もののけ姫

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ジブリ作品って、どれも考えさせられる事が多い。

それは、人間同士の醜さだったり、自然界に対する人間の勝手さへの戒めだったり。。。構えて見ている訳ではないのに、自然と考えてしまうのだ。
「人間って勝手だな」
「自然は偉大で美しいもので、守るべきものなんだな」
・・・などなど。

「ツマラン」
「長い」
「たるい」
「暗い」
何にも考えずに見るとこんな感想を持つんじゃないかな。
道に平気でゴミを捨てる人や、自分ひとりくらいなら自然は大丈夫・・・って考えてる人とか、そういった人間の前では自然はあまりにも無防備で無力だよね。

人間ｖｓそれ以外。
私達は人間だけど、ジブリ作品は私達人間に、人間以外からのメッセージを伝えてくれてる。

人間だけど山犬に育てられたサンは、≪もののけ姫≫と呼ばれてはいるけど、人間以外の全てのものの代表だ。
そんなサンの前で、人間って何て小さいんでしょう。
あくまでも、自己中心的でワガママで勝手だ。

森が、神が、動物達が怒って当たり前だ。

この作品の≪生きろ≫というメッセージはとても難しくて、重い。

メッセージ・ストーリー・キャラクター・背景やＣＧの素晴らしさ。ひとつひとつが素晴らしいのに、完全に調和してて上等の作品に仕上がってる。。。って感じです。
ストーリーに惹き込まれてしまうので、１３３分の長さを全く感じません。

何度でも見たいし、みんなに勧めたい。
世界中の人達に見て欲しい。。。そんな作品です。

本作は端的に言って“生きる”ことの大切さを描いた作品です。

本作では登場人物の多数が、多々有る場面で死にそうになったり、死ぬ事を望んだりしますが、別の誰か、別の局面に、それを否定、拒否されます。
本来人が生きる事は単純で、そう難しい事では無いのですが、本作の世界は、多種多様な保護の手によって知らずと守られているふぬけた現代人には、理解できない戦国時代の人々の話なのです。そこでは、日々が生死の賭けの場であって、サイコロの目が一つ外れるだけで簡単に首が飛ぶ世界。誰もが疑心暗鬼に陥り、生きるためには寝首を欠くのは茶飯事なのです。
その様な世界において、“曇りなき眼”で真実を見詰める主人公は、その存在自体が稀有な事で、多分に強調された、監督のメッセージの代行者なのです。
その眼には歪んだ現実が写されます。彼の言葉を理解しない人々、理解できない人、理解したくない人、理解しても従えない人達が、眼の持主に様々な思いを投げかけて来ますし、その眼を持った人も怒りと尊厳、理不尽、苦渋に苛まれます。
その描写はありきたりで、余りにも自然で、うっかり見過ごしたり空気のように受け止められてしまって、鑑賞者の思考の表層に浮かばないのかも知れません。しかし、言葉には出来なくても、心のどこかに必ず引っ掛かると思います。
面白いと感じ、興味を覚えるだけで良いと思うのです。残酷、複雑、子供には分からない等と、考える事を放棄するのだけはやめて頂きたいと思います。

森が無くなり“林”で生きる事、崩れ去ったタタラ場で生きる事、双方が相応の壮絶な覚悟を負い、それでも“生きる”と言い切る事に、本作の一番語りたかった事が秘められていると思います。

ジブリにしては珍しく子供がときめく感がないので
ジブリファンには受けが悪いとは思うんですが
凄惨な戦争映画と思えば、ここまでレベルの高い
リアリティに富んだファンタジーもないのでは？

よくも悪くも慣性さえも自在に演出する宮崎氏の
真骨頂とすら思える作品で、
個人的には観てて飽きません。

ストーリー的にももうちょっと客受けするように
作れたはずなのに、それをしなかった。

クリエーターとしての主張を感じます。

惜しむべきはその哲学があまりに緻密過ぎて
観ている人間に伝わりにくいであろう点。
映画１本に収まる情報量ではなかったのでは
ないでしょうか？

ナウシカにしてもそうですが
宮崎アニメで大河ドラマが観てみたいですね。

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私のお気に入りレビュアー
「ぶわつ」さん「ＲＵＳＨ」さん「MonPetit」さんがレビューで触れられているように　メッセージ色の非常に強い作品だと思います。

映画では　時間的制約やクドサを避けるため　掘り込んで表現されていませんので注意してじっくり見てください。
「自然環境と人間文化との抗争と調和を機軸に　生と死を最大のテーマにしている」のは間違いありませんが　他にもいろいろなメッセージを含有しています。

たとえば　
�@エボシ率いるなぞの集団の根源は　おそらく“らい菌”患者と思われる長らく社会的に虐げられてきた人たちで構成されており　身体障害者への差別の問題提起。

�A女人禁制のはずのタタラ場で活き活きと働いているのは　おんなの人たち（この人たちは　もともと人身売買されているところをエボシに買い取られて仕事を与えられた）男女差別や男尊女卑の問題提起。

�B文化的文明勢力と素朴な土着民との格差問題。
（必ずしも文化的文明社会が　ひとにとって良いことかという疑問を提起）

などなど　実に奥深い内容です。年を経て　何回も見ることによっていろんなことが見えてくると思います。
　　
もっともっとありますが　詳しく述べると小冊子になってしまいますので

興味のある方は　“『もののけ姫』を読み解く”　で検索してみてください。

私が　一番気に入っているシーンは　
４日５晩ぶっ通しでタタラを踏み続ける過酷な重労働の中にも　活気とユーモアが溢れている　おんなたちの姿。
「労働はつらいか？」との問いかけに
「とってもつらいが　したの世界よりはまし。」
なぜなら
「ここでは　オマンマをたらふく食べられるし　おとこたちが威張ってないから。」


是非　ＤＶＤをレンタルではなく、お買い求められて　お手元に置いて　繰り返し見ていただきたい作品です。

「「風の谷のナウシカ」から１３年・・・」とコピーが示すように、本作は「風の谷のナウシカ」とよく似ている。
それは、物語が類似しているのではなく、本編で描かれる何倍ものバックストーリーが壮大に広がっているという点です。

作品の締め方が問題提起しているだけとか言われるが、私はそう思わない。
単に自然破壊や環境汚染を非難しているのではなく、人間と自然の共生の難しさ、そして共生は可能か、たとえ不可能でも努力を惜しまない事こそ人類に課せられた指名ではないか、というメッセージが感じ取れます。

問題を提起されたら、それについて考えて自分なりの答えを出せばいい。当たりか外れかなんて分からない。

宮崎駿監督の凶暴なまでの哲学性と世界観が繰り広げられた紛れもない傑作。
善悪の区別をはっきりさせていないためテーマも大人向けだったと思う。

何度も繰り返し観てきた「風の谷のナウシカ」がそうであるように、広い世代にとって偉大な映画になることは間違いないと思う。