ブリッジ・オブ・スパイ

人間の信念を描いた作品。面白かった。
法に対する信念を貫こうとする弁護士と、スパイとしての信念を貫くロシア人との間に生まれる友情が基本線になっていて、そこにいろいろな人間がからまっている。国の面子ばかり考えて無実の青年を拘束しつづける東ドイツ政府の役人や、自分の功績ばかりを考えているＣＩＡの役人や、本部の意向ばかり気にするソ連の役人などがコントラストをなしている。
初老の域に入ったトムがいい味をだしていた。
ただ、スピルバーグも年とったせいかテンポが遅い。

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米ソ冷戦時代、スパイ活動が横行していて、取り締まりも罰も厳しかったということは知らなかったので、こういうことがあったんだという歴史の勉強にはなったけど、
展開はほぼ予想どおり、クライマックスのセリフも全く予想通り。
演出がありきたりで、作品的にはイマイチでした。
DVDでじゅうぶんだったわ…という感じ。
でも世間の評価はかなり高いですね。
最近、世間と真反対なことが多いので、自分はかなりひねくれているんじゃないかと思います(^^;

アカデミー助演男優賞をとったマーク・ライランスはさすがうまかったですね。
背中に人生を感じるというか、地味で渋い演技でした。

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今年1,2番の良作でした。
敵国スパイをどう扱うべきか、難しい問題ですが
稀有な良心と見識を持った弁護士が取り組んでいく姿を描いたヒューマンものです。
話がムダなく、かつ分かりやすく作られてます。
ときおり入る軽いユーモアもいいスパイスでした。

個人的には、ずっと無機質な印象を与えるロシアスパイのアベルが
ひっそりと感じさせる誠実さに心を打たれてました。
橋の上でCIAに行けと言われても、ドノバンを信じて「私は待つ」と動かなかったりとか。

あと最高裁でドノバンがアベルを弁護するシーンでのセリフ
「この敵国スパイに正当な権利を与えることは、アメリカがどんな存在かを示す」にも心打たれた。
「メキシコ国境に壁をつくる」「イスラム教徒は入国禁止」などと言う、
今の某アメリカ共和党候補とその支持者にも聞いてほしいセリフだ。

1960年代米ソ冷戦時代に起こったスパイ交換事件の舞台裏を描いた作品で史実に基づくお話しである。
当時日本の新聞でも第一面で報じられたのをかすかに覚えている。
アメリカでロシアのスパイが逮捕されその国選弁護人を引き受けたのが民間人で保険案件を専門とするドノヴァン、何故彼がという流れはチト説得力に欠けるが実際のドノヴァン純粋の民間人ではなかったと記憶している。
世論は仮想敵国のスパイには極刑をということで真剣に弁護活動をしようとするドノヴァンに対する風あたりは強い。
家庭を愛し、平和を愛する彼はまさしく善人、将来スパイ交換を予測していたような発言もあるが、ともかく死刑だけは阻止、このソ連のスパイ、愛国心に富なかなか堂々としているが、核兵器の情報を入手した容疑なのだが当局からの厳しい追及場面はほとんどない。
しばらくして米の情報収集機U-2が撃墜されパイロットがソ連で逮捕、ここでも厳しい尋問や拷問シーンは出てこない。
水面下で進行する捕虜交換交渉、場所はベルリンの壁が建設され複雑な情勢下にあったドイツ、ドノヴァンはここでも交渉役として活躍しドイツで別件で拘束されていた米大学生の身柄解放交渉も同時に行う。(この部分は史実に基づくものかどうかは知らない)
民間人が二大大国のはざまに入って世界平和の維持に貢献するというストーリーが見事なほどの美談として語られているところに少し違和感を覚えてしまう。
諜報活動ではもっとドロドロした部分があると思えるのだが、最後まで善人を演じきったドノヴァン弁護士役のトム・ハンクスはなかなかの適役。

難しい内容だった。

知らなかった歴史を知れた。