ミッドナイト・エクスプレス

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キャリア前半にかなり破天荒な言動で物議を醸しながらも話題作を放って名匠になったオリバー・ストーンの評伝。彼の生い立ちにベトナム戦争は絶対欠かせない。代表作「プラトーン」が大成功したのは間違い無く彼自身が従軍して生死を賭けた現地での実体験がベースになっているからだ。この辺りの彼が世に出る前に経験したベトナムに従軍した経緯はこの本にかなり詳しく書かれている。彼は裕福な家庭で育ったが両親が離婚して人生の方向性が定まらない中で大学を中退して第ニの故郷とするアジアに関心を持って放浪し、書く事に熱中していく。そして自ら志願して入隊する。ここで彼はあの映画のモデルになったウイリアム・デフォー演じるエリアス軍曹とトム・ベレンジャー演じるバーンズ軍曹に出会う。負傷して勲章を貰って帰国した彼は多くのベトナム帰還兵と同様に心に深い後遺症を残していた。従軍以前から彼はマリファナ、LSD等をかなり吸っていて帰国後も更に吸い続けて映画の脚本を次々と書いていくのだが、ニューヨーク大学フィルム・スクールにも入学する。その時の教授にマーティン・スコセッシがいたそうだ。ストーン「スコセッシには大いに助けて貰ったよ。あのエネルギー、映画に対する深い愛情を見てオレは真剣になった」ストーンはホラーや西部劇等６年間に１１のシナリオを書いて一部で注目された時もあったが芽は出なかった。もう３０歳になろうとした時、愈々彼はベトナムについて書く決心をする。ストーン「オレがあのシナリオに取りかかれるまで８年かかった。それ以前は正面から取り組む事が出来なかった。８年で随分色んな事を忘れてしまった事にオレは気がついた。「もし今やらなかったら忘れてしまう」って思ったんだ」2，３週間でシナリオは完成した。最初に「セルピコ」「狼たちの午後」を製作したマーティン・ブレグマンから連絡が来る。シナリオが気に入ったそうだ。ストーン「オレは突然、別世界に入った。オレはアル・パシーノに会った。あいつはオレのシナリオがえらく気に入った、って言っていた。そして、がんぱれよ、って言ってくれた」ところがブレグマンは製作資金の手当てが出来なかった。ブレグマン「あの頃はまだベトナムはタブーだった」脚本は注目はされたのだが、皆拒否してきた。ストーン「少なくとも１００回は突き返された。最後は必ず「マジで映画化出来ると思ってるのか」って聞くんだ。みんな、出来っこないって思っていた」ここでコロンビア映画は「プラトーン」の製作には興味を示さなかったが作品のパワーと情熱は認めていた。当時製作にかかろうとしていた「ミッドナイト・エクスプレス」の脚色に必要なのは正にこの様なライターだった。自らの監獄経験を生かしてストーンはシナリオを一気に書き上げる。この時、ブレグマンから連絡が入って「プラトーン」の製作資金は集められなかったが別のベトナム映画をプロデュースしようとしていた。それで、ストーンにシナリオを書かないかと言ってきた。この作品はパシーノが興味を示して、ウィリアム・フリードキンが監督をやりたがっていた。後に自ら監督する事になる「７月４日に生まれて」である。一方「エクスプレス」はマルタ島で撮影されていた。ストーン「(監督のアラン・)パーカーはいつもオレに冷たかった。だけどアイツはオレのシナリオは完全だって言ってたんだぜ。アランと(製作の)デイビッド・パットナムは作品のトーンをおさえろ、ってかなり言われてたんだ。二人ともはねつけたよ。オレのシナリオで撮影する為に戦ったんだ」しかしパーカーとパットナムがストーンと距離を置いた理由は別にあった。関係者の証言が載っている。「オリバーは言う事、やる事がメチャクチャなんだ。あの頃、オリバーはある女性のストーリー・エディターに会った。彼女はオリバーに自分の意見を言うことになっていてビクビクしていた。彼女は「あの、失礼ですが」と言った。あいつ、ノートをじっと見て何かモグモグ言っているんだ。彼女は理解出来なくてもう一度聞いた。オリバーはまたモグモグ言った。彼女は「何でしょうか」とまた聞く。又同じ反応なので又、彼女が「え、何ておっしゃいました?」するとオリバーは答えた。「オレ、あんたとヤリたくてたまらねぇんだ」そりゃ彼女はショックを受けたさ。最近、この話をオリバーにしたんだけど、全く憶えていなかった。だけど否定はしなかったよ」お騒がせ男の面目躍如である。当時ハリウッドでオリバー・ストーンという名の新進ライターにまつわる、かなりの数のゴシップが飛び交っていたそうで片っ端からドラッグにも手を出していた。LSD、コカイン、何でもありだったそうだ。当時のガールフレンドのひとり「あの頃のオリバーは１００万人は関係してたわね。あんまりフラれた事って無かったんじゃない」

真実を基にして作ったとのことですが、映画的な衝撃的な話になっております。こんなことあるかいな、でもトルコだからなぁ、って思ってしまう。まぁ、思わせたら勝ちですな。

まぁ、覚悟のないアホな子が、牢屋に入れられて悲惨な目に合いましたよ、っていう話です。脱獄モノなんですが、苦労して苦労しての割には最後が・・・まぁ、そういう終わり方しか出来んかったんだろうけど、ちょっと達成感、爽快感はなかったですね・・・

面白さ：★★★☆☆
（だんだん引き込まれて、退屈せずに見られた。ただ、自分からどんどん落ちていってる感じがして、主人公にあまり共感できず、醒めた目で見てしまった）

対象年齢：高校生以上（残酷場面あり。Ｈな場面あり）

食事中に見られるか：無理

見たいと思いながらチャンスがなかったのですが、今回借りました。
初めての視聴で、その感想を書きます。


最初は、「とっつきにくい映画だなあ。」と思って見てました。
トルコが舞台で、何か寒々しい映像なんです。
トルコ語もわからんし、回教の旋律も不気味だし、ゴミゴミしてるし。
一種異様な雰囲気があるような気がして、重苦しかった。

主人公が置かれている立場も、これまだ尋常ではない重苦しさ。
「おお、窒息してしまうそうだ。」と、中々ヘビーな内容でした。
でも、それが何とも言えない雰囲気をかもし出していて、
見終わる頃には、画面に釘付けになっている自分がいました。

序盤、この主人公のとった行動を批判的な目で鑑賞していました。
「フン、自業自得だな。」と。
でも、段々に理不尽な目に合わされていく主人公が、
可愛そうで切なくなっていきました。
聞く所に拠ると、実話　だそうじゃないですか。
「む、む、酷い、、、。」

米国から見れば、トルコはとんでもない　自由剥奪の国　という図式でしょう。
そうには違いないけど、「郷に入ったら、郷に従え。」という言葉もある。
だだ、この青年の犯した罪の勘定の割りには、
トルコの刑罰が過大に大きかったのは、誰もが感じるでしょう。
世界で、罪の基準が一様ならいいんだけど、無理な話ですね。

終盤には、「何とか脱獄してくれ！」と願って見ておりましたが、
２人も殺していいんでしょうかね？
アメリカにとっては、青年の命が千金で、トルコ人の命なんか
とるに足らない軽いものなんでしょうけど。
でもまあ、脱獄できて良かったです。

ちょっとクセがある映画ですが、見出せば面白いです。
重苦しい内容に、どっぷり浸る快感もいいもんです。
名作　の部類に入ってくる映画だと思います。

見るべし。

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ざっと見ていて、監獄で二人殺しています。
最初に持って出ようとした麻薬の量が凄いです。
最初に入れられた刑務所は割と自由が利き、人とも喋れるしシャワーも浴びられる。当時の一般トルコ人とそんなに変わらない扱いのような気もします。
確かに暴力的ではありましたが、それなりの外人(アメリカ人)でした。

非常にトルコという国に対して侮蔑に似た映像と言語が出てきます。アジアの入り口の国はアメリカ人にとってそれほど恐ろしい国だったのですねぇ。

映画のラストは脱獄したビリー賛辞で終わっていますが、腑に落ちない。人が絶望の淵に立たされたときの狂気を描いているのですが、あれら全てがほぼ「実話」だとすれば、アメリカとトルコとの麻薬関係のイザコザの生贄的存在にされたというビリーですが、確かに麻薬密輸の現行犯であるが為に、あんまり同情できません。

日本は特にその関係の罪が深いからこういう感覚になるのですか?
そこかしこに実話だからこそ腑に落ちない個所のある映画でした。
が!映画としてみれば面白かった。