春が来れば

終始淡々と物語はすすみ、これといった事件もなく、クライマックスらしきものもないのですが、なんかいいです。
冬の寒い間に、遠くに見える春をまつように、少しづつ心の再生をしいくさまが、私は好きです。
そしてトランペットの奏でる音色が映画を盛り立てて、心打たれます。
私はけっこう好きです。この映画。

簡単にいうと韓国版『スウィンガールズならぬ中学生ボーイズ』
と吹奏楽部の『金八先生』が合体しま〜すみたいな…お話です。
ただし、すごく地味〜ですが。

頑固な中年独身男が田舎の中学吹奏楽部に講師に行って
少しづつ、人々にふれあいながら、変わっていく…
生徒や父兄、住民達との交流を描いた作品です。

テンポはゆっくりです。それなりに事件もありますが…

私は、途中で何回も寝てしまい４度目でやっと最後まで
見終ることができました。

最初はむっさいおっさん二人が出ててつまらないので
やめかかったんですけど…。

中学校に行くまで早回しで飛ばしちゃってもいいかも…
（眠くなっちゃう人はですよ…）

出る人出る人、皆どこかで見たことある人ばかり…。
見終わってみれば、評価★★☆☆☆は厳しいですよ！

★★★☆☆でもいいです。
だって、このむさい親父、格好よくなってましたよ！
ラストのほうは…。

夢はオーケストラのプレーヤーになること。現実はカルチャーセンターの講師。それでも夢を捨てきれないヒョヌ（チェ・ミンシク）は毎年オーディション受けるが思うようにはい行かない。恋人とも何となく別れてしまい、心機一転田舎町の中学校で吹奏楽の教師となる。子ども達や、町の人たちとかかわりを持つ中で彼の荒んだ心が癒されていく。こんなストーリーです。
二時間の間、スリルもサスペンスもハラハラドキドキも何も無いまま、淡々とまるで今そこに起こっている現実のようにドラマは流れていきます。台詞やアクションで主張を押し付けるのではなくあくまで自然体でハートに語りかけてきます。まさに演技派チェ・ミンシクのなせる業といえるでしょう。
ラストシーンは新たなドラマを予感させるような感じで、妙に納得してしまいました。
切ないラッパのメロディーがドラマの余韻を楽しませてくれる良作だと思います。

呉大秀（オデス）ことミンシクは、一生「オールドボーイ」の呪縛から解き放たれる事は無い。「親切なクムジャさん」でも顕著であったが、今作でも台詞やセットに「オールド」からの引用が見て取れる。つまり私は何が言いたいのかというと、それ位「オールド」は素晴らしい、てか、人類がこの先何億年生き延びようが、アレ以上のモノは生み出せないのである。あれっ？

韓国きっての演技派。殴られ役を演じた『クライング・フィスト』のレンタル開始も間近。かの『オールド・ボーイ』で心身共にヘトヘトになった後、選んだこの作品。力まず自然体で、中年になっても芽の出ない演奏家。恋にも、お金にも縁がない。それでも夢は捨てれない？田舎中学の吹奏楽の顧問になるが、これがなかなか芽が出ない。

映画の流れも淡々と穏やかに、ちと退屈さを感じる位。かのホ・ジノ監督作品『八月のクリスマス』で助監督してたリュ・ジャンハ監督作。炭鉱の町に暮らす人々の日常が静かに、優しく描かれて行きます。おばあちゃんと二人で暮らす生徒ジェイルを演じたイ・ジェウン。どこかで見たな〜と。そう『殺人の追憶』の少年役、『大統領の理髪師』のマッシュヘヤーの息子だ！
さすがに良い味出していました。ちょっと成長したかな？

中盤までは、盛り上がりも少なく、途中で投げ出したくなってくるかも。お話の展開は、よくある話でもありますし。それでも、微かな心の機微が、微妙な余韻となって残りそうな１本でしょうか？
物足りなさが、これまた味わいかな？とも感じたりしました。
春が来れば、きっと新しい夢や希望に向かって進めるかも？