地獄でなぜ悪い

怪作｢愛のむきだし｣以来テレビドラマを始め園子温の作品をすべて観てきました。

「ヒミズ」のラストシーンから｢希望の国」にかけて変なヒューマニズムに走って「どうしちゃったんだ？園子温」と思っておりましたが
漸く園子温が帰って来ました。

　売れない映画監督が、ヤクザに脅されててヤクザの出入り撮影するという荒唐無稽なストーリーの中で主役陣の殆どが文字通り
血の海中で死んでいく映画ですが、スプラッター嫌いの私が観ても不快感もなく、何とも楽しい映画です

園子温の魅力は性、暴力といった世俗的なタブーに対する強烈なアンチテーゼであると思われます。無論、暴力、殺人を肯定して
いる訳ではありませんが、本作は、世に巣食う自称良識派の顔を顰めさせてせせら笑って居るような何と言えない愉快な作品仕上
がっていると思います。

しかし園子温、深作が好きなのか？深作が好きなタランティーノが好きなのか？どちらでしょう？

この日！
この時！
俺たち！
ファックボンバーズが！
俺、平田、映画監督になる
アクションスター佐々木
フィックス横移動の御木
手持ちの谷川
ひとつになった！！

すべてはこの日のために！！！



ぎりぎり歯ぎしりレッツフラーイ！と、無意識につい何度も口ずさみ、

頭に日本刀がぱっくり刺さったまま動きまわる源くんを何度も思い出しては吹き出し、

最高にごきげんな源くんの歌うエンディングに何度も鳥肌を立たせ、なぜか泣きそうになり、

今までわたしはこの映画に出逢うために生きてきたのかもしれないとまで錯覚してしまうほどに

めちゃくちゃおもしろかったです。

すきです！！


にしてもだよ、
でんでんの出しかたが（笑）
でんでんがいつ出てくるかと思ったら（笑）
ずるい（笑）

今まで園子温の監督の、突き抜けた感、作家性が好きでした。しかし、今回ばかりは、どこからどう見ても失敗作にしか見えません。
明らかにタランティーノの模倣に過ぎず、そしてタランティーノ作品にあるセンスの良さやスタイルというものが、この作品には決定的に欠けています。
以前から、音楽のセンスのなさには気づいていましたが、この手の映画で、その趣味の悪さは致命的です。

この映画、あの問題作ばかり作る園子温さん監督の、珍しいコメディ物なんです。

やくざの組長が娘のために映画を作るのですが、そこに、監督と間違われた通りすがりの青年と、映画オタクの、監督志望の男が入り込み、敵対する組に殴りこみに行くのを、ガチンコで取ろうという映画。

主演、組長に国村準、娘役に二階堂ふみ、組長の妻（服役中、夫に差し向けられた鉄砲玉３人を返り討ちにして、過剰防衛で服役中）に友近、間違われた男に星野源、オタクの監督志望に長谷川博巳、相手の組長に堤真一とまあ、豪華なこと。

ちょろちょろっと、水道橋博士や、板尾が出ています。

園監督の好きな、空に手が飛ぶ、足が飛ぶ、血まみれぷぎゃーの、まるでふなっシーの血液版（オイオイ）、くだらねーけど面白い、いちおう、海外で賞も取ってます。あ、もちろん、エンターティメント分野ね。

今、ＣＧやらなんやらで、ガチンコ映画、少ないし、『俺はくだらない商業映画ではなく、みんなの心に一生残る映画が取れたら死んでもいい！』という台詞、まあ、これが言いたいことだったのかな、って思います。

やくざ映画に近いけど、血以外はガチンコで、って思っているんでしょうねぇ。(ムリだろ）



前年に、『希望の国』で賞を取って（その前は『ヒミズ』）、どうしてこんなエンターティメント取ったんだろう、でも、面白かったですよ。

残酷なことがいやな人にはお勧めしません（爆）

出演者が豪華で驚きました。出演者の演技もみなさん上手で良かったです。特に星野源さんは気持ち悪くて吐くところは本当に気持ち悪いのかなと思えるほどリアルでした。あと、長谷川博己さんのぶっとんでるリアクションの大きい役も新鮮で面白かったです。長谷川博己さんは本当にいろんな役が出来るのですごいなと思います。子役の人と顔や雰囲気が似ていて面白かったです。二階堂ふみさんもまだ若いのにいろんな役をこなしていてすごいなと思いました。あと、顔が宮崎あおいさんに似ていると思うのは私だけでしょうか？堤真一さんの顔の表情やコミカルな演技も面白かったです。何度も途中でクスクスと笑ってしまいました。
ありえない展開でハチャメチャだけど面白かったです。映画監督になりたかったけど本当に彼の夢が叶ったのかなとも思いました。すごい血しぶきで驚きました。本当なら怖かったり気持ち悪いシーンでも笑えて良かったです。