フェア・ゲーム

フェアゲーム

9.11同時多発テロの仕返しがしたいブッシュ政権でイラクが核を使った武器を持ってると言いふらし、アメリカや世界を味方にする為、マスコミなどで洗脳させ、イラクを攻撃する事を正当化しているホワイトハウス。それは違うと訴え、国を敵に回した夫婦の戦い。

妻はＣＩAで夫はイラクの事情をよく知る仕事。共にイラクは核を使う力がもう無い事を証明したのに、イラク市民を殺すアメリカの暴走とブッシュに恥をかかせない為だけに、事実をもみ消す政府の実話をベースにした作品。
星3.5 本当にホラー映画より怖い話でした。これ見たらアメリカ政府を嫌いになれますよ！

ウキペディアでプライム事件で調べましたが、読むより映画がわかりやすかった。アメリカの尊厳や軍事利益？アピール？なんだか分かり兼ねますが、何故戦争に進むのか？グリーンゾーンも含め、これが実話では怖すぎますね。

オススメな点
最後のエンドロールに戦う夫婦の妻のプライムさんが会見する実際のシーンに心を打たれます。

お〜スネ夫、心の友よ
お前はイイやつだなぁ
なぁ、そのゲーム貸してくれよ
ありがとう、心の友よ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なに？この前貸したゲーム？
なんのことだ？
返して欲しい？
あ〜！！！！！
オレのものはオレのもの
お前のものはオレのもんだろ！！
フルボッコ
な〜心の友よ・・・・

なんて感じの映画でした（笑）

世界のジャイアンことアメリカ
そのアメリカに睨まれてしまったＣＩＡエージェント
掌返しもいいとこで
いとも簡単に切り捨てられ
全てを奪われてしまいます。
しかも表面では何食わぬ顔して
裏面で路地の角に追い込んでフルボッコにしてるみたいな
そういう嫌らしさが満々。
正しい事実は上書きできて、操作できて、リセット可能
大量放出される情報が正しい事実だと認識させられそうな恐怖
ジャイアンの恐ろしさを見せつけられました。
こんなジャイアンでも
世界のジャイアンであることに今も変わりなく
何食わぬ顔でヒーローぶり
リサイタルを繰り返しているのが現状です。
悪事がバレても
せいぜいお母さんにゲンコツくらわされる程度
劇場版ではテレビレギュラー放送回とうってかわり
頼れる兄貴分的なカッコよさを見せ付けるジャイアン
アメリカもそういうステキな部分もあるんです。
が、そうじゃない部分はえげつなく「嫌らしい」
誰もがウソついてると知っているのに
フルボッコが怖くて言えない
その状況を知りながらそしらぬ顔して平然としてる
常に正しいのは私たち
その姿勢に激しい嫌悪

情報操作というフルボッコは
実際に拳でダメージを与える場合とは段違いの破壊力

ボーン・アイデンティティの監督なので
硬派な描き方もお手の物
お堅い内容ながらも
最後まで飽きずに観る事が出来ました。

そして実話だということにさらに驚く
そして世界のジャイアンに対する嫌悪が倍

史実、リアリティ、暴露ものがお好きな方にはもってこい。

しかし、戦争の発端がこんなものだったとは…恐ろしく、考えさせられました。
ＣＩＡって何してるんでしょうね!?
権力者の横暴で何万もの人命が失われてしまった現実は消し去れない。

世界を牛耳ってる気分で命を弄ぶアメリカ、
その一方で告発者の声が抹殺されないアメリカ。
正義の在りかを問う作品です。

かの有名な「プレイム事件」を題材にした実録ものです。
題材が題材なので決して派手なドンパチ等の映画的な盛り上がりはありませんが、
なかなかどうして、終盤までは結構引き込まれます。

ただ、ラスト３０分はちょっと息切れしましたね。

それまでのサスペンスタッチの展開から、夫婦の葛藤がメインになってしまったので
ハラハラ感は殆ど無くなり、なんともイライラな展開になってしまったのが残念。

ただ、それでも決して退屈させることはありません。

今回の評価
キャスト：★★★☆☆
演出：★★★☆☆
脚本：★★★☆☆
尺：★★★☆☆
映像：★★★☆☆


総合：★★★☆☆

しかしアメリカって国は時折このようなスキャンダルが大々的に起こりますね。
「ウォーターゲート事件」「イラン・コントラ事件」そして今作品のモチーフとなった「プレイム事件」。
時の政府を守る為ならなりふり構わずといった感じです。

そしてそれがしっかりバレる。

なんか世界最強の軍事力と諜報機関を持ちながらこのような「脇の甘さ」はなんなんでしょうね。
そしてそんな事件が必ずと言っていいほど映画や本になり、堂々と出版される。

まぁ、国家機密でも「機密公開制度」がある国ですから、（当然、全てが公開される訳でも無いでしょうが）
オープンマインドなお国柄と言えばそうなんですが。

色々な意味で「アメリカ」という国家を考えさせられた作品でした。

映画紹介のあらすじを観る限り、なんかよく分からんし、あんまり面白くなさそうだな、と思っておりました。一方で、ショーン・ペンだし、それなりにいい作品に仕上がっているのだろうと思って観たら、これが正解。なかなか見応えがありました。アメリカでは有名な話なのかも知れませんが、イラク戦争の胡散臭さを暴くいい作品です。

政府を相手に喧嘩を売ってしまった夫婦。映画的な展開だと殺されるんだろうなぁ、と思って観ていたのですが、そういうことは無かったみたいです。だからこそ真実に近いのか、それとも、ちょっとやっぱり怪しい話なのか、よく分かりません。でもまぁ、逆に真実味があって良かったかなとも思います。これでアクションが入りまくったらねぇ、嘘っぽくなりますもんね。

「国のために」この言葉は果たしてどういう意味なのか、一人ひとりにとって違うのかも知れませんが、それぞれが信じるあるべき国の形のために人は動くのだな、と思いました。まぁ、とにかく、あのイラク戦争はひどい話が多すぎるなと思いつつも、こういう映画が出来るところもまたアメリカのすごさだなと改めて思ってしまいます。