ミュンヘン

ヨーロッパが舞台だとなんとなく暗い画になりがちです。
そんな舞台で話はものすごく重たい。
自分の中の正義で人を殺すことを請け負った時には、こちらは正しいことをしているのだから、狙われるとは少しも思い至らないものなんですね。
自分、もしくは愛する家族が狙われるのでは、という恐怖で初めて、あちら側も自分と同じ気持ちで、彼らの正義で行動しているのだと気づく。
そしてこの連鎖には終わりがないということに。
空しいです。
今も争っている為政者たちにこそ、この映画を見てほしいです。

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まず、背景の歴史観を書きましょう。

昔々、ユダヤ教を信じる人たちが、今のイスラエルのある辺りに住んでました。例えれば、アメリカにインディアンが住んでて居たのと同じ感覚です。

ただ、中東は歴史が深いので、何処の年月で、そこに住んでいた人に永住権があるかは別問題です。

アメリカだって、武力を持って、インディアンを排除し、今や
大量のお金をばらまいて、うやむやにしてます。

話を戻しましょう。そのイスラエル人達は、その地を争いに敗れ、パレスチナ人達が住むようになってました。

これは世界史で調べてください。

で、第２次世界大戦の時、戦争に負けそうなイギリスとロシアが、アメリカに参戦してくれと頼んだわけです。

アメリカにはユダヤ人が沢山権力とお金を持って住んでいましたから、「ユダヤ教を信じる私たちの国をパレスチナ人が住んでいる地に作ってくれば、戦争してあげます」と約束をしてしまいました。

第２次世界大戦で、アメリカは大きな力を持って、日本とドイツイタリアを攻めました。

ご存じの通り、連合軍は勝利を収め、イスラエルという国が出来ました。

元住んでいたパレスチナ人達は国を追われ、難民キャンプに今も押し込められているのです。

偏った歴史観かもしれませんが、簡単に言えば、上記のような感じですね。

日本だって、アイヌを追い出したり殺戮したりしたはずです。

戦争とはそういうものです。

それで、スピルバーグはユダヤ人です。

全体的にはこの映画はユダヤよりに(イスラエル寄り）にかかれてます。最後は何とか中立を保とうと、頑張ってますが・・・。

日本ではこの映画の時は、「頑張れ日本、男子バレー」一色だったのを覚えています。

一杯人が殺されたんだって！とちょっと話題になったぐらい・・・もちろん新聞では書き立てられてましたが、

オリンピックの他の競技の結果に紛れてしまうぐらい・・・もしかしたら、情報操作があったのかもしれませんが(きっとあったのでしょう）私のつたない記憶では、オリンピックが終わって、
その悲劇に記憶をとどめていた人は少ないと思います。

頭の中に常にあった問題ではありますが・・・。

映画としては５０点。でもスピルバーグが、しっかりと中立の意見を表現している(最近のスピルバーグにしては・・・って事ですが）それなりに評価できると思います。
映画を楽しめるかと言えば、若い方々には、楽しめないかもしれませんね。今も・・・そしてこれからもずーっと続く戦いです。
私はぞっとしましたが・・・。でもやはり５０点です。お暇な方はどうぞ。

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ミュンヘンオリンピックのテロというのは私には実感味が無い。というのも生まれる前の出来事だからだ。違って9.11テロはリアルタイムでありフセインの処刑も記憶に新しい。スピルバーグ監督がユダヤ系であることからこそのミュンヘンテロの題材なのだろうか。プラス30数年前からもテロの報復連鎖は止まらない事への強いメッセージなんだろうと考えた。
ただ映画として実感味のない私のような人間にしてみればドキュメンタリーとして弱く感じ、主人公の立場から見て人間としての葛藤部分は心理描写も少し弱く感じた。
両方を取り入れようとしてどっち付かずになり、今ひとつ訴えてくるものが足りなくて残念に思う。
ただメッセージとしてはとても良い。どちらが悪で正義かというのは特定せず曖昧だが、それが戦争がテロが起こる引き金になるのであるからと。宗教・人種・それぞれの歴史、環境によって考え方は違うのだからと。

160分と長かったので、私は休憩を挟みながら観たんですがそれでも引き付けるのは流石。映画として個人的評価は高い訳ではないのですが、多くの人に観てもらいと思える作品ではあります。

ロードムービーぽい。
映画として快適にできてしまっている。
風景やカットがいちいち美しい。
主人公のエリック・バナがかっこいいのが悪い。
製作者が映画を美しく作る手段を適用してしまってるのが間違い。
映画体験として非常に快適。
楽しく見れてしまう。
それは駄目で、こういう映画はもっと苦しくないといけない。
主人公の苦しみをもっと全編に反映させるべき。
食べやすく作ってしまっては駄目なのです。

現実世界の理不尽さや残酷さを描かないと。
今のままなら「あー、テロってこんなもんか」くらい。
反テロの意図があるとしても、ぜんぜん感じられない。
出来事がリアリティを持って迫ってこない。
この題材って製作者にとって実感のない出来事なのでは？
学生が作る映画みたい。

この手法で映画を作りたいなら題材が違うし、
この題材で映画を作りたいなら手法が間違っている。
（シリアスな映画での）アンビエント反対！
なんでも同じやり方が通用すると思わないでください。

国家のため暗殺者となった男。やがて自分自身も暗殺者に狙われる様になり、最後には信奉していたはずの祖国さえ信用出来なくなる・・。

木星の重力並みに重いテーマ。疲れるし、見て面白い物でも無いのだけど、嫌いではない映画だ。私はスピルバーグに「エンタテイメントの巨匠」のイメージを引きずっていたが、年齢と共に変質している事を今更ながら確認した。考えてみれば当たり前の話なのだが。

スピルバーグのユダヤ物なので完全なイスラエル贔屓かと予想したが、そうでもない。確かにこれならイスラエルからもアラブ諸国からも煙たがられる作品だろう。ただ物語のスタートがミュンヘンオリンピックでのテロから始まっているので、それに対するイスラエルの行動が批判されるべき物だとしても、彼らのみが被害者である様に見えてしまう。

現在も続いているイスラエルとパレスチナおよびアラブ諸国との衝突はこの事件で始まった訳でもなく、現イスラエルが国家として創設された時から、更にはユダヤ人のパレスチナ入植が始まった時から、そしてそもそもの発端ば恐らく紀元前の古代イスラエル王国の時代にまで遡ってしまうだろうから、どちらもが被害者であり加害者だ。ニワトリとタマゴはどちらが先かと同じで、先に手を出したのはどちらかなんて分らない。

劇中でダニエル・クレイグ扮する人物が「ユダヤ人の血が守られる事のみが大切だ」と言う意味の発言をするシーンがある。アップになる彼の顔。金髪に青い目。「金髪に碧眼」はアーリア人の優性種としてヒトラーが奨励したパターンだ。恐らく狙ったショットだろう。

歴史は強者と弱者を入れ替えながら、同じ事を繰り返す。