サムサッカー　１７歳、フツーに心配な僕のミライ

大人でも子供でもない、中途半端な年齢の青年が心に抱えている不安と、
彼の心の成長を、家庭・学校・恋人といった身近な場面で描いた作品。

よく、繊細なタッチで描いた、と解説にあって実際はそう感じられなかったりする作品も多いけれど、この作品で描かれる青年の心の変化には、しっかりとそれが感じられた。

ストーリー展開も、だらだらせずにまっていて、丁寧に作られていると思う。
キアヌ・リーブスは風変わりな町の歯科医 役で、お香でも焚くんじゃないか的なその役は、物語の中心にはいないがしかしいい味を出している。

期待しなかったからか、意外とおもしろかった。オススメしたいです◎

この作品の主人公ジャスティンは１７歳高校生。
でもなぜか、幼児のように親指を吸う癖が抜けない。
あせる両親。
本人もやめたいと思ってはいるけどやめられない。
一般的に指しゃぶりは欲求不満とか不安からの逃避というような解釈をされているのではないでしょうか。
このジャスティンも、どうやらそんな範疇でくくることはできそうなのです。
さて、しかし、何が不安なのかといえば・・・
それは誰もがその年頃なら必ず持つ、将来への不安。
自分は何者なのかという不安。
皆に認められたい、彼女にもよく思われたい・・・。
けれども、なかなか、現実は思うようにはいかない。
そのギャップを指しゃぶりで埋めている。

昔フットボールの選手だったが、怪我でその道を断念しなければならなかった父親。
テレビの人気俳優に夢中の母親。
会うたびにいろいろな手で、ジャスティンの指しゃぶりに干渉しようとする歯科医。
なぜかいつもさめた物言いの弟。
・・・。

ストーリーが進む中で、ジャスティンは、
周りの大人たちも、やはり同じようにさまざまな悩みや不安を抱え、自信がないのだということを知り、
ありのままの自分を受け入れることになるのです。

つまり、ジャスティンの親指しゃぶりは、ひどく目につくけれども、
本当は、他の人たちも皆多かれ少なかれ、満たされないものを癒すための代償行為、
見えない親指を吸っているのだ・・・と、そんな風にいえるかも知れません。
でも、それでもいいじゃない？と、この映画はやさしく語っているのです。
かっこつけて、指を吸うのをやめなくても、ありのままの自分を認め合おうよ・・・と。

キアヌ・リーヴス演じる歯医者さんが、なかなかユニークで面白いのです。
それと、自分の悩みは何なのか、きちんとその正体を把握できてる弟くん、彼は実はとても大物なのでは？

なんともとらえどころのない映画だった。

なかなかつかみきれない主人公の気持ちや家族・仲間などとの関係をようやく捕まえたかと思ったら、スルリとかわされて置いてけぼりにされてしまう。一見わかりやすいようで、ようわからん。１７歳の不安定な気分なのか、ＡＤＨＤの症状なのかはわからんが、とにかく主人公の気分がとらえられそうでなかなかとらえられんし。さらに言うと、主人公の母親に対してもそうだし、父親に対しても、怪しげな歯科医に対しても、同級生の女の子に対しても。なんやねん、こいつらは、ってつっこみを入れたくなる人たちばかりが出てくるわけで。

ただ、そんなつっこみ気分満載の内容ではあるんだけど、別につまんなかったってわけでもなくて。その理由はきっとこの主人公家族が気になって仕方がなかったからなんだろうな。この両親のスタンスとかが。

友だち親子って感じでもないし、とは言っても激しい対立があるわけでもないし、だからって単なる同居人って言うほどクールな関係でもなくて…息子への父親の発言も、もはや誰に言ってるのかわからんような感じだし。オレ的には、そんなようわからん家族が気になって仕方がなかったわけで。結局よくわからないまま終わったんだけど。

観ながらちょっと『天才マックスの世界』を思い出したんだけど、比べるつもりはない、つうか比べちゃうんだけど、結局はもっとユーモアが欲しかったってことかな、と思ったりした。

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この映画のおかげで、ザ・ポリフォニック・スプリー“The Polyphonic Spree”というミュージシャンを知ることが出来た。
polyphonic＝多声の、というだけあって、声がたくさん重なってるふわふわ・ぽよぽよな音楽が映画中にええ感じで流れている。

流れる音楽の声はたくさんだけど、主人公の家の中は倉庫の中までもがスッキリしていて生活感がない。思春期とは、生活の実感が無いものなんだろう。関心が自分の内へ内へと向かう。夢を捨てた父親、夢見る母親、どちらも受け入れられないでいる。好きな人からは受け入れられないし、自分でも自分を許せない。親指を吸う自分も嫌だし、吸わなかったら吸わなかったで問題がある。四面楚歌、八方塞り。

一番家族のことを思っているのは弟君で、『イカとクジラ』と同じで兄弟の関係っていいなぁと憧れた。

今思うと、なぜ答えの出ないことを探してわざわざしんどい目をしていたのかなぁ。あの頃には帰りたくない。開き直った今の方が生きやすい。

なんか変なタイトルと、あらすじが面白そうだったので、楽しみに観たら・・・なんだ、普通の思春期物語やん。そこに、親たち大人も悩むんだというところを絡めてという作品でして、悪くはないんだけど、なんだろう、平凡なんです。人生のすごい示唆があったりとかそんなもんはなく、「まぁ、あるだろなぁ」というようなふんわりとしたような感じの物語。

薬を飲んで変わっていくあたりは、さぁここから何かが起きるのか！！と思わせたのですが、そんなことはなく、淡い青春、思春期の物語でした。まっ、たまにはこういうのもいいかなぁ。がっつりドラマがあるのばかりが人生っていうわけではないんだからね。