炎のランナー

オープニングで若者たちが浜辺を走る姿が美しい。流れる音楽も心に染みるよう。

さて、オリンピックを舞台とした作品です。オリンピックが舞台の作品といえば・・・、色々考えるのですが、「クール・ランニング」位しか思い浮かびません。世界的なスポーツの祭典なのですが、映画にはなりにくいのでしょうか。

で、陸上競技です。しかも、短距離です。レースそのものは10秒余りで終わってしまいます。あれだけ盛り上げておいて、「え！？これだけ？」と思わないでもないのですが、短距離レースとはそんなものでしょう。はじめからスローではスピード感が出ない、結果がわかってからスロー再生してもドキドキ感は半減する。レースを映画という媒体で盛り上げるように表現するのは難しいことだと感じました。

ただ、この作品はレースそのものより、そこに至る過程（敗北・挫折・その後の特訓の過程、及び、人種や宗教、考え方の違いによるすれ違いや相互理解など）を描いた作品だと理解しました（敗北〜特訓の過程はロッキー３を思わせます）。

ストーリーからは友情も愛情も感じられないし、中途半端に描くぐらいなら、ばっさり切って、二人のランナーと精神的なものだけに焦点をあてればいいのに。中途半端なせいで、蜷l公二人の友人達（同じオリンピック選閧轤ｵいのだが）の区別がつかない。でも有名な映画だし、рﾌ感性が鈍いのか？

ちょうど劇場公開がアメリカにいたときなのでFMラジオから、ほぼ一日中、ひねもす、ヴァンゲリスがかかっていたのが、なつかしおます。

やっとみました。

いろんな伏線があり、エイブラハムとリデルの一騎打ちかと思いきや、安息日に予選なんですね。
アメリカにいたときも、宗教は、かなり身近に感じましたが、映画を観て想い出しました。おまけにエイブラハムはジューイッシュ。
この映画は、カテゴライズすると決して「スポーツ」では、ないですね。
でも、ゴールの後ろから”引き”のショットでカメラを固定し、選手がだんだん近づいてくるシーンなど、ハッとさせられるものが、ありましたとさ。

確かにえぇ映画やとは思います。しかし、イギリス映画のせいか、ゴツゴツしすぎてどうもはまれませんでした。いや、えぇ映画なんですよ。個々の信条を描き、そして国家威信のかかるオリンピックを描いている。今とは違い、スポーツがビジネスしていない部分が新鮮でした。あと、貴族の方のトレーニング風景とかね、面白い。

でもまぁ、派手さになれた現代人にとっては静かなる興奮というのはなかなか難しい。

この映画のオープニングの曲が端的にこの映画すべてを物語っていました。もう少し、渋い大人になってから味わうべき作品かな・・・

オープニングで音が歪んでます。演出か？と思ったけど、たぶん単なる歪みですな。歪ませる必要なんてどこにもないもの、この映画。

ぼんやり見てたら、途中までお話がよくわかりませんでした。二度見ると全部がクリアに。リンゼイ卿のお育ちのよさ、スマートさには、誰もが納得してしまうところでしょうね。満たされているからこその欲のなさ。欲がないと言っても、いい加減に物事を済ますわけでは決してないのです。余裕か。庶民とは違うわよ〜なんて思ってしまいがちですが、「足るを知る」とかいう言葉があるように、彼のようにスマートに生きていたいもんだなと、やはり彼は憧れの姿であるわけです。そしてそんな彼の周りにいた友人達。マイナスやコンプレックスをエネルギーに変えて高みを目指すもの、ひたすら純粋に喜びのために走るもの、そして素朴な努力家。。。

映画の構成も好きですが、さらに衣装が素敵です。なるほど、賞も頷けます。イギリスの紳士たる様式美、そしてオリンピックの場面ではアメリカのスウェットですな。少々たまげました。お国らしさ。それから、ハリーポッターなどでお馴染みの、全寮制の学校の晩餐会風景。イギリスの伝統的な学校には、今もこのような習慣や様式が受け継がれているのでしょうか。なんと麗しい。紳士が育つわけですな。