
様々に変化していくのもいい。

セリフも覚えてしまう程観た作品です。
最高！

デレクターズカット物だと知らずに観た。だらだら長くなってしまい大傑作が台無し。残念！