ヒトラー　最期の１２日間

ヒトラーの登場する映画を見るたびに思う。
ソクーロフの映画では子供のように無邪気だった。
「アドルフの画集」では純粋な若者だった。
本作ではしかしカリスマの面影はなく
ぬけがらのようだった。
独裁国家の最期とはこんななのかと衝撃をもって見た。

もうひとつ思ったのは
ドイツの戦争映画と日本の戦争映画は全くコンセプトが
違うんだなということ。
日本の戦争映画はほとんど被害者の視点で描かれている
ように思う。
徴兵されたから死にに行く、とか
一般市民なのに犠牲になった、とか。
もちろんそれはそれで戦争の悲惨さと平和の貴さを訴えるという
意味においてとても重要だとは思う。
ただ、ドイツの映画はそれとは違って
そのとき何が起こったかを極力冷静に客観的に
語っているようだということ。
そういうふうに歴史を振り返るのはとても勇気のいることだと
思う。

戦争と向き合うというのはどういうことか、と深く
考えさせられる作品でした。

5,000万人の戦死者を出し数百万人のユダヤ人を虐殺したエキセントリックな狂人じみた一人の男に人間らしい優しいところがあったなんて今更知って何になるのか。いや人間であった故の狂気の沙汰であったと言いたいのか。
そしてこの独裁者だけではなく、出てくる皆が狂っている。何も知らなかったと言っているこの秘書やいたいけな子供たちまで。そんな者達の人生の終焉を延々と２時間半も観させられた。
この映画の存在価値とは？反戦映画になっているのか？



因みに先日のテレビでの情報。授業中日本ではよく手を挙げたりするが、ドイツでは禁止されているらしい。（兵士たちのあのポーズを観て思い出した）

ずっと気になっていてキープしていた作品。
ラヴァースさんのレビューでついに鑑賞することにしました。
ドイツが作った映画だから、やはり「国民が自ら選んだ運命だから、自業自得だ！忘れるな！」がテーマだったのではないでしょうか。
一般市民も、兵士も、負けることを疑わず戦った。
錯乱したと思わざるをえないヒットラーをだれも排除することができなかった・・・
自業自得！
ナチの陰謀はあったにせよ、ヒットラーは一応選挙で政権を獲ったのですから・・
大日本帝国とは違います。
（ひどい政府に従ったから日本人も自業自得か？）
想像以上に重い映画でした。
戦争を知らない世代にとって肝に銘じなけばと思いました。

ヒトラーの個人秘書に選ばれたユンゲの視点で、「ヒトラー像」が描かれています。
「ヒトラー〜最後12日間〜」という邦題からもわかるとおり、
ヒトラーの人生としてはかなり佳境になったところからお話がスタートします。
ドイツ軍は連合軍に追い詰められ、かつては栄華を誇ったであろうナチの翳ってゆく姿が満載です。

だけに！ヒトラーが上り詰めてゆく様を事前にもっと勉強しとくべきだったと後悔しました。
実は普通の人なんだなあってのがわかるんですけど、
こんなふつうのだだっこみたいなおっさんが、なんであんな強大な権力を
誇示するまでに至ったのかっつうところは、まったく描かれていません。
そこらへんを抑えてから観たほうが、深いと思います。

戦争って悲しいね。
始まっちゃったら、一部の人間のエゴや見栄だけで、
たくさんの命が奪われてしまうんだもの。

2005年(ドイツ/イタリア／155分)

第二次世界大戦でドイツが降伏する1945年5月9日までを、
ドキュメンタリーで描いた実録的映画です。

ヒトラーが自決する4月30日。
ヒトラーが最後に隠れた巨大な地下要塞での様子がつぶさに語られます。
戦況が悪化して敗戦が濃厚になってからのヒトラーは、
弱気一方で楽に死ねることしか考えていない。
毒薬を含んで、すぐさま引き金を引く・・・その毒薬の効果を試すために、飼い犬に毒薬を飲ませて試験するなど、最後の最後まで卑劣です。
この映画はヒトラーの女性秘書で奇跡的に生き延びたトラウドゥル・ユンゲの証言を元にしている。
2005年公開当時は、この映画の公開自体が大きな社会現象を巻き起こしたそうです。
と言うことは、知られたくない事実であり、多くの庶民が知らなかったことを指すのか？
名優ブルーノ・ガンツのヒトラーはなかなか人間的で、じっと女性の目を見て話すなど、とてもソフトな印象です。
こんなところでヒトラーの人間的な一面を見せられても困惑します。
155分と長く、自決シーンが多く暗い映画でした。