ボーダータウン　報道されない殺人者

本作品が製作されたのは2006年。
当時、ジェニファ・ロペスさん主演でサスペンス映画にジャンル分けされていたこともあり、
誤った期待感で本作品を鑑賞し衝撃を受けた記憶があります。

当時受けた衝撃を思い返しながら、10数年経った今再鑑賞した結果、
傍観者も加害者であるという罪悪感を味わった気分です…

メキシコという国の実情をある程度分かった上で
日本企業もどんどん現地に進出していっています。

こういった誘致活動に水を差さないためにも
闇から闇に葬り去っていったことを考えるとなんとも…

不景気な昨今、仕事をしていると必ず出てくる言葉「値引き交渉」。
年々、値引率が高くなり、企業は利益を確保しようとするから、
下請けにさらに値引きを強要する。
末端に行けば、行くほど値引率は高くなる。

私達が店頭で、年々安くなる商品を手にしているのは、
こういった製造現場の低賃金化につながっている。
劣悪な労働環境は、メキシコだけでなく、
中国でも同様じゃなかと思う。
もしかして、日本の零細工場の社長さんでさえも同様かもしれない。
薄利であるほど、労働時間は増加するし。

フアレスで起きた殺人事件は、腐敗したメキシコ政府の責任だけど、
劣悪な労働環境を生んでるのは、
低価格の商品を提供しようとする企業側の責任でもあるし、
低価格の商品にしか購入意欲が沸かなくなっている、
消費者の責任でもあるかもしれない。

ものすごく真面目に見てしまった。
「値引き」も「低価格」も、そろそろ歯止めをかけたいところだ。

　現実、ニュースで聞いていても、イメージが沸いているようで、経験のない分、ぼんやりしていることは多くあります。
　ストリートチルドレンや、成人に満たない若い女性が、貧困により、暴行や殺害が表に出ることなく行われ、解決もされない。

　まさに、この映画を見たときに、ノンフィクションのドキュメンタリーのような感覚を覚えました。
ただ、ジェニファー・ロペスの迫力ある演技で、それを映画として見られるレベルにした気がします。
　ほんとにこういう社会のひずみは、ここだけじゃないし、テーマとして取り上げた監督や、バックアップした会社に拍手です。
　報道はされない現実を、ぎりぎりの迫力で見せてくれるような臨場感ある作品です。

これが現代の話だなんて。。
日本でも凄惨な事件が時々報道されたリしますが、桁が違います。
メキシコ国境の町では、数千人規模の女性がレイプと殺人の被害者で、未解決でほったらかしらしい。

巨大資本に搾取され、劣悪な環境で先進国企業の下請け工場で、働かざる得ない若い少女たちにとって、被害から身を守るすべはない。つくづく日本は平和でよい国です。信じられないひどい話です。

この作品を見て感じるのは、月並みですが上記のような感想のみでした。作品の質としては少々ありきたりで、冒頭を除いてはスリルも感じませんでした。

中盤以降あまりに搾取する先進国=巨大資本主義の悪、といった陰謀論的な流れで少々辟易しました。搾取する巨大資本主義を追い出せば、レイプや殺人が解決されるようなものではないはずです。
おそらく、レイプやリンチや殺人に性的快楽を求める、マニアックな輩があのあたりにごっそり生息してると思うんですよね。巨大資本とは関係なく・・。

ただプエルトリコ系アメリカ人として、ラテン社会の現状を憂いて製作に携わったジェニファーロペスの志と気概は高く評価しますし、社会派作品として悪くない出来だとは思います。

アーチスト業と女優業バランスよく、どちらも良いクオリティーを保ってるのは、ジェニファーロペスくらいではないでしょうか。あのマドンナでさえ映画は一部を除き、駄作揃いなのに。

「アナコンダ」に出てたときはラテン丸だしのイモねえちゃんだったのが数年で、ビックリするくらい垢抜けたエキゾチック美女になって「世界一美しい女性」なんていわれだしたのを見てから、この人の自己プロデュース力はすごいなあと思ってます。お直しの力も大きいかもしれませんが。。

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これがまたまた腹立たしい実話で、観てる間中モヤモヤ。同じ人間になんでそんな事ができるのか。犯罪者も利益目的で眼をつぶり続ける政府もいいなりの警察も。みんなが悪魔。

エバがパーティーでドレスを着て幸せそうな女の子を見ながら言う「あの娘は運がいい。」

欲で汚れた人間達に最悪の運を背負わされて死んで行った女の子達やその家族。不条理過ぎです。許されていいわけが無い。許せず行動を起こした人はきっとみんなディアスのように殺されてしまったんでしょうね。憤りを感じずにいられません。

殺された数５０００人以上って。尋常じゃない。神はいるのか！？